488.貝とイール
ヒューズさん達は無事にバイバルブタートルの魔石を確保してくれた。
それにガストロポッドタートルというモンスターの魔石も手に入れてくれた。
ガストロポッドタートルのドロップアイテムはバイ貝だった。
名前は聞いたことがあったが白っぽい黄褐色巻貝は見たことはなかった。
これは食べれるのだろうか。
アヤノかアースに確認だ。
俺達は地下4階層に来ていた。
海面を走るケルピーに漁船が何度も襲われたが、このメンバーだと何の不安もなかった。
「地下5階層はケルピーの上位種だ。海の中でもあの速度で動くけどライル1人でも倒せるぞ。やるか?」
「うーん。みなさんにおまかせします」
「やらないのー?」
「ちょっと夜まで体力を持たせたくて」
ウナギや貝が手に入ったおかげで、やりたいことが大量だった。
「試作だろ?試作をつまみに飲ませてくれるか?」
「うーん。試作でいいなら!あ、あとライルダンジョンでショーグン達に回収させるので夜中とかになりますよ」
「そしたら俺達も夕食を我慢しないといけないな」
ヒューズさん達は試作を食べつくすつもりみたいだ。
「じゃあボスはお願いしますよ」
「ああ。任せろ」
漁船はケルピー達を倒しながら地下5階層に向かっていた。
▽ ▽ ▽
無事にマヌセラのダンジョンは消滅した。
ボスモンスターのラピッズケルピーをヒューズさん達が瞬殺し、コアを回収して帰ってきた。
そして俺はライルダンジョンの地下14階層。
環境は島で狭く設定した。
島も囲んでいる海も狭いくなっている。
『秘密基地』でダンジョンをいじって、ショーグン達が立てる高さまで海底の高さをあげた。
モンスター進化でバイバルブタートルとガストロポッドタートルの上位種が出現するようになった。
出現数をかなり増やして、ショーグン達に夜中まで狩りまくってもらう予定だ。
▽ ▽ ▽
最高すぎる。
俺とアヤノはテンションが確実に上がっていた。
まずはドロップアイテムの貝が素晴らしかった。
バイバルブタートルからはシジミ・アサリ・アカ貝・ホッキ貝。
ビッグバイバルブタートルからはバカ貝・ハマグリ・ムール貝・カキ・ホタテ。
ガストロポッドタートルからはバイ貝・ツブ貝。
ビッグガストロポッドタートルからはサザエ・アワビ。
これはテンションが上がらずにはいられない。
「ライルさん。煮アナゴとウナギの蒲焼きのたれを作りました」
「おお。すごいな」
イールの種類が多すぎて、もうウナギとアナゴとハモと呼ぶことにしている。
シーバナナをバナナエビと呼んだりしてるから、みんなも慣れてくれるだろう。
「アースさんがライルさんを探しに少しだけヤルクに来てたので、お互いのウナギとアナゴとハモの記憶を出し合いました」
「アースが来てたんだ」
前にアースを探しにロサキに行ったから、それを聞いてわざわざ来てくれたんだろう。
「アナゴを煮ているタレもウナギの蒲焼きのタレも、骨から出汁を取ってます」
「まじ?すごいな」
「かなり頑張りました」
アヤノはどうしても蒲焼きが食べたかったみたいだ。
「ヒューズさん達が試作を食べさせろって言うから手伝って」
「はい。でもウナギとアナゴとハモはまだ養殖できてませんよね?」
「ダンジョンで捕まえた分はモズドに捌いてもらってるからそれを使って」
「わかりました」
アヤノは頷くとマヌセラに向かった。
「それにしてもドロップアイテムが貝なのは最高すぎる。けどマジックバッグに入れられないのがきついな」
俺も驚いたが、ドロップアイテムの貝は生きていた。
だから大量に保存することはできない。
『秘密の通路』も毎回登録しないと通れないから。
ライルダンジョン内で調理して、マジックバッグに入れるのが最適解だ。
この問題はウナギとアナゴとハモの養殖に成功したら再びぶつかる。
いい方法を考えないといけない。
▽ ▽ ▽
ヒューズさん達が工場エリアにやってきた。
「うわ!いい匂いがするな」
「試作どんどん持っていくんで食べてください」
ゴーレが5人を用意してテーブルに案内する。
俺はとりあえずに1品目を運んだ。
「まずはシジミ汁です。貝の身は小さいですが美味しいので是非」
「こんな小さな貝を食べるの初めてかも」
「ノヴァが初めてなの?」
「マヌセラで貝が取れることはほとんどないし、取れてもハマグリが年に数個だけかな」
「そんな感じなんだ」
ちゃんと野生の貝も生息しているようだ。
俺は浜焼きの準備を始める。
その間にイーがパスタを作り始めた。
イーにはアサリのボンゴレパスタを教えたので、それを作っているのだろう。
アヤノは煮アナゴを皿に盛って、ヒューズさん達に出した。
「煮アナゴです。ファットイールはアナゴとも呼ばれるんですよ」
「煮アナゴってことは煮ているのか?」
「そうですね。甘辛く煮ています」
ヒューズさんは煮アナゴを箸で切って、口に運ぶ。
「なんだこれ!!柔らかいぞ!お前らも食べてみろ」
「何これー。あのヌルヌルがこれ?」
「凄い。口に入れたらすぐ無くなる」
みんな煮アナゴに驚いていた。
酒がどんどん無くなっていく。
ゴーレが注文を聞き、トレスとターが往復して運んできてくれている。
アヤノは焼き鳥を焼くマジックアイテムでウナギを焼き始めた。
「マスター。カンセイシマシタ」
ワーは俺の所にお盆を持ってくる。
お盆の上には貝の刺身盛り合わせと生ガキが乗っていた。
「わ!貝だけでこんな豪華になるのか」
俺はヒューズさん達に刺身と生ガキを持っていく。
「えーっと」
刺身の説明をしようとしたが、俺にはホタテとアワビとアカ貝しかわからなかった。
「マスター。共有で把握できてますので、私が説明してよろしいですか?」
「ゴーレお願い」
するとゴーレは刺身に手を向けた。
「貝の刺身盛り合わせです。右からアカ貝・ホッキ貝・バカ貝・バイ貝・つぶ貝・ホタテ・アワビです」
「こんなに種類があるの?」
リリアンさんは驚いていた。
「俺にも見分けが付かないです。味は全然違うので食べたらわかると思います」
「そうなのね。お酒は何がいいかしら?」
「うーん。ヤルク酒の辛口か白ワインですかね」
「そう。じゃあヤルク酒をもらおうかしら」
リリアンさんがそう言うと、ゴーレは頷いた。
俺は調理に戻り、ムール貝の酒蒸しを作り始めた。




