第33話 「ブッキンアドベンチャー!」
「なんだここは!」
「ここが空の世界ってことかね?やたら空が近くない?でも草原なんだ。」
「んー!まずは地図とステータスの確認だな。」
「ステータス呼び出し!」
マカフィがそう言うと俺たちの目の前には今のこの世界でのステータスが表示された。
ダイゴ Lv 10
HP 250
MP 380
体力 125
攻撃 80
防御 70
魔力 190
素早さ 100
なるほど...今の本物のステータスの五分の一以下ね。
使える魔法も正直そこまでは多くない。
炎、氷、雷、闇、回復、サポートの魔法の中級程度までが使えるみたいだ。
「みんなどう?」
「俺はレベル15スタートだな。」
シャルは鼻を擦る。
「どうも実際のレベルの五分の一くらいになるみたいだねこれ。」
「てことは120とかのやつだったら最初から相当強いのか?」
「いや。どっかで上限が決まってると思う。ゲームバランスが崩れそうだし。」
「なるほどぉ。ハルートお前はどう?」
「あははは...レベル11ですね。しかも吟遊詩人なので...全てのステータスが高くありません。ご迷惑をおかけしたらすみません。」
「いいんだよ!こんなの!遊びなんだから気楽にやろーぜ!マカフィは?」
「僕?僕は15だよ!信仰魔法は中級程度は使えるみたい!」
「お!俺と同じだな。よし!次は地図だ地図!」
そうして現在地と現在の目標地点を確認しまずはそこを目指すことにした。
ちなみに目標地点はマップを表示させておけば分かりやすく光っている。
地球の現代のゲームみたいだ。
聞けば昔はこんなに親切設計ではなかったとか。
...つーか俺ファンタジー世界に転生してファンタジーゲームやってるってこと?
頭わりんか?ってなるな。
「道具袋は何が入ってる?」
「あ、そんなのもあるのね。」
マカフィに声をかけられ足元を見ると腰のところに袋がぶら下がってた。
ぶら下がっている袋って言っても変な意味じゃないんだからね!
なにかの魔物の皮できたそれは結構丈夫そうで魔法カバンみたいに無限にものが入るようになっている。
おーイベントリ的なやつ?
手をかざすとリストで入っているものが表示された。
...ド〇クエかよ。
ちなみに俺の持ち物はポーション×1 魔導書×1 エーテル ×2 だった。
この魔導書はどうも読むものではなく装備するためのものらしい。
こんな感じでそれぞれにあった武器ひとつと道具がいくつかみたいな感じでそれぞれの袋に入っているようだった。
純粋な疑問なんだけど魔法を使う時以外は敵をこの本で叩くという認識であってる?
大丈夫そ?弱くない?角とかで叩けばいい?
「マカフィの武器はアンケットなのね。」
アンケットとはロザリオみたいなもんでグレイス教徒が祈りを捧ぐときに使うもの。
外の世界の武器がモデルになってるので宗教関係なくアンケットが出てくるってわけね。
「これならベルか錫杖のほうがいいなぁ。アンケットって初心者向けだし。」
「ほーん。そういうもんなんか。」
「あー!俺は槍だ!扱いずれーぞ!」
シャルは自分の武器を見て大きく騒ぐ。
「スキルもそれに準じたものになってるんじゃね?」
「そうだけどよぉ!剣とリーチがちがうだろ?俺向きじゃねぇよ。」
「さいですか...。」
「私はハープでした!しかしかなり魔力の弱い初心者向けですね。」
「適性のある普段と違う職業を選んでもいいようになってるってことなのかね。」
「そのようですね。」
俺たちは不満で若干ムー〇ンみたいな顔になりながらひとまず目的地を目指した。
歩き始めてしばらくして草むらが揺れ魔物が飛び出してきた。
「フシャー!」
イタチの姿をしたような細長い魔物だ。
目は四つある。ん〜きも!
人数に合わせてなのか四体いる。
「よし!多分チュートリアルの魔物だろうからそれぞれ一体ずつやってみるか!ハルートはもし無理そうなら俺たちに頼れよ!」
シャルの掛け声で戦闘が開始される。
まずは俺は魔導書を開きそこに魔力を流し込み増幅させる。
すると本から光の玉がひゅんと飛び出た。
どうやらこれが通常攻撃になるらしい。
「おー!すげ!」
改めて今度は火の基礎呪文を唱え本を通して魔物を狙う。
魔物は交わしてきたが威力は少し上がっているようで魔物の腹の横を掠めた。
「今度は当てるぞ!ヴォルカ!」
今度は炎の中級魔術をほんを通して唱える。
素で唱えるよりやはり威力は上がるようでスピードが付いた火の魔法は見事魔物に直撃し魔物は魔素に帰った。
気がつくとシャルも戦闘を終えていた。
マカフィは信仰魔法の攻撃型を使って魔物を仕留めているところだった。
ハルートは相手を弱らせる詩を唄い、ハープの先の尖った部分でトドメを指していた。
本では叩かないんにハープでは刺すんかい!
「よし!いい感じだな!まぁこの先はいつも通り役割を決めてそれぞれで動きながら戦闘していこう!」
「だね!さっ!進もっか!」
シャルはマカフィと前を歩き俺とハルートは後ろを歩いた。
ドラ〇エみたいに一列にはならず二列ずつの隊列だ。
まだこの辺の敵は弱そうだけど、俺たちは無意識的にそれぞれ強力な攻撃ができる者とサポートが得意なものという感じで別れているようだ。
ちなみに装備を確認したけど俺の装備は、
旅人の装いだって!
上下セットでここに来る前に着ていた服と一緒。
シャルは鎧、マカフィはローブ、ハルートはいつも通り複雑な形の吟遊詩人らしい服。
ちなみに適正に合わないものを着ていると勝手にこの世界での初期装備に変えられるらしい。
俺たちはたまたま着てる服が適正の服だったわけね。
俺に至っては装備を買う金がないのでこの本の中の世界でも外の世界でも元通り旅人の装いってやつなんですけどね。
せめてこの本の中では好きに金を使えるのだから装備くらい買おうと心の中で決意した。
冷静に考えてみて欲しい...パーティーのリーダーが浮浪者のような布1枚の服なのだ。
どう考えても....みすぼらしい。
泣けてくるぜ。
「ダイゴ!村みたいなのが見える!あれが最初の目的地だぜ!多分。」
シャルに言われてマップを確認すると確かに目的地のマークはぼんやり見えるあかりの集合体の方を指していた。
「おぉ!あそこか!まずは宿屋で体を休ませる的な流れなのかね?」
「あぁ!有り得るな!ダイゴ、お前ブッキングアドベンチャーやったことあるの?なんかやけに順応早くないか?」
「いやさ、元の世界にも似たようなゲームってのがあったんだよ。俺は父さんが買ってきたやつをたまにやらせてもらうくらいだったけど。」
「おぉ!そうなんか!ダイゴが居た世界にも似たようなもんがあんだな!」
シャルはそういうと再び前を向いて歩き始めた。
多くは聞いてこないが承認をしてくれてるのがわかる答えだと思う。
「おぉ!ここか!?」
先頭を歩くシャルは歓喜の声を上げた。
「星と月の村ルナって書いてあるな。」
手をかざすとコマンド→調べるを実行したかのように目の前に村の名前が表示された。
早速中に入ると辺りのBGMが虫の音から柔らかな音楽に変わった。
うーわ!めっちゃドラ〇エ。
す〇やま先生ライクな暖かなBGMは夜の村にピッタリな感じだった。
俺以外の三人はどスルーしてるけどこういうもんな訳!?
「ようこそ、ここは星と月の村ルナ。」
「こんばんわ、泊まるところを探してるんだ。」
シャルは話しかけてきた村人にそう返す。
「それなら村長に声をかけて宿屋に泊まるといい。」
「ありがとう。」
「良い夜を〜。」
村人はそう言い残すと去って行った。
「結構ちゃんと会話できるんだな?」
俺が嬉しそうにそういうとシャルは不思議な顔をした。
「何言ってんだ??当たり前だろ。」
だってだって!NPCのキャラだろ!?同じことを繰り返すのが定石じゃん!
と返したいがこの世界の常識はこういうものなのだと納得することにした。
「ちなみに村に入った瞬間宿を確保せよというミッションが出たから俺はそう聞いただけさ。あんまり変なこと言って矛盾を産んだらゲームオーバーになっちまうんだ。」
「あぁ、そうなのか。なるほどな。」
スクエ〇エニ〇クスさん今すぐこの世界のゲームを真似ましょう大ヒット間違いなし!
などと心の中でふざけながら村の中を散策し村長の家らしき場所へとやっときた。
手早く村長に挨拶をして宿屋でチェックインを済ませるとベッドの上に横になった。
すると...一瞬で疲れや傷や魔力が回復し朝になった。
これ!!これこれ!テーレーレーレテッテッテーだ!
BGMこそ無かったもののお決まりのアレだ。
「ハルート!すげぇなこれ。」
「そうなんですよ。どういう仕組みなんですかね?」
「不思議なことに眠気まで飛ぶよな?これってモード切替で眠るモードにできたりすんの?」
「できるぞ!標準はこの設定だ。サクサク勧められて楽しくないか?」
「あぁ!まちがいない。元の世界のゲームを思い出すよ。」
「おぉ!そうかそうか!あ、ダイゴこの世界では食べるイベントが起これば腹が減ったりするぞ!多分このアドベンチャー内にも説明があったしあると思う。」
「おぉ!そりゃ楽しみだ。」
そんなこんな俺たちは次々にメニューに表示されるプチクエストをこなし、村長の元へ行くと昨日はよく眠れたか聞かれ洞窟の魔物を倒してくれとお決まりのクエストが発生。
それらを難なくこなし戻るとパーティーが開かれた。
あぁこれね、お約束お約束。
次の日に惜しまれながら村を後にして地図に表示された次の目的地へと向かった。
ちなみに村で食事を出されたので食べたのだが...お世辞にも美味しいとは言えないこれがまた聞く話によると設定上そういうものらしく貧しい村が一生懸命に施してくれたというものらしい。
星と月の村と言うだけあって、洞窟では月の魔力に当てられた巨大な熊型のモンスターが星の魔術を使うお供ともに襲ってくるという感じだった。
それらを窘めたところ村から儀式が無くなったことにより怒り狂い我を忘れたとの事。
その為その事実を村に伝えこれからは伝統を大事にしますみたいな流れになった。
ハルートは生い立ちのせいで苦い顔をしていたがほか二人は解決したことが嬉しそうだった。
二つ目の村は雲の海と呼ばれる海のような雲のような場所の畔にある漁村でこれまた祟り的な内容の話。
漁師が次々に魔物に襲われ不作だと言う。
ちなみに知らない間に前の村や今の村で選択肢が発生していたらしくルートが既に分岐しているらしい。
村近辺の魔物が突然に強くなったのでどうしてなのか?とシャルに聞いたら本当は洞窟の中の魔物は負けイベ要素なんじゃないか?
とのことで勝ってしまった為、話がズレらしい。
地図上ではこの漁村は一つ目の村からここまではそう遠くないが恐らく二、三個の町や村を経由して再び洞窟の魔物を倒す流れでそれが終わってから来ることになるという村のようだ。
「ちゅーことでアンタら旅の人にはわりんだけどもろくにもてなしも出来ねんだよ。すまんのぉ。」
早速挨拶に行った村長が眉をひそめて俺たちにそう言った。
村長の家を後にし原因を探すために船を借りて雲の海に出た。
そこでのザコ魔物も結構強くて倒すとレベルがガンガン上がって行った。
気がつけば現実世界のレベルにだいぶ近づき戦いやすくなっていた。
白いフワフワの海の上にあるポツンと洞窟があるのを見つけた。マップの行先はそこをはしていてるので入ってみることにした。
洞窟の中は瘴気が漂っていた。
「ルフレ!」
衣の魔法で瘴気のダメージを防ぎ洞窟の奥へと進む。
最深部では怒りで我を忘れた巨大な魚の魔物が暴れていた。
強そうに見えたが....俺とシャルがあっという間に倒してしまい手応えがなかった。
大人しくなった魔物は魔王の手先が近くにいて安心して暮らせないと俺たちに嘆いた。
次の行先も決まりサクサクと魔王の手先を倒しヌシ的な魔物の元へ戻るとお礼を言われ漁師を襲わないということを約束してくれた。
そして村に戻り報告するとお礼にと船を貰った。
ここからは船の移動になるようだ。
正直...ここからはさらにテンポも上がりだいぶ内容が薄くなった。
船で世界をめぐり困った人を助けその中にちょこちょこ魔王的なものの存在がチラつきその小さな伏線を集め宇宙のような場所にある魔王の住処に赴きパッとしない手下共を倒し最深部で魔王を倒す。
すると世界が暗転し、俺たちは真っ暗な場所に飛ばされどこからともなく出てきたでかいスクリーンのようなものから、
エンディングのようなロールが流れ始め製作者の名前が映像として流れる中、途中途中いつの間にか撮られていた俺たちの写真が流れた。
この演出はなかなかいいなと思った。
ちなみに途中省略された村の映像も流れてどこだここ?とみんなで笑った。
流れていたエンディングの音楽も止まり再び暗転すると今度は強い白い光に包まれいつの間にか船の中に戻っていた。




