第21話「来いよ!俺たちと」
俺の一言にマカフィは目をまん丸くして驚いた。
「え!?」
「別の世界で生きてきて...死んじゃってさこの世界の神とやらに選ばれて転生して今があるんだ。」
「何を言ってるの?」
「...ははこんなん言ってもなかなか信じられねーとは思う。でもさ俺、お前になら打ち明けてもいいかなと思ったんだ。
ハルートさえ知らないこの事実をさ。」
「なんで...なんで僕なんかに。」
「俺のいた世界ではさ...誰がどんなことをしてもいい世界だったんだ。
生まれも育ちもほとんど関係ない。
そりゃ...後継とかそういうのは色々あるけどさ、ほとんどが自分で選んで生きていいそんな時代が存在している世界だったんだ。」
「...。」
「そんな中で俺は...憧れていた父さんの店をさ...継ぐことを決めたんだ。
それは父さんが望んでいたからとかではなく...俺が決めたこと。
たくさんの選択肢がある中で俺が選んだこと。」
「....うん。」
「まぁ結果的に上手くは行かなかったけどさ。別の形で夢がかないそうになったところ死んじまってこの世界に来たんだ。
んで、俺はこの世界でも野望を叶えたいその一心で今できることをコツコツやっている。
...マカフィはさ、どうしたいの?この後。」
「僕は...自由に...シャルと生きていきたい!」
「...答え出てんじゃん。」
「...でも父様が...。あっちがう...父上が...。
それに教会だって....。」
「ははっ...今大事なのはお前がどうしたいかだよ。」
「...でも、君がいた世界とちがって...僕が居ないと困る人が大勢いて...それで。」
「それで?勘違いしてるみたいだけど俺のいた世界だって勝手をすると決めたら必ず誰かには迷惑がかかる。
だがな、みんなそれくらいの覚悟を持って自分がしたい事の方向へ進むんだよ。
なぁマカフィ?お前が優先したいのはみんなの期待か?それともお前の気持ちか?」
「そんなの!わかんないよ!」
「...わかんなくないだろ?どうしたいか聞いた時に答えは出ているんだ。」
「...自由に...生きたいよ。
すごく苦しいよ。何も背負いたくないよ。」
マカフィは年相応の少女の顔で涙を流した。
「マカフィ...お前が選んでいいんだよ。覚悟ができないなら俺が...俺とシャルとハルートで三人で背負うから。」
「...。」
「大丈夫、法王はまだそんな歳じゃなかったはずさ。それに高位の僧侶なんていくらでもいるだろ?法王になりたいヤツだってそんなもんやりたいヤツにやらせておけばいいんだよ。本当に必要なことなんてそう大して多くはないんだから。」
「...最後のひと言シャルも同じこと言ってた。騎士団の団長なんて出来るやつがやる。
俺はお前と冒険がしたいって...。」
「はは!だろ!?そんなもんなんだよ。もしかしたら勘当されて帰る場所も無くなるかもしれないし追い回されるかもしれない。 でも安心しろ!俺は故郷にどう頑張っても帰れない!
それにハルートだって訳あって帰れない!
そしたら俺たちみんな帰る場所なんてないだろ!?
逃げるのだってみんな一緒に逃げればいい。 俺たちの居場所は俺たちなんだよ!それじゃダメかな?」
「...ダイゴ僕なんと言ったらいいか。」
「マカフィ!俺には夢があるんだ。ルカっていうぶっ飛んだ女との約束もな。
だから良かったら...無理にとはいわんけどもさ、せっかくなら少しの間俺の夢に付き合わない?」
「夢?」
「あぁほら俺は前世、心半ばで死んでるだろ?だからこの世界で今度こそシェフとして自分のレストランを持ちたいんだ!そして、料理人ランクSSSランクを目指す。それが叶った時にはルカっていう俺より先にそこにいる女と戦うんだ。
でさ!勝った方が今度は世界一を目指したレストランのシェフになる。
お前にはひたむきに自分と戦ってきた強さがあるんだ。きっとなんだって上手くやれるよ。だからその夢を一緒に叶える手伝いをしてくれないかな」
「...そんなこといきなり言われても。」
「あっはっはっ!そりゃそうだな。
別に一緒にレストランをやってくれってんじゃないんだ。何するにもまず金が必要なんだ!
だから、今まで通り一緒に自由にさ、依頼をこなしたりしようぜ!
出来たらでいいけどさたまに料理ギルドの依頼なんかに付き合ってくれてもうれしい!
もしその中で俺とレストランをやってもいいという気持ちなればその先も着いてくればいいし、その間に他に夢ができたなら俺はそれを応援する。
それまで俺達がお前の居場所になってやるから...さ!
だから来いよ!俺たちと。」
「....行きたい!僕自分で決めた道を生きてみたい...探してみたいよ、僕が本当にやりたいことを。
でも教団からも逃げたくもない。だから一度シャルを連れて帰るよ。
そしてちゃんと自分の道を生きることを伝える。もし納得して貰えなくても僕は僕の道を生きたい!」
「おう!やっぱりお前はすげーよ!最後まで向き合おうとしてんだから!」
「ダイゴ...もし良かったら僕たちについて来てくれないかな。戻るとは言ったけどさ....怖いんだ。」
「っりめーだろ!?最初からそのつもりさ、でもまずはシャルを説得しないとな。
お前ならできる。
一緒にシャルの所へ帰ろう。」
「...うん!僕シャルともう一度話してみるよ。」
俺は黙ってその言葉に頷きマカフィを連れフープルでギルドまで戻った。
ギルドにはシャルもハルートもいなかったけど併設カフェでコーヒーを飲んでるうちに戻ってきた。
「やっぱりお前の連れてってくれる店はまちがいねぇーな!ハルート。」
「光栄です。」
「おかえり!二人とも!」
俺は、カフェから声をかける。
「おぉ!ダイゴ!戻ってきたんか!...お前もいるのか。」
シャルはマカフィの方を見て少し不機嫌そうにした。
「シャル!僕きめたんだ!聞いて。」
「...あぁ。」
「自由に生きたい!君と僕で自由に!」
「...!」
シャルの顔はパッと明るくなりマカフィを黙ったまま抱きしめると静かに語り出した。
「ごめん、マカフィ。
俺...お前の言う通り逃げてるだけだった....。
でもお前をお前をさ...あそこに戻したくないんだよ。今のお前は無理をしながらもさ、自然に笑ったり怒ったり年相応のさ...女の子だ。あそこにいたお前は...無理してて辛そうで責任に追われて自分を追い詰めて追い詰めて...俺そんなお前見たくねぇんだよ。」
「僕こそごめんね...シャル。
ダイゴに教えてもらったんだ。僕の場所は僕たち自信なんだって...生きたいように生きてもいいんだって。
シャルに全部言われた通りだった。
僕は人のことばかり気にして自分の気持ち全部全部ないがしろにしてたんだ。
今日自分のしたいことをしてみて思ったんだ。僕は僕らしく生きたいって。
...でもね教団と向き合うことらも逃げたくない。
だからさ、一度教壇には戻ろうと思う。
そしてきちんと自分の意思を話す。
納得して貰えないならその時は故郷や父様のことと縁を切ってでも出ていこうと思う。
シャル...僕と一緒に帰ろう。話に行こう。」
「...あぁ、そうだよな。」
シャルは俯いてしまった。
「ダイゴたちも着いてきてくれるから。だから僕たちみんなでグレイス教団に行こう。」
マカフィはシャルを抱き返すと優しい声でそう言った。
「....わかった。」
シャルはそのまま黙ってしまった。
その日は依頼どころでは無いので一旦解散になった。
次の日再度ギルドに集合してグレイスランド地方への旅立ちの計画をみんなで立てることになった。
「今から1週間...まずはこちらで資金作りをしたいと思う。」
「...それは現実的ですね。マカフィやシャルはそれでも平気ですか?」
「あぁ問題ないよ、転移札を買うことも考えけどそんだけ長距離用になるととんでもない値段するし...船旅をして行くのが現実的にいいんじゃないかな。」
「俺はマカフィとお前らについて行くだけだ。」
「俺の宿はちょうど来週に事前に払った分の宿代が尽きる。それも兼ねての一週間で申し訳ない。」
「いいよ。僕たちもグレイスランド地方への船旅代金までは持ってないし。まずロージニア大陸のロイズまで船で移動...その後北上した上でもう一度船ってなると結構時間もかかるしその間の生活費も考えるとね。」
「まぁロイズも大きい街なので、そこで依頼をこなすのもありじゃないですか?」
そんな話をしながら同時に今日行く依頼を探し、資金計画と同時に俺の要望で各地のレストランに寄らせてくれとお願いしそのための資金も作ることにした。
一週間後、なんとか船旅とこの先何日か暮らす分くらいは金が集まったものの...。
なんと言っても船が高い!大陸二つ超えてまる三週間以上にも及ぶ度になる訳だから....わかるんですよ?高いのは....でも高いよぉ。
一番下の部屋でも結構なお値段...。
雑魚寝のところもあるけどゴロツキ専用って感じらしいし...。
俺が頭を抱えているとシャルが俺の肩を組む。
「ダイゴォ!俺マナーとかわかんねーよ後でちゃんと教えてくれよなぁ。」
「ああ、それくらいはどうってことないんだけど...お金が足りないよぉ。」
まぁ...なんとかなるっしょ!
まずは1番初めの停泊場所、アジーニャ大陸最大の都市エズルドーラ...賢者メトロが生まれた街...そこで簡単な依頼をこなしてみるか...。
それにしてもさぁ...俺って転生者なのにずっとずっと金欠なんですけどぉ。
レストランを開けるのはいつになるんですか?
神様ああああああああああ!




