468.隠れ家居酒屋
翌日。
俺は[鬼火亭]の場所を変え、ガラス工房を陶芸の窯場の横に作った。
思った以上に大きく4マスだった。
ガルスタンと一緒に中に入る。
中に入ると手前に4つマジックアイテムの炉があった。
「これは何かわかる?」
「はい。サオラルで見たので。1つはガラスの素材を溶かす炉。もう1つは低温で出来上がったものを冷ます炉。残り2つは作業中に使う炉ですね」
「あーそういうことね」
細かい道具なども置いてあった。
扉があり、奥のエリアに行ってみる。
すると完全な工場のようになっていた。
わかるだけでも3台のマジックアイテムがあった。
「これはなんだ?」
「うーん。オラにもわからんですね」
ガルスタンもお手上げ状態。
炉のようなマジックアイテムにディスプレイが付いていた。
「何ミリか指定するみたい」
俺は適当に選択する。
「ここにガラスの素材を入れるのかな?」
「そうみたいですね」
「ちょっと入れてみる?」
「わかりました」
ガルスタンはマジックバッグからキンググラススライムの核を砕いたものを取り出し、マジックアイテムに入れた。
マジックアイテムに魔力を込めると一気に高温になった。
「これが炉なのか」
炉から溶けたガラスが流れ出した。
流れ出したガラスは型のようなもので形成されていく。
「あー板ガラスか」
「なるほど。これで作るんですね」
ガラスは板状になったまま少しずつ移動し、別のマジックアイテムの上で止まった。
「ここで冷却とカットをするみたい」
「あまり数は作れなそうですね」
「うん」
本当の板ガラスを作る機械と比べるとだいぶ小規模なんだろう。
どちらにせよガラス工房は大当たりだった。
「ガルスタン。王都にこういう店を作りたくて。お洒落な皿とか作ってみてくれない?」
俺は今朝アリソンからもらった立体的なイメージ図コピーと平面図コピーを渡した。
ガルスタンはそう言いながら平面図に指を指した。
「この雰囲気に合うものですね」
「うん。いけそう?」
「任せてください!」
ガルスタン頷いた。
「クトムにもお洒落な陶器をお願いしたいのと、家具は一番いい奴でお願い」
「わかりました。任せてください」
ガルスタンは満面の笑みで頷いた。
とりあえず製造部への依頼は終わった。
▽ ▽ ▽
俺は王都で細かい調整をしている。
家家家家家 B
庭庭庭家店 A
01234
隠れ家居酒屋はかなりいい。
城壁とは少し違った綺麗な石壁と頑丈そうな木の扉。
床も暗い色の木のフローリング。
カウンターのみで多分定員は最大8人くらい。
カウンターではお客さんの前で調理ができるスペースがあり、3パターンまで調理場の器具を保存して変更できるようになっていた。
奥にある客には見えないエリアでも調理が可能。
全部は確認できてないがマジックアイテムもそれなりにありそうな雰囲気。
トイレも2つある。
俺は奥の客には見えない調理エリアを確認する。
「マジックドリンク製造タンクが5つもある!!!」
本当に大当たりだ。
店外には移動できないから、隠れ家居酒屋でしか使えないのだろう。
俺はコーラ・ビール・炭酸水・ヤルク酒辛口、そしてヤルク酒の甘口を新たに追加した。
学生の時、ある銘柄が飲みやすくてかなり高い種類を買って飲んだことが1回あった。
それをイメージして作ったが上手くいっただろうか。
あとでアースに飲ませよう。
他のマジックアイテムはマジック食器洗浄乾燥機・マジック製氷機・マジック冷蔵庫。
マジックボックスは追加できるのでカウンター下と奥のエリアに1つずつ設置した。
俺は魔力線を細かく調整して、雰囲気がいいライティングを作る。
「後は置くものだよね。陶芸品とかおきたいよね」
カウンターの後ろに製造部門が作ってくれる芸術品を置く棚を作った。
「あとは調理器具か。カウンターが3セット記憶できるなら、天ぷら・焼コッコ・鉄板焼きを日替わりでやるか」
店で出す料理もそれなりに決まった。
後は試作をしていくだけだ。
「ガルスタンに調理器具も頼んでおけばよかった」
俺はガルスタンに依頼をするためにヤルクへ戻った。
▽ ▽ ▽
ヤルクに戻ってガルスタンに依頼をしたら、アヤノに捕まって工場エリアにやってきた。
[鬼火亭]以外の店舗の料理人が集まっている。
「何?食品部門勢揃いでどうしたの?」
「クトムさんにこれを作ってもらいました!」
アヤノが取り出したのは土鍋だった。
「お!鍋だ」
「そろそろ寒くなりそうなので、試作を作ろうかと」
「いいね。それ急いでやって、土鍋と鍋のレシピをセットで売るのは?」
「いいですね!クトムさんとルフレッテちゃんに相談してみます!」
アヤノはノリノリだった。
「ライルくん。この土鍋を使った料理がわかるのかい?」
「なんとなくですが。スキルのおかげで」
「肉はやっぱりミノタ肉を使うかい?」
「いやオーク肉かコッコ肉か魚介がいいですね」
「そうなのか」
「ざっくりいうと煮込む料理なんです。味の付いた汁で煮込んだ食材をそのまま食べる」
「だから小さい土鍋もあるのか」
アヤノは1人前用の土鍋も用意していた。
「家庭では大きい鍋をみんなで食べる感じだと思います」
「なるほどね」
グライズさんは何となく理解したようだ。
「店で提供するとなると、各席に置ける小型の加熱用のマジックアイテムが必要だな」
「そうでしたね。それも発注しておきます。そういうのを作るための魔石はヤルクダンジョンで手に入るからすぐ作れるってマデリンさんがいってたので問題ないと思います」
ヤルクダンジョンに火や溶岩を使うモンスターがいるのは幸運だったようだ。
「何種類くらい作ります?」
「うーん。ブライズさんとフィアダで1種類でいいんじゃない?どうせアルゴットがニンニクかショウガを大量に使う鍋を1つ作るから」
俺がそういうとアルゴットはみんなに笑われた。
「モズドとポレットで魚介系の鍋を1種類かな」
「「わかりました」」
モズドもポレットもやる気があるみたいだ。
「じゃあアヤノにあとは任せてもいい?」
「はい。ライルさんの許可が出たので、動き出します!」
アヤノがアクティブに動くようになって、とてもやりやすい。
ブライズさんが料理に集中できるのがかなりデカい。
知識は俺とアヤノの方があるけど、センスと技術のレベルだけはブライズさんには敵わない。
だからブライズさんとアヤノの2枚看板はとても助かる。




