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ランズ・オブジェクト  作者: 凧 秋風
第一章 地上を知った日
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第一話 『あれから十一年』

 ――時間が経つのは本当に早い


 

十一年前のことは今でも覚えている、あの日頭をなでてくれた父と母を亡くした日だ。

幼い自分が手紙を受け取り、内容が理解できず教会のおばあさんに手紙を渡し、父と母が亡くなったことを聞かされた、あの日の事だ。


正確には父と母を亡くしたのは手紙をもらう数日前なのだろうが、幼かった自分にそんな事は関係なかった。


あの日からすべてが変わってしまった気がする、最初は父と母を奪った地上が、オブジェクトが、憎くて仕方がなかった。


しかし時が経つにつれ憎しみは薄れていったがかわりに地上に対する興味が湧いていった、『そこまでして父と母が憧れた地上』とはどんなところなのだろうと。

それほどに父と母の死は絶大でそれこそ、地上を知りたいという事が自分の生きる指標となるほどだった。


それから十一年経ったマルクは亡くなった父と母が所属していた軍に訓練兵として参加していた。


「やっとだやっと軍に入隊できた」


『18歳』軍に入隊できる最低年齢だ、この国は亜人と人間が共存しているため成長速度が違い肉体的に差異がなくなる18歳まで、軍には士官候補学校や通常の教育機関に通うなどして待たなければいけない、身体に大きな差異がある幼い年齢だと種族間の差により喧嘩や訓練などですら重大な事故が起きてしまうためである。

理屈はわかるが人一倍強く地上に興味を抱いていたマルクはこの事を、煩わしく感じていた。

そんな事を考えていた、訓令兵のマルクは一同は兵器庫の前の広場に集められ待機させられていた。


 ――なげぇなぁ、いつまでこうしてるんだ?


そんなことを考えているとガタイの良いトラ顔のおっさんが歩いてきた。


「俺はお前ら新兵の教育担当に選ばれたガウル・ド・ルトスクブルクだ!早速で悪いが質問する

十一年前の地上奪還作戦で何人死んだか覚えているか?、答えてみろそこのお前」


教官はそう言うと青髪で猫のような耳が生えている小柄な少女に指を指した。


「6000人中4500人です!」


少女は自信ありげにはっきりとそう答えた。


「正解だ! そう6000人が地上へ向かったが帰ってきたのはわずか1500人程だ、それも過半数が大なり小なり負傷して、私は実際に作戦に参加し生き延びたが地上がどうなっているか教えてやろう」


訓練兵達の唾を飲み込む音が聞こえてくる。


「オブジェクトの山だ」


「え?」


訓練生が意味が分からないという顔をしながらそうつぶやいた。

オブジェクトは知っている、資源を奪い増え、地形などに対応し進化する移動型の兵器だ。


「オブジェクトは、あいつらは空を飛ばない、変わりに空を飛ぶものに徹底的に攻撃してくる、射程範囲と正確さこそ低いが高出力で近くにある物体を吸収し弾丸として撃ってくる、まず飛空艇に乗っていた奴らは地上に降り立つ頃には四分の一を失っていた。そこから陣地を展開し地上に魔法を用いて頑丈な要塞を建設し拠点にする、そこから地道に領土を拡大する。これが十一年前立案された作戦だ、しかし結果は言うまでもないが惨敗だった」


「地上に到着してから約10時間ほどは数百はあるだろう量産されたオブジェクトに、襲われ続けたがそれを乗りきってから数日はオブジェクトは減少し、定期的に数体現れる程度になっていたがここで我々は判断を間違えた、このまま地上に要塞を作ればいいと、そうすれば地上を少なからず奪えるとそう思った矢先の事だった、アレが現れたのは」


訓練生の一人が声を出す。


「あ、あれって何ですか?」


「そこで我々は見てしまった、いや知ってしまった、700年前人類が亜人と人間がどうして地上を捨てたのかを、どうしてあきらめたのかを、その山と同じくらいはあるだろうという巨大なそのオブジェクトはただ真っ直ぐと我々の元に移動していたのだ、大量のオブジェクトを生み出し地面を食い荒らし、吸収しきれない資源を吐き出しながら、人を踏みつぶし取り込むそいつを私は見てしまった」


そこからの話は要約するとこうだ、急いでで飛行船に乗り込み撤退したが2000人ほどしか飛空艇に乗れず残っていたうちの2隻ほどが天空に帰るまでに破壊され、残った1500人が帰還した。


「これが地上の現実だ、質問があるやつはいるか?」


最初に答えた青髪の少女が勢いよく手を挙げた


「はい!」


「質問を許可する、名前はなんだ」


「ニーニャ・ペスティーです! 今のお話聞いたうえで質問します!私たちは同じような作戦で地上を奪還するのでしょうか?」


教官が首を振った。


「俺たちが地上を奪還するにはオブジェクトを破壊するしかない、それこそあの巨大なやつをだ、そこで立案されたのがこれだ」


そう言うと、教官は後ろの兵器庫に置いてあった菱形で先端にアンカー?のようなものがついている機械を指さした、大きさは人が二人ほど乗り込めるサイズだろうか、見た事はなかった。














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