プロローグ 『幼い自分』
それは一通の手紙から始まった。
ある日、家のポストへ手紙が届いた、母と父は手紙を受け取り中身を見ると聞いた事も無いような声で抱き合って喜んでいた。
まだ幼い自分は、自分の母と父が何をそんなにキラキラとした目で喜んでいるのか見当もつかなかったが、そんなことを考えていたら、父が話しかけてきた。
「マルク~お父さんは、地上の探索部隊に選ばれたぞ~しかも母さんもだ!」
その時の事はとても覚えている、そりゃそうだ自分の親が飛び跳ねて喜んでいるのを見て、忘れる子供もそう多くはないだろう。
それからの事はなんてことはなかった、内容はよく理解してなかったが母と父が喜んでいるので子供ながら一緒に喜んでいた、きっと良い事があったのだろうと。
それから数日が経ったある日、幼い自分は、自分の親が喜んでいる理由を知った。
学校の授業で歴史を学び、この世界の在り方を知った日だった。
幼い時から自分の住んでいる場所に違和感はなかった、大地は浮いているのが当たり前だと思っていたし、限られたスペースを有効に使うため家は小さかったがそれが常識だと思っていた、でもどうやら違ったようだ。
学校で教えられた内容だと、元々人間達と獣の特徴を少し持っている亜人達は地上に住んでいたらしく、700年ほど前亜人と人類は互いに十数ほどの国を作り、地上に暮らしていた、しかし資源の奪い合いや種族間差別により、戦争へと発展していった。
そんな中、人間種優位主義国家がオブジェクトと呼ばれる資源を奪いながら、奪った資源を元に自動で増え、敵国を亡ぼすために前進し続ける兵器を作り上げた。
――しかし失敗した
オブジェクトの群体は暴走し国家の都市群を丸々2つ飲み込み、いつまでも止まらぬ兵器となっていた。
亜人達や種族間で差別をしていない国家は、暴走するオブジェクトに対し、同じような兵器をぶつけ
、無力化させようとしたがそれも失敗した、最初に作られたオブジェクトと同じように移動先にあるものを飲み込みながら破壊を繰り返す兵器が生まれた。
資源も少なく残された人類達は、魔法と科学が発展したこの世界で1000人ほどをエネルギーの核として犠牲にし700年前の賢者の手により、オブジェクトに荒らされていない残り少ない大地を天高い、上空へと飛ばし、逃げのびた。
これがこの世界の歴史だった。
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マルク・ユニフルは料理上手で美人の母と力自慢の父のもとに生まれた自慢の息子だった。
母と父は自分の住んでいるデミ・ヒューマニア共同民主主義国の軍人だった。
母と父のなれそめは詳しくは知らなったが地上を見たいという、共通の夢を持っていたため意気投合し、結婚に至ったようだ。
そんな二人のもとに地上の探索部隊に入隊が決まったという手紙が届いたのだ、初めて地上を見れるし、地上を歩けるとなれば夢がかなうのと同じ事だった。
それから数か月ほど経ち遂に父と母の地上へ行く日が来た。
マルクは父と母が軍人で家にいないことも多かったため、一人暮らしをしている教会のおばあさんに良く預けられていた、今日も同じだと思っていた。
そんな事を思っていたら、父が話しかけてきた。
「マルク、お父さん達が帰ってくるまでおとなしく留守番してるんだぞ」
母も続けて。
「マルク~朝は早起きすること!歯はちゃんと磨くこと!おばあさんの言うことはちゃんと聞くこと!わかった?」
「わかってるよ!ちゃんと守れる!」
幼い自分は口を指でひっぱり満面の笑顔でそう答えた。
そんな他愛もないやり取りをしていた。
「母さん、そろそろ時間だ行かないと」
「そうね、もうすぐ時間ね」
「マルクも母さん達がいないからって泣きべそかくんじゃないぞ」
そう言いながら機嫌がよさそうに頭をなでてくれた力強い父の手の感触は、父と母がしばらく帰らないであろう不安を払拭させるには十分だった。
それから数日が経ったある日教会へと手紙が届いた。
――ストラ・ユニフル地上探索部隊204小隊隊長
エミ・ユニフル地上探索部隊204小隊副長
殉職なされたことをここに通達する。




