第一章 その2 「タイムスリップした!?」
少々短いので次回から1話の文字数増やしていきます。
「う…」
鈴芽は目を開けた。
しかし、すぐに目に光が入り眩しくて思わず目を閉じた。
頭が揺れる。さっきの浮遊感の所為で少し気持ち悪い。鈴芽は今までの事を思い出す。
今は春休み。だから凛華達と遊んでいた。そして凛華が烏山神社に肝試しに行こうと言った。鈴芽は烏山神社に行き境内の裏手で祠を見つけた。その祠にあった蝶の石を抜いたら祠の中が光り、手を入れたら突然目の前が暗くなってここに放り出された。と、思い出し鈴芽は後ろを振り返った。
「祠……」 そこには鈴芽が吸い込まれた祠があった。でも……
「蝶の石が嵌ってない!?」
蝶の石が嵌ってあるべき所は何も無かった。奥には暗闇の空洞。そして周りを見回す。
「あれ?ここ、どこ?」
そこは、見た事ない景色だった。
「え……烏山……いやそんな訳ない……こんな訳……ここ、どこ……?なんで……どうして……」
さっきまで散乱していた物はなく、木も覆い被さるほど大きいものはない。それに倒れても居ない。建物も綺麗。烏山に似ているがこんなに綺麗な訳ない。
「なんで!?どうしてここにいるの!?えまってここマジでどこ!?」
遅れて焦りと不安が来る。
「ちょっと待ってこれどうやって家に帰るの……?てかとりあえず、ここどこなんだろう……」
「鳥居…神社名書いてるかな。」
鈴芽は鳥居に近付きそこに彫られた文字を見る。
真新しい朱い鳥居にはこう書かれていた
烏山神社 大正三年 完 大正三年度 十一月六日
「は……?烏山?」
鈴芽は目を疑った。烏山神社と書かれている。しかし烏山のはずない。
「えっ、ここ烏山って……そんな訳……だって烏山は廃神社だし……八十年位前に管理する人が居なくなったって……こんなに奇麗なはず……人も私以外いなかったはずなのに…」
そして鈴芽は気が付く。周りの人はみんな着物。学生服の少年なども何人かいるがみんな鈴芽をチラチラ見ている。
「は……?え?どういう事?ここは、本当に烏山なの?」
混乱どころじゃない。全く訳が分からない。
「なんで……私はこんな所いなかったのに。」
「と、取り敢えずどうしよう……見られてるし……」
逃げる。その一言が頭に思い浮かんだ。
(走る。走って……取り敢えずここからいなくなる。)
そして鈴芽は視線から逃げるように走り出した。
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「ハァハァハァハァ」
喉が痛い。酸素が足りなくて肺が焼け付くような痛みがある。
おかしい、おかしい!
さっきから走っているのに、いつまでも似たような風景。髪も服装も建物もテレビで見るような和風、しかも殆ど木造、コンビニスーパーおろか信号や車さえ全く見かけず、下駄の音や話し声の音だけが聞こえ聞き慣れたスマホやゲームなどから出る音は一切ない。
まるで現代らしくない。そんなことは無いと思う。有り得ないことだ。しかし、こんなの、こんなのそうまるで……
「大正時代みたい⋯…」
明治・大正時代の文明開化した時のようだ。
どうして、どうしてこんな所に……
そしてみんなやはり鈴芽をチラチラ見ている。鈴芽はどうすればいいかも分からずあたふたする。
「あ……!」
と、スーツの男性を見つけた。
周りとは違うここに来て初めて見かけた洋装の人。根拠もないが何か分かるかもしれないと鈴芽は話しかけた。
「すいません、ここはどこですか?」
男性はが振り向いた。急いでいる様で、顔を顰めた。
「なんだ、君は?私は急いでいるのだが。」
「あの、すいません。その、ここはどこですか?」
「此処か?此処は猪苗代町だぞ。」
「え……」
猪苗代町?鈴芽が元いた場所だ。有り得ない。こんな、こんな風景……
と、一つの予想が頭をよぎった。そんなこと、ないはずだが、
「あの、今は、令和、ですよね?」
そんなこと有り得ない。ファンタジーではないのだ。有り得ない、はず。
しかしその返答は予感を的中させる。
「レイワ?なんだ、それは。今は大正四年だぞ」
「……は?」
そんなこと、有り得ないはずなのに
ここが丁度いい区切りでした。序章の円環構造になっていますでしょうか?




