夏休み
宿に戻ると見知らぬおじさんとおばあちゃんがあたふたしてる。
よその民宿のおじさんがワラワラと大学生の集団を連れてきたのだ。
「もう、うち満員なんだよ〜
この子達が知らせて来た人数より10人も多くてさあ〜」おじさんが大学生をにらむ。
この島は民宿が少ないので、まず宿の確保してないか?
乗船前にチェックがあり、宿が取れてない人間はまず島に上陸する事が許されないのだ。
それくらい野宿やキャンプ等をされたくないのだろう。
なのに夏休みで来た大学生達は人数を正確に連絡していなかったようだ。
「どうしょうね〜?淳さん達、部屋1つで良いかい?」おばあちゃんが申し訳なさそうに聞いてきた。
「部屋1つですか…」優の顔を見た。
淳に浜辺で無理やりキスされて凄く嫌だったろうなあ〜とか顔を見たが、
そんなに嫌そうでもない。
「どうする?部屋一緒で大丈夫?
絶対何もしないからさ。」優に小声で聞く。
一応ラブラブ設定なので嫌がる訳にはいかないだろう。
「…僕はええよ。大丈夫。」優が素っ気なくうなづいた。
「なんで私達が6畳1間なの?!」淳は部屋割りにぶつくさ言う。
大学生が10人も居るので奥の家族部屋に男子7人。
優が使ってた部屋に女子3人と部屋割りしたらしい。
結局、淳が使ってた6畳間に2人分の布団を並べた。
結構、スキマはない。
「仕方ないよ。テーブル、足畳めへんし2人分の荷物もあるし…3畳に布団ひいたら
このスキマなるよ。」優の方が諦めついてるようだ。さっさと床に入った。
「朝1番でヘリの予約取りたいから、もう寝なきゃね。…しかし」優は頭を抱える。
明かりを消したが隣の学生達がにぎやかでとても眠れそうにない。
「…あのさ、聞いていい?」優が声を掛けてきた。
「うん?いいよ、何?」淳は暗闇で耳栓を探しながら返事する。
「なんで、さっきキスしたん?2回も」確かに変かもしれない。
「若者が死に急ぐのがイヤだったのよ〜
う〜ん、最初船で優が私を船べりから引き剥がそうと手を引いて来たじゃん?
あれと同じだよ。」荷物をゴソゴソしながら話す。
「でもキスは変じゃない?」優が食い下がる。
「友達が死にたくないのに死ぬしかなかった海じゃん。
優みたいな人だと連れて行かれる気がしてね。
魂を海に持っていかれそうで、何が何でも生に執着して貰いたかったのよ…な気がする。」やっと見つけた耳栓をしたが、今度は壁ドーンやギャーと言う声までして半分寝るのを諦める。
「僕が好き?とかでは無いの?」優が遠慮がちに聞く。
あちらを向いて寝てるので優の表情は分からない。
「ハッ?新婚ラブラブのふりしてるだけだよ。他意はないよ。」正直とは言えないが、今はそれどころじゃない!
あちらに顔バレしてるはず。
絶対2人を探してるはずだ。
「…そうやね。分かった。」優も納得したようだ。
結局一睡もできずに朝になった。




