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三蔵島  作者: たま


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15/25

弱点

船が止まってるのにヘリだけ飛ぶなんてご都合主義は通らなかったようでドクターヘリも兼ねた島を繋ぐシャトルヘリは運航停止と表示された。

「あ〜っ、ダメかあ〜」小声でため息を付く。

「僕らがここに居るとはバレてないし観光客に紛れてるし大丈夫ちゃう?」優も目を覚まして携帯を覗いてきた。

「ヤメて!スッピン見ないで〜!!」アラサー女子は素肌に自信が無いのだ。

「はあ?今さらやで〜

とっくにスッピンなんか見慣れてるわ!」優は呆れたように枕にあごをのせて身体を伸ばした。

この暑さで脂汗で化粧なんて10分ほど歩けば剥げる。

確かに化粧直しなんか島来てから全然してなかった。

数少ない民宿3軒は大学生が一気に夏休みでインスタ目当てで増えて島は賑わってる。

一応若者の部類の2人に似た風貌が増えた。

「特に今夜は6時以降外出たアカンのやろ?

見つからへんと思うねん。

それよりちよっとこれ見て!」荷物からノートパソコンを出す。

「役所の3年前の『三蔵島開発計画』の書類見つけてん!」ボソボソと淳の耳元で優が話す。

隣の大学生達は日が上がってから寝たみたいで、今は静かなのだ。

ノドが寝起き枯れしてるので息の方が良くかかる。

「ふうっ…」と思わず首をすくめた。

「携帯で昨夜探し回っててん。」さすがネットの世界で生きてるVチューバーだ。

淳が耳を手で隠すので手を払った。

「なんで隠すの?大きな声出されへんねんから、ちゃんと聞いてや。」優が怪訝な顔をする。

「ごめん!私、耳が…弱いの。だから、あまり至近距離で息が掛かると…ちょっと…」淳が顔を背ける。

耳が赤くなってる。

どうも…◯感帯のようだ。

「プッ、そこなんか?弱点らしい弱点ないタイプやと思たけど。」

ワザと手を掴んで耳に息を掛ける。

「ハア…」と淳が身をよじると「あっ、アカン!」となぜか優が慌てて階下のトイレに走った。

本当に耳が弱いのだ。

まあ、滅多にバレないので大丈夫なんだが。

「同じ部屋ってヤダなぁ〜脱出も出来ないし…」淳は暗澹(あんたん)たる気持ちになる。

3年前の「三蔵島開発計画」は帰郷した東京の元アートディレクターが役所に企画を持ち込み始まったらしい。

まず絵描き村の発足、募集から始まっている。

有名アーティストのモニュメントが出来たのは今年に入ってからだ。2年のタイムラグがある。

その間に贋作で稼いだと言うことか?

そこから一気にインフルエンサーを招待し客を呼び込み、夏に入ったら大学生もやって来た。

そして、さりげなく絵描き村は表から隠蔽された。

「はあ〜いかにも東京帰りがやりそうな手口だよなあ〜」優のノートパソコンの計画書見ながら淳は溜め息ついた。

「私もトイレや洗面所混む前に身支度しょう。」今日は自前で持ってきたアロハにする。

優には初日の真っ赤な海人Tシャツを洗濯機借りて洗って置いたので着せよう。

優は信じられないがネズミ色の長袖の服しか持ってきてないのだ。

Vチューバーは服要らないんだろなあ〜とは思ったが、ここまでスッキリしてるとは思わなかった。

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