489.テレポートゲート
貝の可能性はかなり高い。
それにウナギとアナゴとハモも養殖が成功すれば、ライル商会の目玉になる。
ワーやヨー達はモズドにウナギとアナゴとハモの捌き方を熱心に聞いていた。
ドロップアイテムの貝が生きているせいでマジックバックにも入れられないし、わざわざ『秘密の通路』を通すのもめんどくさい件を早めに解決したかった。
「コアはどっちのダンジョンで使おうか」
ライルダンジョンはLv10でヤルクダンジョンはLv7。
ドロップアイテム増加Lv3とかになったら最高だから、コアはライルダンジョン一択だ。
俺はダンジョンコアをライルダンジョンに吸収させた。
すると目の前にウィンドウが現れた。
[テレポートゲート設置可能。ゲートコイン作成可能]
「ん?テレポートゲート?」
俺はわざわざその機能を使う意味が理解できていなかった。
「ゴーレ、新しい機能についてわかる?」
「確認してみます」
ゴーレはダンジョンコアに触れた。
「指定の階層にゲートを作れるみたいです」
「意味ある?」
「ライルダンジョンでは意味ないかもしれませんが、ヤルクだと需要はあると思います」
「え?どういうこと?」
ゴーレはテレポートゲートについて説明してくれた。
テレポートゲートは指定の階層に設置できる。
ゲートと共にゲートコイン作成器も設置される。
ゲートはゲートコインで起動し、ゲートコインを作成した階層へテレポートが可能。
「これって1階層に設置したら、前回の攻略で行った階層まで行けるってこと?」
「そうですね。テレポートゲートを設置してある階層にならいけると思います」
「1階層のゲートコインを持っておけばすぐに帰れるってこと?」
「そうですね。ゲートは1枚で数十秒起動するそうです。なので新人冒険者の育成とかでも使えそうですね」
「なるほどね」
テレポートゲートはダンジョンの進捗のセーブとロードみたいな感じなのだろう。
「一回試してみよう」
俺は試しに地下14階層にテレポートゲートを設置した。
地下14階層の入り口付近にファンタジー感が満載な石造りの柱が2本現れた。
その横に石碑のようなものに触れて魔力を少し込めると黒いコインが出てきた。
「これがゲートコインか」
俺はそれを持って『秘密の通路』で1階層に行く。
そして1階層にもテレポートゲートを設置した。
石の柱にコインを嵌める所があったので嵌めてみた。
すると2つ石の柱の間に青白い光の壁のようなものが出来た。
「これかな?」
「そうだと思います」
「じゃあ行こうか」
「はい。私が先に入ります」
ゴーレは青白い光の壁に入っていく。
俺もそれに続いて入ると、さっきテレポートゲートを設置した地下14階層に移動していた。
「あーなるほどね。これはライルダンジョンにはいらないけど、ヤルクダンジョンにはほしいね」
「そうですね。あ、マスター」
「ん?」
「このゲートがあれば『秘密の通路』を使わずに貝をダンジョンの外に運べそうですね」
「少しだけ楽になるのか。マジックバッグに入らないから、めんどくさいのは変わらないけどね」
『秘密の通路』よりはほんの少しだけ楽にはなるだろう。
「ヤルクダンジョンに設置するにはコアがあと4つか…」
「危険地域で遠征などすればもしかしたらダンジョンがあるかもしれません」
「冬の長期休みはガト王国に行くからそれ以降になるかな。意外と水の日の授業が邪魔だな。来期は断ろう」
俺とゴーレは地下13階層に移動した。
イールがちゃんとライルダンジョンでも生きていれるか確認しにきた。
歩いているとリビングアーマーが魚餌を撒いていた。
餌に群がるイール達。
イール達はライルダンジョンでも生きていけそうだ。
「養殖が進むまではとりあえず待ちだね」
「貝はどうしますか?」
「貝もイールの養殖が安定するまでは放置にしておこう」
「わかりました。ショーグンに伝えておきます」
俺とゴーレはライルダンジョンを後にした。
▽ ▽ ▽
俺とゴーレはデスヘルに移動した。
テレポートゲートについて、マリーナさんに伝えるためだ。
「マリーナさん」
「どうしたの?」
「相談というか提案というか…」
「何?怖いわね」
マリーナさんは顔を引き攣らせていた。
マリーナさんに案内され、執務室にやってきた。
「それで?」
「ライルダンジョンにダンジョンコアを吸収させたらテレポートゲートが設置できるようになりました」
「テレポートゲート!!あの?」
「知ってるんですか?」
「知ってるわよ。古くからあるダンジョンに時々ある装置よ。私は見たことないけど、ナハナ迷宮国にあるのは聞いたことあるわ」
「へー。ナハナにあるんだ」
ナハナには行ったことはあるが、ヴァイオレットの件とかあったからダンジョンには入っていない。
「それで相談は?」
「ヤルクダンジョンにもあったら便利ですよね?」
「そうね。あったら便利よね」
「あと4つダンジョンコアがあれば作れます」
「4つをどうにか集めてほしいってこと?」
「はい。高額の賞金を付けてもいいです。危険地域はダンジョンが出来やすいみたいなので…」
「うーん」
マリーナさんは悩んでいた。
「命知らずの冒険者がダンジョンに無謀な挑戦をしちゃう気がするのよ」
「あーそうか」
弟子やヒューズさん達の強さに慣れすぎてたけど、ダンジョン内で冒険者が死ぬことなんてざらにある。
「それならダンジョンコアを探す依頼を出してください。期限無しで」
「それだと何にも変わらないんじゃない?」
「その依頼を受けるための条件に試験があると記載してください」
「試験?…あー、ライルくんが試験をするのね?」
「はい」
マリーナさんはまた考え出した。
「わかったわ。それならいいわ」
「【光剣の輝き】と【ドルビダ一家】は強制参加で。ライル商会所属は不参加でお願いします」
「わかったわ。ダンジョンコア1個の報酬はどうするの?」
「うーん。適正価格ってどれくらいだ…。俺が出来ることなら何でもとかにします?」
「ライルくんが出来ること?」
「うちの商品でもいいですし、1年間[鬼将軍の調理場]での食事無料とか。この前【蒼玉姫】のサフィオラさんには模擬戦をお願いされましたよ」
「わかったわ。依頼人の出来る事とかにしておくわ」
マリーナさんは呆れ顔でそう言った。




