博打
部屋の前に隣の部屋の女子大生達がなぜか待っていた。
「あの…お兄さん、もしかしてアフロディアじゃないですか?
あの、あの、もしそうなら…」そこで優は声を遮る。
「すいません。それ本当に良く言われるんですが、違います。誰ですか、その人?」標準語でそう言うと淳の肩を抱いて大急ぎで部屋に入った。
「やっぱり〜嫌な予感してたんや。」優がガクッと肩を落とす。
「そうか!Vチューバーって学生に人気だから!
ファンに偶然会っちゃったのね?」淳も状況を理解したが
口を急にふさがれた。
「黙って!ココ本当に声筒抜けなんだから!」優は真剣な顔をする。
「フフッ」ふさがれた手を払い除けながら淳が笑う。
「嵐で動けないけど、世間に知らせる方法はあるよね?特にアナタは声も聞かれてないし。
友人が自殺した話してたじゃん?雑談配信で。
島に行ってる他の仲間達から連絡入ったって、ココから配信できるじゃん?」
優が目を丸くしてる。
「大学生男子がこの民宿だけでも7人いる。他の民宿も男子学生の方が圧倒的に多い。グループなら殺せない。目立ちすぎる。」
淳の提案に戸惑ってるのか?目が右往左往してる。
「アナタのキャラは東京に居る設定で出来ない?
環境がないか?」淳が優の手を握る。
「…やろうと思えばやれるかも…でも、島を離れてからやらへんと
僕らの命が危なくない?」優ももしかしたら考えてたのか?
でも、根が優しいので淳の身を案じて口にしなかったのかも?
相手もどう出るか分からない。
これは、賭けになる。
ここは田舎の南の島だが、相手は東京のスレたオシャレじじいだ。
新しい物にも目ざとい。
淳は言っちゃ悪いが群馬生まれの群馬育ちの生粋の群馬っ子。
片や関西人、お上り3年目。
老獪さでは太刀打ち出来そうにない。
「騎士アフロディアをどれだけ東京に居る演出出来るか?だよね。
島に遊びに来てる子達はリア充で身体も体育会系が多い。
役所のヒョロちいオッサン達はまず手を出さないと思う。それもグループの子達ばかりだし。」
「もうVチューバー界のコレコレと言われてる界さんにはデーター送ってる。チャンネル登録者100万人超えてる人だからTVのニュースより影響あるよ。
ただ彼は案件大量に抱えてるから表に出るのに時間掛かる。」優が話す。
「もう!さすが!じゃ、私達が失敗しても、この事は表面化するわね!
良かった〜う〜ん、良い子!」淳に首に抱きつかれて
頬ずりされる。
優は、「ウザァ〜」と言いながら満更でもない。




