480.チバラスの街
水の日なので授業だ。
今日はガッツさんとヒューズさんを連れてきている。
9人の生徒と鬼骨騎士団の魔装訓練。
2人に授業を任せて俺は黄盾騎士団の訓練所に来ている。
「ライル。今日はどうした?」
「えーっと今日は2点です。まずはサオラル共和国で恐慌のシンボルというものが配られてて、それを所持してた大量の人が自殺をしているそうです」
「なっ!」
「そのシンボルを配ってた人物はギーフ教の神官と名乗ってたらしいです」
「そいつは捕まえてるのか?」
「いえ。目撃情報だけです。マルティル元首から共有していいと言われたので国王様にも共有をお願いします」
「ああ。わかった」
オステオさんは渋い表情をしていた。
「2つ目は王都に作った飲食店の話です。4日後の天の日の夜に開店するつもりなので国王様に伝えておいてください。オステオさんも来てくださいね」
「わかった」
「カラッカ家から4人来るので、国王様とオステオさんは1人ずつならご同伴しても大丈夫です」
「うーん。そうか。考えておこう」
「お願いします」
俺はそれを伝え、学園に戻った。
▽ ▽ ▽
学園に戻り、魔装を使って模擬戦を行う。
俺の相手はゴトフだ。
「どう使えてる?」
俺はゴトフの腹に拳を入れる。
「ぐっ!まだみたい」
「難しいんだよね。俺もちゃんとできるようになったのは弟子達よりも遅かったから」
「そうなの?」
「うん。数年ぶりに目覚めたら、みんな完璧にできてた」
「ぐっ!じ、じゃあ頑張ったら使えるようになりそうだね」
「そんなに甘くないと思うよ」
俺はゴトフの顔を殴って吹き飛ばす。
「甘くないでしょ」
「い、痛みは抑えられてるから」
「じゃあすぐに立て直さないと。ワープ」
ゴトフの背後に回って蹴り飛ばす。
「そ、それはひどくない?」
「モンスターに襲われてもそれ言うの?」
俺は倒れてるゴトフを再び蹴り飛ばそうとしたが、ゴトフは両腕で防がれた。
「やるねー」
「でしょ!」
ゴトフは立ち上がり、攻撃を仕掛けて来る。
「うん。いいね。ワープ!」
「がっ!それずるい」
ゴトフの頭上にワープして踏みつける。
ゴトフとの組手はなかなか楽しい。
弟子達とやると普通に負ける可能性があるから怖くてできない。
「ゴトフ、まだまだ続けるよ」
「あーもう腹立つ!ライルを倒すまでは止めないぞ!」
俺とゴトフは授業が終わるまで組手を続けた。
授業終わり、ワカチにゴトフと移動する。
「グリリで移動すれば夜の間にチバラスの街に到着する?」
「うん。到着するね」
「そしたら宿に泊まってサーカスの様子を見ようかな」
「うちに泊まらないの?」
「いやゴトフの父親の圧が凄いし」
「はは。じゃあ宿にしようか」
俺とゴトフはグリリに乗って、チバラスの街へと向かった。
▽ ▽ ▽
翌朝。
宿で目を覚ました。
予定通りチバラスの街には深夜到着し、ゴトフがいたおかげで何とか街の中に入れた。
深夜に街の出入りを禁止している街があることを初めて知った。
ゴトフパワーで何とか宿をとり、店はどこも閉店してるのですぐに寝た。
部屋を出て1階に行くと、ゴトフが食事をしていた。
「おはよう」
「おはよう。寝れた?」
「うん。俺も同じもの頼もうかな」
俺は宿屋の従業員に声をかけ、ゴトフが食べているものを注文した。
「サーカスは街の外?」
「街の中に興行用の場所があるからそこにテントを張ってるはず」
「そうなんだ。じゃあ朝食を終えたらすぐに行こう」
「うん」
俺の朝食が届いた。
パンとスクランブルエッグとサラダとスープだ。
パン以外の材料はうちの商品だと思う。
俺はスープにパンを浸しながら朝食を食べた。
チバラスの街はかなり大きくて王都並に発展してた。
「おお。さすが国王の弟が治める街だな」
「ワイアットの中だと王都の次に発展してるかも。ちょっと前までは」
「ちょっと前?」
「誰かさんが作った街には勝てないって話!」
「あー」
ゴトフが言ってる内容がやっと理解できた。
話していると見慣れたテントが見えた。
「おー!やっぱり目立つな」
「あれがエクストラスキルなんて信じられないよね」
モンスターサーカスのテントや機材は全てテルマリア支配人のエクストラスキルだ。
結婚したジェラルドン副支配人がテイム系のエクストラスキルだったからモンスターサーカスになったらしい。
俺達はサーカス団員に話しかけ、テルマリアさん達の所に案内してもらった。
「ライルさん、ゴトフさん!」
「どうです?調子は?」
「かなり順調です。チケットも2公演分がほとんど売れていますし、モンスター達も健康です。ね?」
「うん。カラッカ公演から順調に進んでます」
テルマリアさんもジェラルドンさんも嬉しそうに報告してくれる。
「なんか困ったことはありませんか?」
「あー。御相談しなきゃいけないことがあって」
「なんです?」
「数日前にモンスターサーカスに支援をしたいという方がいらっしゃって」
「お!いいじゃないですか」
モンスターサーカスとは協力関係だが、別にライル商会ってわけではない。
出資や支援をしてくれる人がいる分には問題ない。
「それが…。ゴトフさんから前に聞いた話を考えると決断が出来なくて断ってしまいました」
「前に聞いた話?」
「変な宗教に気を付けた方が良いという話です。支援をしたいと申し出てくれた方が僧侶の方で、シンガ教として支援がしたいというお話だったんです」
「は?シンガ教!!」
「はい」
まさかシンガ教がサーカスに接触してるとは思わなかった。
「シンガ教は話にあった、変な宗教です」
「あーよかった。断って!!」
ジェラルドンさんは安心した表情をしている。
「人の精神に作用するマジックアイテムを渡してくるので要注意してください」
「はい。全団員にも伝えます」
「その僧侶の名前ってわかります?」
「ザビュルって名乗ってたと思います」
「まじか…。デスヘルの冒険者パーティを暴れさせたのはそいつの可能性が高いんです」
「本当ですか…」
俺は少しサーカスの公演が不安になった。
「ゴトフ。セフィーナさんとボリボアと相談して、公演当日と公園前の数日の警備を用意させよう」
「うん。わかった」
「いまはそれしか思いつかないけど、他にも対策を考える。テルマリアさんとジェラルドンさんも警戒だけはお願いします」
「「わかりました」」
ゴトフは実家に情報を共有しに行った。
待っている間、出来る対策を考え続けた。




