第38話 「その話今しないとダメ!?」
「んで本題なんやけど。グレイスには幾つか厄介な討伐依頼あるいうたやろ?これ何となくわかると思うねんけどギルド直接的には通さんからランクやギルドポイントにはならへんねん。それでもやってくれるか?」
「もちろん。契約書にも書いてあったし承知の上だ。」
「ありがとう。今なら取り消し契約も結べるさかい気が変わったら言って欲しい。」
「一度引き受けたもん断るようなことはしねぇよ。それよりグレイスランドにはいつ出発する?」
「せやなぁ...明日には行こう思てるけど、どや?」
「構わないよ。もし大丈夫なら俺たちの用事を済ませてからでも大丈夫かな?依頼を優先させる旨は書いてなかったろ?」
「それはかまへんけど用事の内容教えてもろてもええか?」
「あぁ...実はここにいるマカフィーとシャルロッテの所属するグレイス教団とケジメをつけに行きたいんだ。」
「おう、そういう事か。それくらいならええで。行ってき〜。」
「もし二人が長くなりそうなら俺とハルートだけでも行くから安心してくれ。」
「私はあまり戦力になるかは分かりませんがあはは...。」
「んー!まぁ急ぎってわけでもあらへんしそれは待ってるで。その間俺はグレイスの商会でおばさんと話さなあかんことあるし。あ、そやよかったらダイゴくん、アベちゃんも連れてってくれへん?」
「あぁ俺は構わないよ。シャル、マカフィーはどう思う?」
「いいよ!」 「おう!来い来い!」
「アベちゃんもそれでええか?」
「ええ、僕は構いませんが皆様のお邪魔になりませんか?」
「大丈夫大丈夫!ダイゴも可愛い女の子いた方が楽しいよね?」
心配そうな顔をするアベルにマカフィーが笑いかける。
「あぁ!まぁシャルもマカフィーもかわいい女の子だけどな。」
俺がぼそっと言った言葉にシャルもマカフィーも赤くなった。
どうしたんだ?事実を述べたつもりだったんだけど。
その後は店を出て少しだけ街を散策した。
成田山とか映画村とか京都とか川越とか韓国の古い町並みとかを足したような景観なのに清潔感のあるトイレや至る所にあるゴミ処理の魔導ロボを見ると文化遺産的扱いの街なのだろうか?
アクアベリーやエズルドーラの街並みもちゅうせのように見えるところと近代的な部分が入り交じっていてこの世界では勇者レオ文化を大事にしているしおそらくそのくらいの時代のものはなるべく残しましょうという風潮なのだろう。
「あ〜お団子美味しかったなぁ。この街に来てからあの匂いにつられてずっと気になってたらぁ。」
マカフィーは幸せそうに笑う。
「ていうかこの街も広いなぁ〜。」
「まぁ一応王国だった時代もある国ですから、本来はもっと領土があったようですが今は隣国達に一部が渡りこの大きな城門をくぐった先にある野山を超えた森林部分にある農村はロイズのものなのだとか。」
「ほぉ...。ハルート図鑑は観光にピッタリだなぁ。」
「こら、シャルそんな言い方しちゃダメだよ!」
「あっはっはっ、いいんですいいんです。皆さんと距離が縮まったようで楽しいですから。」
「あ!おれおしっこ。」
「ダイゴまたぁ!?近くない?」
「あまりにも酒が美味くて!チェイサーで飲んだ水すらどっかの天然水だろ?美味すぎる。この国の水道管になりたい。」
「あっはっはっ....。」
ハルートに笑われながら公衆トイレへ行こうとするとアルスも着いてきた。
「俺もちょっと黄色い水噴出してくるわぁ〜。」
アルスも乗っかってボケてくる。
「きったね!おしっこしてくるのがまだ可愛いだろ!?」
「いいから行ってきなよ。」
マカフィーに冷ややかな目を向けられながら公衆トイレの小便器で用を足しているとわざわざ隣にアルスがやってきた。
やだなぁ〜こういうの五個も置いてあるんだから離れたところでしてよぉ。
「ダイゴ君はみんなに大事に思われてんなぁ。」
そして何この人のほほんとした顔でシッコしながらどんな話振ってくんのよ。
「あぁ?そうなのか?」
「あぁ...君、みんなに相当信頼されとるで。」
とっくに尿が切れてるのにしまうにしまえない雰囲気になってしまった。最悪。
「ねぇ...今その話しないとダメ?」
「ぷっ...はそれもそやなぁ。すまんすまん!後で二人でゆっくり話そうや!グレイス着いたら美味しいウィスキーの店連れてったるわ。」
チンチン出しながら言われたら怖いんですけど。
しまってからいってほしかったなぁ。
すげーデカいし...。
見たくなかったけど見えちゃったんだよぉ。
「ありがたいけどトイレしながらはやめてくれ。なんか嫌だ。ウィスキーの店は楽しみにしてるぜ。じゃ先戻るから。」
それだけ言い残しトイレを後にする。
「あーん。ダイゴくんのいけずぅ〜。」
気色の悪い声でアルスが俺をからかうのを無視しみんなの所へ戻ってきた。
「変なことされませんでしたか?」
アベルは心配そうに俺をのぞき込む。
「別に?ただたくさん小便器空いてるのにわざわざ隣に来られたのは普通にキモイ。」
「はぁ〜アルスさん自分が気に入った人にいつもそうなんですよ。変な人に懐かれたと思って諦めてください。」
「あっはっはっそりゃ困った!」
などと笑っているとアルスが戻ってきた。
「だれが変な人やねん!そろそろロイズ帰るで。みんな長い船旅で疲れてるやろ?今夜は近くの大衆浴場紹介であげるさかい行っといで。」
「おぉやったぁ〜。」
俺がガッツポーズを決めているとアルスは気を整え始めた。
まもなく赤い光に包まれて俺たちはあっという間にロイズの街へと戻ってきたのだった。
ロイズとマルジニアはそこまで離れていないので時差は大きくないがほんの少しだけロイズの方が日かが傾くのが早いようで商会の中はすっかりオレンジ色に染まっていた。
「ひゃ〜今日はなんややること多て疲れたなぁ。」
「アルスも浴場来るのか?」
「俺が案内せなどうやって行くちゅーねん。」
「それもそうか。」
「アベちゃん悪いな留守番頼むわ。」
「あ!僕も今日はここでお風呂を借りるよ。みんなだけで行ってきて。」
マカフィーは笑顔でそう言った。
「そうかぁ。じゃ女の子はシャルちゃんだけかぁ?」
「おう!俺はバリバリデケー風呂で暖まるぜ。」
俺たち男よりもなんか男らしい女の子シャルちゃんは力こぶを作ってガハハと高らかに笑う。
「あ、すまん抜けとった。まずはみんなが寝る部屋に案内するわ。」
そう言うとアベルは三階の空き部屋に俺たちを通した。
そこにはベッドが三つ。
「マカフィーさんベッドが足りなさそうなので良かったら僕の部屋で寝ますか?ソファーベッドで良ければ布団が余分にあるのでご用意できます。」
「ううん!僕シャルと寝るから大丈夫だよ。」
「たまには一人で寝てーよ。行ってこいよマカフィ。」
「...シャルがそういうなら。じゃあごめんねアベルいいかな?」
「はい!今日は沢山お話できますね。」
ニコッと少女とも少年とも取れる笑顔で笑うアベルに俺は少しだけどきっとした。
マカフィーは小声でアベルに囁いた。
こういう時僕ちゃんの獣人としての能力を自覚させられるのだけどオオカミさんなので耳がとても良いようです。
聞きたいなんて思ってるわけじゃないのに聞こえちゃうのよ。
(お腹痛いんでしょ?じつは今日僕もそうなの。だから残るって言ったのだけどお部屋にまでおじゃまして大丈夫?迷惑じゃない?)
(えぇ、平気です。じつは一人になったらなんだか酷く気分が落ち込みそうだったので残ってくださると言ってくれたマカフィーさんが居てくれたら嬉しいなと思いましてお誘いしてしまいました。こちらこそご迷惑ではなかったですか?)
(そっかそっか〜全然大丈夫だよ。ごめん、ナプキン切らしちゃったから買えるところみんながお風呂行ったら連れてって。)
(お易い御用です。)
これ絶対男の俺が聞いてたらやばいよね。
キモいよね罪悪感最後までチョコたっぷりのト〇ポよりたっぷりだよ。
「早く行こうぜ〜。」
シャルはソワソワしてその辺を歩き回る。
落ち着きないなぁ全く。
「こらシャルちゃん落ち着いてください〜。」
俺が優しく諭すとシャルはあっかんべーをしてきた。
「うちのじゃじゃ馬が限界を迎えそうなのでそろそろ行こうか。アルス」
アルスの方を見るとなにやらスマホで作業してた。
疲れてたんじゃないんかい!
「おぉ待ってな。すぐ終わるさかい。」
「ハルート用意できてるか?」
「ええ、簡易魔法カバンに切り替えたのでセキリュティはバッチリですし持ち物もOKです。全員分のタオルと着替えもあります。シャルにはこの簡易カバンに繋がるサブのカバンを渡してあります。」
魔法カバンはカバンひとつで荷物のページを切り替えることができる。
簡易カバンは入る量こそ少ないがそれにしておけば他人からはページ切り替えができない為もし万が一取られてもタオルくらいしか取り出せるものがない。
取られた場合は違う新しいカバンに今繋がっている空間を繋げ直せばそのカバンと繋がっていた空間との接続は切れる。
「アールースー。」
「っとまってな!おっっっけい!やっと終わったわ。行こうか!」




