第5章 第3話 【 炎の門が「セントラル・ヒーティング」に変わった直後、 地獄の空に巨大な「法的強制力の余波」が響き渡った 】
炎の門が「セントラル・ヒーティング」に変わった直後、
地獄の空に巨大な「法的強制力の余波」が響き渡った。
炎魔将軍は、消えかけの業火を纏いながら、信じられないという顔で俺を見た。
「おい、法務の亡霊。俺の炎を『暖房』に換えただと?
だが、この地獄のエネルギー循環は、俺の熱が魔王の核を回して初めて成立していたはずだ。
俺を無力化した今、地獄全体が『動力源の喪失』で崩壊するぞ!」
俺は冷ややかに笑い、懐から先ほど破り捨てたはずの「魔王軍旧約款」を取り出した。
「崩壊? それは短絡的思考、お前の誤読!
魔王の核、それは不要な爆弾。俺が再設計、熱を分散、効率的な地熱発電へと転換!」
「馬鹿な……そんなことが可能なら、なぜ魔王は……」
「魔王は無能、ただの焼却炉の暴君。効率的な資源配分、それが俺の法務の極限。
お前の炎、俺の契約で連結。地獄全土に電力供給、新たなエネルギーの構築、それが俺の論理的結論だ!」
俺が突きつけたのは、魔王の旧約款の「火炎管理条項」を、
「公共エネルギー供給契約」に差し替えた修正合意書だった。
「見てろ、将軍。魔王が握っていたのは『破壊のための火』だが、俺が握るのは『生存のための熱』だ。お前の炎が消えるんじゃない。
俺の契約によって、お前の炎が『公共のインフラ』として固定化(ライセンス化)されたんだよ」
将軍の業火が、突如として青白い光に変わる。地獄の荒野のあちこちで、
魔力供給が途絶えていた拠点が、魔法の街灯のように次々と明かりを灯し始めた。
「魔王という『一極集中』のバグを、俺という『分散型管理』が修正したのさ。
理屈が通らない魔界だからこそ、論理という名の物理法則が、魔法以上の実効力を持つ。
これが俺の強引な辻褄合わせ(ハック)だ」
将軍は呆然と街灯を見上げた。暴力しか知らなかった悪魔の目に、初めて「文明」の光が宿る。
「法務の亡霊……あんたは、破壊者じゃないのか?」
「破壊と創造、同時進行。お前の懐疑、俺の法務で沈静。この炎の熱量、地獄の電力、全て俺の掌中、
完全なインフラの形成!」
俺は炎の門に「管理規約」を貼り付けた。
魔王を倒したあの日から、俺はこの日のために「魔王の契約書」の隙間をずっと探していたんだ。論理の飛躍? いや、これは「契約の拡張」だ。
「さあ、将軍。お前はもうただの燃えるゴミじゃない。地獄の電力を支える『インフラ担当役員』だ。次からは、燃え方一つにも損害賠償を請求するぞ?」
これで地獄は、魔王なしでも回る。
暴力の連鎖は、経済という名の「契約の網」で縛り上げた。
「ハチャメチャな辻褄合わせ、これも法務の糧。次の不正、暴き出すぜ前進! 地獄の底辺、底上げ貢献! 俺のリズムで、全土が開戦(改善)だ!」
地獄のインフラが、俺の韻に乗って鼓動を始めた。
さあ、次に「適正化」してやるのは、どの不条理な場所だ?
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