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大正公紀  作者: 葵依 澪
第二章 「虎の少年」
9/10

第二章その3 現代へ

浮遊感から解放され地面に放り出される。


「うわっ!」


昨日と同じ引き込まれる感覚の後、また視界が暗転してここの地面に放り出された。


「いてて……」


打ったお尻を擦りながら辺りを見回す。


「え……ここ……烏山……?」


そこはさっきまで居た烏山とは違う場所だった。暗く廃れていて物も壊れている。


しかし鈴芽はこの場所を知っている。そうそれは……鈴芽が本来知っている……現代の烏山。


「戻ってきた……?」


確証は無い。鈴芽は立って足元に気を付けながら歩き出す。


でもそこは確かに神社ではあって、境内から見る景色は……


「やっぱり、烏山!」


その風景は見まごう事も無い、烏山神社だった。


「てことは!」


鈴芽は喜びでその場で飛び跳ねる。


「現代に戻ってきたんだ!」


鈴芽はそう確信し、自分の家へと走っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピーンポーン


インターホンを鳴らすと聞き慣れた呼出音が鳴った。


荷物は椛の元。鍵もスマホも無いので家のインターホンを鳴らす。母親が居ないとしても妹も春休みなのできっと家に居るはずだ。


「はーい。」


インターホンから聞こえてきたのは母親の声。一日ぶりに聞くその声に鈴芽は安堵する。


「お母さん、鈴芽だよ!」


思わず馬鹿正直に言ってしまったが、言ったあと鈴芽は母親が混乱しないかと思い出した。


「えっ鈴芽!?」


案の定母親の驚きの大きな声が聞こえてきた。


直ぐにドアが開き母親が出てくる。


「お母さんごめんなさい私ちょっと事情があって……」


鈴芽が言い終わる前に母親は鈴芽を固く抱き締めた。

「どこ行ってたの!?本当に心配した!何してたの!」


相当怒ってる。けれどそれと同時に心配と困惑もしている。まあ当然だろう。しかしきつく抱きしめられ鈴芽も苦しい。何とか声を絞り出す。


「お母さんそれはごめん。色々あってさ……説明するから一旦離して……」


すると母親は漸く鈴芽を離し家の中へ入れた。


リビングで鈴芽と母親が向き合い母親が直ぐに言葉を発する。


「一体何してたの!どうして昨日は帰ってこなかったの!どれだけ心配したか!」


鈴芽も聞いたことないほど大きな声だ。しかしそのすぐあと今度は急に心配しだす。


「あ、それよりも、怪我はない?ご飯は食べたの?昨日はどこにいたの?ちゃんと寝てる?」


全くこの人は、と鈴芽は思った。鈴芽の母親は娘になにかあった時感情が混ざって怒ったり心配したり表情と言動がコロコロ変わる。それだけ鈴芽を愛してくれてる訳だが、そこら辺は父親に似てるな、と鈴芽は思っている。


「ごめんなさい。それはちゃんと理由があって……」


こういう時はしっかり全て弁明するのが賢明だろう。


そして鈴芽は昨日の事を全て話した。正確には、金の蝶と蝶者のことは面倒臭くなるから省いたが、椛や幸子のことを話した。大雅のことは後で話そう。まあ、それで後で後悔するのだが……


「それで戻って来れて……まあこういう事があって昨日は帰れなかったごめんなさい。」


「ちょっと待って状況が整理出来ない」


耐えきれなくなったのか途中で母が止めてきた。


母は頭を抱えていた。リアルにだ。


まぁ仕方ない。こうなる事は予想出来ていた。母も質問攻めしたいのを必死に抑えているのだろう。


数秒懊悩した後母がゆっくり口を開いた。


「にわかに信じ難いけど……つまり鈴芽は昨日大正時代に居たってこと?それでその……椛さんだっけ?その人の所に泊まらせてもらってたから家に帰って来なかったの?」


「まぁそういう事になるんだけど……実はね、ちょーっと面倒臭い役目もありまして……」


一番説明が面倒臭いのは金の蝶と蝶者のことだろう。


「役目?」


「いやーなんかファンタジーみたいなんだけど、金の蝶っていうのがありまして……」


先に話しておけば良かったかもしれない。しかし仕方ない、もう全て話してしまおう。


そして全てを、大雅のことも説明する。


「は?どういうこと?鈴芽がその蝶者ってこと?」


「まあそう。」


開いた口が塞がらないとはこういうことか。もう母は完全に混乱してる。


「何そんなファンタジーみたいなこと言われても……てかなんで鈴芽がそれを引き受ける必要があるの?あなた学校もあるのよ?」


鈴芽はうっ、と言葉に詰まった。ド正論すぎる。


「だって元は私が招いたことだし……良心にちょっときて……」


「良心?まさかあなた良心と罪悪感って理由だけで蝶者をやろうとかと思ってたの?」


はいそうです、としか言えない。だってあの時はどう考えても断れる雰囲気じゃなかった。


「いやだってあの時の空気はちょっとさ……」


「大体その役目は安全なの?聞いたところ金の蝶っていうの、かなり危険なものに見えるけど。麻薬みたいなものじゃない。鈴芽がそれを絶対使わないって言えるの?巻き込まれて危険な目に会う可能性は?」


「それはだから椛おばあちゃんや大雅もいるから……」


「その人達はどれくらい信用出来るの?それに大雅君って、何?妖怪?人ですらないじゃない。そもそもそんなほいほい他人の家に行っちゃだめでしょ?」


「だって仕方なかったんだもん!」


そんなに鈴芽ばかり責められたって、何も知らないくせに。


「あのね、やるのはまだしもとして、学校始まったらどうやって行くつもりなの?大体令和と大正時代を自由に行き来できるの?」


「えっと……そのことは……」


「ね?無理でしょ。大正時代にまた行けたとして断ってきなさい。あなたね、優しいのはいいんだけど後先考えないでホイホイ引き受けすぎよ。」


正論が続く。母の言うことは尤もだ。母親としても、娘に危険なことはさせたくないのだろう。でも鈴芽はまだ10歳の子供だ。頭では分かっててもそれを素直に全て受け止めるのはまだまだ難しい。鈴芽も苛立ちで癇癪を起こしたくなる。躍起になって強く言い返す。


「違うし!最初は断ろうとしたし!」


「断れてないじゃない。」


反対に母はさっきよりも冷静になってきている。


「だからそれは!」


「いいからもうやめましょう、鈴芽、お母さんも意味わからないの。昨日鈴芽が居なくなったってだけですごい大変だった。どこに行ったのかとても不安で、何かあったらって怖かった。今鈴芽が無事に帰ってきてくれてすごく嬉しい。でもそんな話唐突にされても分からないわ。鈴芽が良くてもお母さんの手には負えないの。何があったとしても、あなたはまだまだ幼い子供なの。だから、忘れましょう。あなた一人の問題じゃないのよ?学校もある、先生や警察の人、親戚やお友達達にも説明しないといけない。わかる?」


母親の言ってることは正しい。非常に正しく合ってる。如何に昨日不安にさせてしまったかもわかる。それについては鈴芽も罪悪感で一杯だ。でもそれはそれとして鈴芽はどうしても腑に落ちなかった。そりゃ、面倒事だし本当は断りたかった。でも、でも何故かやめたくない。何故だろう。それは、それはだって、


こんなの、後味悪い。


「……嫌。」


「ん?」


「嫌!私は蝶者やりたい!」


母親に対して思わず大きい声が出た。


「なんで?あなたもやりたくなかったんでしょ?」


どうしたの?と言うような目で見てくる。


「でも私やるって言った!あんなの断れないよ!それにここで辞めたらすっごい後味悪いし椛おばあちゃんにも大雅にもさっちゃんにも凄く申し訳ない!自分の言葉には責任持ちたい!」


「自分でやるって言ったから!無茶してもいいからやる!」


一気に叫んで鈴芽ははぁはぁと息切れする。でも言いたいことは言った。


「鈴芽……やるって……でもあなた学校は?それに無茶って……」


「休日にするし多少休んだってやる!」


余りにも無謀だ。でも鈴芽が咄嗟に思い浮かんだのはそれくらいだ。


「な……いい加減にしなさい!学校休むなんていいわけないでしょ!あなたまだ小学生なのよ!」


まあ当然母親だって黙っちゃいない。


「知ってるし!」


「それにどんな危険もあるか分からないのよ!命懸けかもしれないのよ!」


「わかってる!でもやりたいの!お願い!」


鈴芽だって負けじと言い返す。


「お願いって言われたって……鈴芽、お母さんは何よりあなたが心配なのよ……もし危険な目にあったりしたら……」


母親も疲れてきている。鈴芽も疲れているがチャンスは今だと畳み掛ける。


「気を付ける。本当に。だから協力者だっているんだよ。だからお願い。ちゃんと椛おばあちゃんが大正時代での身元は引き受けてくれるし椛おばあちゃんは慕われてるしっかりした良い人だよ。大雅だって多分いいやつだろうし……」


「大雅君って子もよく分からないのよ?」


鈴芽も流石にイライラしてきた。話が平行線だ。


「もう!だったら会えばいいじゃん!」


「……は?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

鈴芽と母親は烏山に来ていた。


「……で、ここがその祠?」


「そうだよ。多分この中に左手を入れれば……てかかざせば……」


「こう?」


母親が左手をかざしたり手を入れたりするが、何も起きない。やはり蝶者じゃないからか。


「ま、そっか。」


鈴芽は直ぐに割り切る。すると母親が話しかけてきた。


「鈴芽、芽衣は大丈夫かしら?」


「あ……」


芽衣。すっかり忘れていた。芽衣は鈴芽が家に着いた時はもういなかった。母親は出掛けたと行ってきた。大方鈴芽を探しに行ったのだろう。


「芽衣携帯持ってるかな?」


「キッズケータイならあるけど……よく持ってき忘れるのよね……」


芽衣はよく携帯を持っていき忘れる。それで連絡が取れないこともしばしば。


かくいう鈴芽も今はスマホを持っていないが。


仕方なく芽衣に家で待っててと母親のスマホ一応からメールを送る。


「まあ芽衣なら大丈夫か。」


芽衣はパニックで取り乱すような性格ではない。ちゃんと待てるだろう。


「それより、お父さんは?」


「今お父さんに電話かけたら大変なことになるわよ。」


「そりゃそうだね。」


あの溺愛親バカの父親に今鈴芽から電話なんてかけたら……


「それより、もう行くよ。」


予想だが、母親と手を繋ぎ鈴芽は左手をそっと出す。


刹那、目の前がまた光に包まれ直ぐに暗転した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一瞬の浮遊感に襲われたあとまた光が差す。


「う……」


やはり慣れない感覚。しかし視界には綺麗な神社の境内と地面が見える。


「鈴芽!」


椛の声。大正時代だ。成功した。やはり祠の前で手をかざすことか。


「お母さん!」


母は、と後ろを振り返ると母親がいた。こちらも成功だ。手を繋げば普通の人間でも来れる。


「椛おばあちゃん……」


半刻(いちじかん)近くも何をしていたのだ?どこに行っていたのだ?」


半刻?どれくらいの時間だろうか。でも体感は五十分くらいか。


「鈴芽……ここ本当に大正時代なの…?」


母親がゆっくり辺りを見回す。


「あ、お母さん。そうだよ。」


「本当だったのね……」


母親は半分放心状態だ。


「お母さん、椛おばあちゃん。」


「ごめん椛おばあちゃん。突然いなくなって。でもね、100年後に帰る方法分かったよ!」


「な……真か!?」


「そう!こうやって祠に手をかざして……あ。」


手をかざすとまた一瞬祠が光視界が暗転、一瞬浮遊感に襲われ直ぐに地面に着く。


「戻っちゃった……やっぱこれが条件なんだ。じゃああっちに戻らないとぉ!?」


すると何故か突然祠から椛が飛び出してきた。鈴芽は驚きで間抜けな声を上げてしまう。


「は?え?椛おばあちゃん!?なんで!?」


「鈴芽の真似をしたら何故か出来てしまってな……」


真似?真似してできるなら鈴芽の母親もできるはずなのに。


「え、でもお母さんはできなかったよ。」


すると椛は母親といえば、というような顔で鈴芽へ質問をしてきた。


「そういえば!あの女性は其方の母君か?」


「そうだよ。大雅と椛おばあちゃんに会いたいって。蝶者をやめて欲しいんだって。」


「蝶者を!?それは困るな……しかし母君が断っているのに強要するのはな……」


「私だって説得したし……」


これ以上は椛にも頑張ってもらうしかない。


「取り敢えず、戻ろ?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「鈴芽!」


「お母さん、なんか椛おばあちゃんは一人で行き来出来るみたい。」


「はぁ?」


母親が状況を飲み込めてない。すると後ろから優しい笑みをたたえた椛が来た。


「これはこれは鈴芽さんの御母上……お初にお目にかかります、椛と申します。鈴芽さんの蝶者の役目については……反対ですか?」


さっきとの変わりぶりに奇妙とさえ思ってしまうほどだ。接待用ということか。


「あ、えっと……どうも、鈴芽の母の倉内(あずさ)と申します。その蝶者というのは具体的には……」


母親も一瞬戸惑っていたが直ぐに話し始める。


なんだか突然二人とも口調も声も変えて話し出した。長くなるだろうと思い鈴芽は無意識に持ってた笛を吹いた。


ピュー……


か細く笛がなる。と同時にこれは大雅を呼べる代物だったことを思い出す。


(あ、鳴らしちゃった……まあ大雅いないしいいか。)


笛を鳴らしてから僅か十秒程で大雅が来た。なんとも便利なものだと鈴芽は思った。


しかし案の定大雅の顔はまたとても不機嫌。


「チッ……お前かよ。んだよ何の用だ。」


「お母さんが、大雅に会いたいんだって。ちょっと話してよ。」


「はあ?何でだよ。お前の母親と俺が話す必要はないだろ。」


「まあまあ。私蝶者やめないといけなくなるかもしれないから。」


「何でだよ。まあ俺はお前が蝶者やろうがやらまいがどうでもいいけどな。」


相変わらず口が悪い。それよりも気になったのは……


「そういえば、耳と尻尾ないね。」


「あ?仕舞ってるんだよ。」


「仕舞ってる?」


「馬鹿かてめぇ。椛の話聴いてたか?俺は人間の血が多いから髪や目の色は変えられないけど、耳と尾は自分で出したり仕舞ったり出来るんだよ。」


そんなこと言ってたかもしれない。が、あの時の鈴芽は衝撃で話半分だった。


「そういえばそう言ってたっけ。ごめんごめん。」


「でもここでは出していいんじゃない?」


大雅は気持ち悪そうに言った。


「此処神社だろ。先ず此処に居たくないんだよ気持ち悪くなる。それに勝手に出すとそこの椛のババアがうるさいんだよ。」


神社だから?ああそういえば妖怪って神聖なものに弱いんだっけ?


まあいいかと母親を呼ぶ。


「椛おばあちゃん、お母さん、大雅来たよ。」


「てめ、話聞け!」


大雅が何か叫んでるが気にしない。


「あ、ああ鈴芽……その子が大雅君?」


すると大雅が耳と尾を自然に出した。


「え?えぇぇぇ虎!?」


鈴芽と全く同じ反応。親子だな、と思う。


「言ったじゃん。」


「いや聞いてたけど……本当だ!」


「何、お母さん。さっきもだけど信じてなかった訳?」


「四割くらい信じて無かった。」


「ひど!」


椛が大雅に近付く。


「大雅、何処に行っていた?」


「金の蝶探してただけだ。耳と尾は隠してる。」


「そうか。それは良かった。偉いな。」


椛がそっと大雅の頭を撫でる。息子にするように。しかし大雅は顔を顰める。


「撫でんじゃねえ気持ち悪い。」


「え、ああすまんな……」


直ぐに椛が手を引っこめる。


二人の距離感は、少し切なく見えた。反抗期の息子と世話焼きな母親と言ったところか。


「そうだ大雅。あの祠に手をかざしてみてくれないか。知らない場所に行ったらまた手を祠にかざして戻る。」


「あれにか?まあ別にいいけど。」


そして大雅は祠に歩み寄り右手をかざす。


ふと祠が一瞬光大雅の姿が消え、また数秒すると帰ってきた。


「どういうことだ、これ?」


椛はなにやら興奮して話した。


「おおやはり!きっと蝶者の力無くとも解放された金の蝶がつくった時空の歪み故、一定の妖力や霊力などがあれば一人でも行き来出来るのか!」


「でも椛、これ力少し吸われるぞ。」


「仕方あるまい。無条件ということは無いだろう。」


と、横から鈴芽の母親がそっと椛を呼びかける。


「あの……椛、さん?」


「ああ母上殿。申し訳ない。続きを話そう。と、その前に。鈴芽。」


すると椛は一つの鈴を鈴芽に手渡した。


「蝶者は本来金の蝶の気配が分かるらしいが、分からない内はその鈴が金の蝶の近くに来ると鳴らして教えてくれる。近づく程音が大きくなる。二代前の蝶者が使っていたとされる大事なものだ。失くすなよ。」


ころん、と鈴芽の両手の中に小さな銀の鈴が転がる。


「あ、うん。ありがとう。」


用意周到なことだ。


「この町にも金の蝶は沢山いるはずだ。先ずは習うより慣れろだ。試しに一匹大雅と捕まえてみるといい。この先二人でやっていくのだしな。」


「分かった。じゃあ大雅……って。」


振り向くと大雅はもう走り出していた。全く気の早い。


「ちょっと大雅!」


「あ、鈴芽!」


走り出そうとした鈴芽を椛が止めた。


呉々(くれぐれ)も金の蝶の誘いに乗ってはいけないぞ。そうやって皆金の蝶の虜になり依存していくのだから……」


「はーい!」


鈴芽は然程(さほど)真剣に捉えず聞き流し大雅を追いかけた。


「待ってよ!」


笛を使おうかと思ったけれど、一々笛に頼ってられない。それに何度も使ったら大雅だって嫌だろう。


体を操られているようなものなのだから。今後の関係の為にも鈴芽は追いかけることにした。


「じゃあお母さん、椛おばあちゃんまた後で!」


「え、あ、鈴芽!気を付けるのよ!」


「はーい!」


鈴芽は大雅を必死に追いかけて行った……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

が、結局途中で見失った。足は速いだろうと覚悟はしていたが想像以上に早かった。ほんの僅かで姿を見失い裸足なので足跡を追ったがそれも途中で見失った。


「はぁ……」


全くこんなんで、最初の回収も結局二人バラバラ。前途多難だ。


仕方なく歩いていると……


「ん?」


(あれ……)


鈴芽の十メートル程前に何かがいた、飛んでいた。近付きよく見てみると……


「……!?」


(これは……)



それは、ひらひらと飛ぶ金色の蝶だった。



連載 「大正公紀」 第二章 「虎の少年」 [完]

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