463.海のダンジョン
水の日。
授業があるので学園に来ている。
「うーん。入れ替え戦で圧勝したからなー。授業内容どうするかな?」
「えーどうですかね」
俺の問いかけに鬼骨騎士団長のボリボアは困っていた。
「あ!伝えるの忘れてたけど、カイゼとブリギッタは冒険者兼セフィーナさんの護衛兼鬼骨騎士団だから」
「わ、わかりました」
「普通に鬼骨騎士団としてヤルクの街の警備をしてるときは、ボリボアとかショーグンの部下として扱っていいからね」
「はい。承知しました」
ボリボアも元盗賊とは思えないくらい真面目になった。
「さーて授業はどうしようかなー。ボリボアから見て生徒達に何が足りない?」
「そうですね。我々にも言えることですが、弟子のみなさんと比べて体力が足りないと思います」
「なるほどね。鬼骨騎士団はボリボア含めて10人来てるでしょ?生徒9人。今日はボリボアの速度に合わせて倒れるまで走ろうか。鬼骨騎士団も生徒より早く脱落はしたくないでしょ?」
「そうですね。私はどれだけ走る想定の速度にしますか?」
「任せるよ。ボリボアが手を抜かないと信じてるから」
「わかりました」
ボリボアは何故か気合いを入れ始めた。
ここまで気合が入ってるなら、任せてもいいだろう。
▽ ▽ ▽
俺は走り続けてるみんなを見ながら生徒達と鬼骨騎士団の戦力アップの方法を考える。
「ハンとクラリとルサンナは授業で鍛えるしかないよなー。残りはヤルクダンジョンに籠らせてみてもいいか」
ポニョ!
悩んでいる俺の膝の上にライムが飛び乗る。
「あれ?1人で来たの?」
「いえ。私もいます」
ゴーレが俺の背後にいた。
「どうしたの?なんかあった?」
「ダンジョンが2つ見つかったようです」
「え?どこ?危険地域?」
「危険地域とマヌセラです。前に報告にあった海のモンスターが増えてる件はダンジョンが原因だったみたいです」
「ってことは海の中のダンジョン?」
「はい。そのようです。中の状況はノヴァが確認しているそうです」
「わかった」
俺は誰をダンジョンコアの回収に向かわせるか考える。
「ボリボア!残り1時間で終わりにしておいて。俺は急用が出来たからすぐ行くね」
「は、はい!」
俺はゴーレとライムを連れて、デスヘルに向かった。
▽ ▽ ▽
デスヘルに到着し、[極楽花]へ向かう。
店先に【戦場の毒花】のメンバーがいた。
「あ。ライルさん。ヴァイオレットに用ですか?」
「うん。呼んでもらえる?」
「はい。お待ちくださいね」
ヴァイオレットを呼びに行ってくれた。
「ライル先輩!お待たせしました!」
ヴァイオレットはセクシーな格好でやってきた。
「仕事中だった?」
「開店準備中すっね」
「明日からでいいんだけど、【光剣の輝き】と【ドルビダ一家】を連れて新しく見つかったダンジョンを攻略してきてくれない?」
「いいっすよ!ダンジョンコアを回収してくればいいっすか?」
「うん。ゴーレにも参加してもらうから、なんかあったらゴーレに伝えて」
「了解しました!」
デスヘルのダンジョンはこれで問題ないだろう。
「ゴーレ、ジェイクとドルビダへの連絡は任せていい?」
「はい。調整して、明日すぐにでも攻略が始められるようにします」
「うん。よろしく」
俺はゴーレを置いて、マヌセラに向かう。
▽ ▽ ▽
マヌセラに到着し、ノヴァを探した。
「ライル!」
ノヴァが俺を見つけ、走ってやってきた。
「ダンジョンのこと聞いたよ」
「なんか漁師達が釣れる魚がいつもと違うって言いだしてさ。海の見回りを増やしたらモンスターが前よりも増えてて、そして今朝見回りをしてたらダンジョンを見つけたんだ」
「中には入った?」
「うん。1階層は遺跡、地下1階層に降りたら海に囲まれた島になってた」
「モンスターは?」
「貝型のモンスターが何体かいたかな。殻が硬くてめんどくさそうだったから帰ってきた。ライルの指示次第ですぐ動けるよ」
「貝型か…」
マヌセラが前に襲撃されたときは貝型のモンスターが暴れたと聞いた。
防御力が高くて面倒だったと誰かが言ってた気がする。
「貝型のモンスターって食べれないの?」
「うーん。魚型のモンスターも食べれるって聞いたことないから、貝型も無理なんじゃないかな?」
「てか魚と魚型のモンスターって何が違うの?」
「え?」
ノヴァは首を傾げた。
俺からしたら、マヌセラで獲れる魚も魚型もモンスターも名前に馴染みがないから同じカテゴリーだと思っていた。
よくよく考えてみると、食べてる魚は魔石が体内にない。
元の世界の知識があるせいでややこしくなってる気がする。
ノヴァに聞くより、今度アースにでも聞いた方が良いだろう。
「ダンジョンならヤルクダンジョンみたいに食材にできそうなドロップアイテムになるかもしれないから行ってみよう」
「わかった。うちはタックを連れて来る」
ノヴァはそう言って港へ向かった。
▽ ▽ ▽
タックの甲羅の中に入って海中を移動する。
初めてちゃんと乗ったけど、居心地はかなりいい。
「そろそろ着くよ」
「わかった」
「ダンジョンに入るまでは海中だから、ライルはうちに捕まって」
「大丈夫。『水泳』を取得してる」
「それなら大丈夫そうだね」
大昔に『ガチャ』で取得した『水泳』が初めて日の目を浴びた。
俺達はタックから降りて、目の前の洞窟を目指す。
スキルのおかげで何の不自由もなく泳げるし、ライムが補助をしてくれるから難なくダンジョンの1階層に入れた。
1階層は情報通り遺跡のようになっていて、水路には水が流れていた。
どうやらダンジョン外の海に向かって流れているみたいだ。
ポニョ!
ライムは俺の身体にまとわりつく。
多分水分を取ってくれようとしているのだろう。
完全には取れなそうだし、俺はちゃんと対策していた。
「大丈夫だよ。ありがとうライム」
俺は着替えのブレスレットで[武鬼]に着替えた。
「それじゃ地下1階層をちょっと見てみますか」
「こっちに階段があるよ」
ノヴァに案内され、俺は階段を降りる。
階段を降りると海に囲まれた何もない島だった。
「モンスターはどこにいたの?」
「あそこの海岸」
ノヴァが指を指して言った。
「じゃあ行ってみよう」
俺は砂浜へ向かう。
すると見るからにモンスターサイズの貝が数体いた。
俺は『鑑定』を使う。
○サンドシェル
貝型のモンスター。
砂に紛れて暮らす。
近づくと砂弾を飛ばしてくる。
○ハングリーシェル
貝型のモンスター。
近くで動くものを殻で挟むが痛みはほとんどない。
○トラップシェル
貝型のモンスター。
砂や土の中に潜み、近づくとギザギザの殻で挟んでくる。
○ストーンシェル
貝型のモンスター。
石のように硬い殻。
挟まれると痛くないが重い。
「結構いるな。しかもめんどくさそうだし」
「うちが引き付ける?」
「ライムとキャルルに任せよう。2人なら挟まれても平気そう」
エンペラースライムとスライムキャットクイーンを倒せるほどのモンスターは多分いない。
俺は鬼潰棒を構える。
「鬼潰棒なら簡単に壊せそう」
「じゃあうちが釣り上げるね」
ノヴァはそういうと魔竿を構えた。
ライムとキャルルが砂浜を動き待ってモンスター達を引き付ける。
トラップシェルに挟まれても、2人は体を揺らして殻からすぐに抜けだした。
砂浜に出てきたトラップシェルにノヴァが釣り針を引っかけて俺に飛ばしてくる。
それをフルスイングして殻ごとモンスターを破壊する。
何回も同じことをやり、砂浜のモンスターを一層した。
ライムがドロップアイテムを集めてくれるが、貝殻や真珠のようなものしかなかった。
「うーん。やっぱり食べれないのか?」
俺が少し落ち込んでいると、ノヴァが話しかけてくる。
「ライル。次の階層を目指す?それとも戻る?」
「この階層をもっと探索しよう」
「うちとキャルルで海中を見てくるから、何かいたら陸に投げるね」
「わかった」
ノヴァはそういうと潜っていった。




