486.イール試食
生徒と鬼骨騎士団が模擬戦をしている中、俺は養殖について考えていた。
昨日、マヌセラの地下2階層で釣れた新種は4種類。
オイルイール・マザーオイルイール・ファットイール・シャープイール。
マザーオイルイールが大きかったから気づかなかったがイールはウナギ系の魚だ。
マザー以外のイールは元の世界のウナギと同じくらいサイズだったから気づくことができた。
一応マザーはリリースしておいた。
『鑑定』したら3匹とも違う特性を持っていた。
○オイルイール
体の脂が多く、体を油で包んでいる魚。
体を包んでいる脂がとてもヌルヌルしている。
血液に毒を含んでいる。
海水と淡水の両方で生活できる。
○ファットイール
皮膚がツルツルしていて、臆病で土や泥に隠れて生活している魚。
雑食で何でも食べる。
血液に毒を含んでいる。
海底に生息していることが多い。
○シャープイール
体が細長く、鋭い歯をもった魚。
何でも噛み千切ろうとする獰猛な性格。
海底に生息していることが多い。
俺は元の世界の魚の知識を思い出す。
思い出すと言ってもほとんど知識はないが。
ヘビみたいな魚は何匹かいる。
この3匹と近い魚がいるはず。
ウナギ・ウツボ・アナゴ・ウミヘビ・ハモ・リュウグウノツカイ。
他にもいるだろうけど、俺の知識ではこれくらいしか思いつかない。
血液に毒があるっていうからウナギは確定だと思う。
「ウナギとか目になんか刺して捌いてなかったっけ?捌き方もわからないのは困った。アースとか知ってるかな」
俺は捌くことから考えないといけなかった。
▽ ▽ ▽
授業を終えてヤルクに帰った。
ゴーレにアースを呼んでもらったが、ロサキにいないみたいで呼ぶことはできなかった。
俺だけではどうにもならないので、さすがにウナギみたいな魚の捌き方は知らないだろうけどアヤノを呼んでもらった。
「ライルさん。どうしました?」
「ウナギみたいな魚を3種類捕まえたんだけど、捌き方とか知ってる?」
「すみません。さすがにウナギは捌いたことないです。なんか背開きとか腹開きとかは聞いたことはありますけど…」
「だよねー」
「モズドさんに頼むのは駄目なんです?」
「え?さすがにウナギは捌けないんじゃない?」
「魚なら捌けると思いますよ。モズドさんのエクストラスキルなら」
「え?」
俺は知らない情報に驚いた。
「モズドさんは『鮮魚解体師』っていうエクストラスキル何ですよ。マールさんの『解体人』の魚バージョンのようなスキルです」
「えーまじ?」
「そうですよ。魚なら捌き方が何となくわかるはずです」
「お!それならモズドに任せるか」
俺はすぐにマヌセラに行き、[鬼乃屋]に向かった。
「ライルさん。どうしました?」
「ダンジョンで新種の魚を見つけたんだよ。捌いてくれない?」
「ダンジョン見つけたんですか!?モンスターではないんですか?」
「たぶん魚のはず。魔石が入ってたらごめん」
「わかりました。捌いてみます」
俺はまずオイルイールを取り出す。
「どう?」
「大丈夫だと思います。始めてやりますがやってみます」
モズドはオイルイールを手に取ると、水で表面の油を洗いだした。
包丁の背でこすったりして入念にヌルヌルを洗い落とす
まな板の上にオイルイールを置き、金属の串で顔を刺してまな板に固定した。
「これ見たことある」
俺は元の世界で見たことがある光景に少し興奮した。
モズドは背中に包丁を入れて、捌きだした。
俺も自分で出来るようになるために、しっかり見学をした。
モズドはオイルイールを捌き終えた。
「食べられそうな部位以外は捨てて、毒性の血はしっかり洗い流しました」
「ありがとう」
俺は『鑑定』をした。
○オイルイールの頭
オイルイールの頭部。
とても骨が多い。
○オイルイールの切り身
オイルイールの胴体から尾の先端までの身。
頭に近い部分は肉厚で、尾に向かうにつれて身が薄い。
○オイルイールのヒレ
オイルイールの背びれ。
オイルイールの旨味が凝縮されている。
○オイルイールの肝
オイルイールの内臓。
栄養価が高い。
○オイルイールの骨
オイルイールの骨。
非常に栄養価が高い。
「これはいけそう。完全にウナギな気がする」
「そうですね!!」
アヤノは物凄く嬉しそうだ。
ウナギが食べれる可能性が出てきたのが嬉しかったのだろう。
モズドはどんどん捌いて行く。
ファットイールはオイルイールとよりも太いのに脂がそこまで多くなかった。
身と骨が食べたり調理に使えそうだ。
シャープイールは何故か特殊な捌き方をして身だけになった。
アヤノ曰くハモの処理の仕方と似ているらしい。
モズドが身に細かく切れ目を入れていた。
ハモという魚が俺の記憶にはいなかったが、湯引きと言われて見たことある気がした。
「アヤノ。調理できそう?」
「うーん。何となくなら出来そうですけど。たぶんウナギとアナゴとハモみたいな魚だと思うんですよ」
「蒲焼きとかはタレとか作るの大変そうだから、普通に焼いてみる?まずかったら養殖する意味ないし」
「そうですね」
モズドは店を閉め、俺達3人はイールを調理することにした。
▽ ▽ ▽
「とりあえず白焼き?」
「そうですね。フライパンでそのまま焼いてみますか」
「うん。やってみよう」
俺がそう言うとモズドが3つの切り身を焼き始めた。
「魚型のモンスターと違って、香りはかなりいいな」
「あとは味ですね。これでまずかったら、ちょっと凹みます」
アヤノは願うようにフライパンを見ている。
身がどんどん白くなっていく。
香りも増してきた。
これでまずかったら俺も凹みそうだ。
「こんなもんですかね?」
「たぶん大丈夫かな。塩を軽く振って食べよう」
「そうですね。まずは塩だけで」
「まずは不安なシャープイールから」
俺達はシャープイールの白焼きを口にする。
「ん?美味いな。身がフカフカしてる」
「そうですね。小骨が多かったので骨切りという方法を使ったのですが、小骨が完全に消えてますね」
「美味しいです。モズドさんの処理が上手かった気がします。そのまま焼いてたら小骨の不快感があったかも」
シャープイールは淡白な味だったがかなり旨かった。
ハモかと言われても食べたことがないのでわからなかった。
次はファットイールの白焼きを食べる。
「あーさっきと違う。旨味が多い気がする」
「脂もありますね」
「うん。身も多いですね」
アナゴは煮アナゴしか記憶にないが確かこんな感じだった気がする。
アヤノが訂正しないから多分アナゴなのだろう。
最後に本命のオイルイールを食べる。
「うわ!これはやばい!」
「凄いです。脂が多いから旨みがすごいです」
「いやーこれはいい!いいです!!絶対養殖成功させてください!」
アヤノのテンションは上がっていた。
「じゃあちょっと頑張ってみるか」
俺は本格的に養殖を試してみることを決めた。




