462.ルフレッテの飲食店取材③
翌日、経営学終わりのカイゼとブリギッタを就職先に連れてきた。
「えーどういうことでしょうか」
いきなり2人を連れて来たので、セフィーナさんは困惑している。
「俺の展望を話していいですか?」
「はい。是非ともすぐに」
「今後、セフィーナさんはヤルクの街やライル商会関係で表に出ることが増えると思います」
「ライル商会関係でも私が表に出る想定なんですね…」
俺はボソボソ文句を言うセフィーナさんを無視して話を進める。
「そこでセフィーナさんには護衛が必要。そこで俺が育てたカイゼとブリギッタの採用を勧めます」
「ライル様が言うのであれば採用しますが、護衛の仕事ってそこまであります?」
「基本はヤルクを拠点にしている冒険者として過ごさせます。それに鬼骨騎士団の仕事もさせます。英雄のみなさんや弟子達がヤルクにいない時に動ける人材として2人を置いておきたいんです」
「わかりました。私はなんでライル様が言うことを全部受け入れてしまってるのかわかりませんが、2人を護衛として認めます」
「じゃあ2人共、挨拶して」
俺はセフィーナさんと2人に挨拶をさせる。
緊張している2人を和ませるために、少し雑談を挟む。
「セフィーナさん。ライル商会通信見ました?」
「見てないです。出来上がったんですか?」
「仮原稿ですけど、かなりいいです」
俺は預かっている仮原稿のコピーをセフィーナさんに見せる。
「すごいですね!ライル商会の飲食店の情報がよくわかります」
「頑張ってたんでね。デスヘルではお客さんに声をかけてインタビューしてましたよ」
カイゼとブリギッタもルフレッテがどんな仕事をしてるのか知らなかったみたいで驚いていた。
「この後、鬼火亭に取材行きますけど行きます?」
「ぜひ!」
「2人も来なよ。初めての護衛ってことで」
「「は、はい」」
俺は3人を連れて鬼火亭に向かった。
▽ ▽ ▽
鬼火亭に到着するとルフレッテだけでなく、ゴトフとイタロとアルヴィンもいた。
「なんでいるの?」
「ライルと鬼火亭に行くって聞いて。ライルがいたら極上肉が食べられるでしょ?」
「ゴトフから極上のお肉があるって聞いて」
「なるほどね」
鬼火亭の極上肉は従業員達が勝手に作ったルールで、俺がいるときにしか提供されないことになっている。
俺以外だとブライズさんとアヤノは極上肉を注文することは可能らしい。
だけど2人も料理の研究で、食品部門に保存されている極上肉を使うので鬼火亭で注文することはない。
お客さんは高額だが特上までは普通に注文できる。
何度か食べたことがある従業員達的には、特上と極上には差があると感じているみたいだ。
「まあちょうどいいか」
「ちょうどいい?」
「肉は全種類注文するからさ。ルフレッテがお腹いっぱいにならないように、男性陣頑張って食べてね」
俺の言葉を聞いて3人は喜んだ。
カイゼも喜びたがっていたが、護衛の初仕事と伝えたせいで我慢している。
俺は全員をつれて店内に入る。
「ライル様、お待ちしてました」
店内にはエーダとヨウラとキアリとジュオルが待っていた。
「あれ?貸し切り?」
「いえ。ライル様が来店されたら、お客様を入れる予定です」
なんかわからないが4人は気合が入ってる。
「ルフレッテ、この4人は人族至上主義者とかいうゴミみたいな奴らが少なからずいるこの国で冒険者に大人気の獣人の女の子達だ」
「わかりました。ゴミなど気にせずに魅力を伝えますね」
「うん。よろしく。あと制服も裁縫部の気合が入ってるから」
「わかりました!」
ルフレッテは素早く4人の絵を描きだした。
「えーっとルフレッテの絵が終わったら、じゃあすべての肉とおすすめ何品かお願い」
「わかりました!」
俺達はルフレッテを置いて、奥の個室に向かった。
少し待つとエーダがやってきた。
「あれ?終わったの?」
「私とヨウラは終わりました。飲み物はどうしますか?」
「うーん。コーラでいいかな」
みんなも飲み物を注文していく。
「どういう順番で持ってきますか?」
「おすすめはいつでも。お肉は並からで」
「わかりました」
そういうとエーダは個室から出て行った。
「イタロも鬼火亭初めてだっけ」
「いやゴトフに1回連れてきてもらった」
「そうなんだ。じゃあゴトフとイタロは他の人にトングの使い方を教えてね」
「わかったよ」
そんな話をしていると、ルフレッテが帰ってきた。
「終わった?」
「はい!」
ルフレッテは満足そうにしている。
ヨウラがやってきた。
「まずはキムチの盛り合わせと鬼火亭サラダです。キムチはネギ・大根・ホウレンソウ・キュウリです」
「「「「おお!」」」」
ルフレッテが絵を描き始める。
鬼火亭サラダはチョレギサラダのようなものだろう。
かかっているドレッシングもチョレギドレッシングみたいだ。
アヤノがアドバイスしたのだろう。
ルフレッテが絵を描き終わると、みんなが食べ始めた。
意外とセフィーナさんが率先してサラダを分けてくれる。
この人は数年で領主の娘感が良い意味でなくなった。
「オーク肉の並の盛り合わせ・ミノタ肉の並の盛り合わせです」
大皿に少しずつ盛られた肉がやってきた。
1人前か2人前の量だろう。
ヨウラが肉の説明してくれる。
「こちらはオーク肉とオークカルビです」
「ちょっとややこしいんだけど、オーク肉って言うのは一般的にどの店舗でも使っているオークの肉だね。一番安いけど美味しいよ」
「ライル様。オーク肉は並のみの提供です」
「そうなの?」
「はい。上を頼むお客様はオーク肉ではなくオークカルビを頼むので無くしました」
「なるほどね」
鬼火亭の4人もしっかり考えているようだ。
「オークカルビは極上まであるの?」
「はい。ございます」
「じゃあそれを持ってきてもらえる?」
「わかりました」
ヨウラはそう言って個室から出て行った。
「ライル先生。オークカルビは何が違うんですか?」
「うーん。確かバラ肉はあばら付近の肉で、赤身と脂身のバランスが良くて柔らかいのが特徴かな?」
「なるほど」
ルフレッテが熱心に聞いている間に、ゴトフ達が焼き始める。
オークカルビの上・特上・極上も運ばれてきた。
みんなが焼きに夢中になる。
ルフレッテは比べるようにバラ肉を食べていた。
「オーク肉ってこんなに甘いんですか!脂がおいしい!」
「ちゃんと記事にしてね」
「はい!します」
ルフレッテは頬張りながら頷いた。
ヨウラは笑顔で口を開く。
「ミノタ肉の説明もいいですか?」
「うん。お願いできる?」
「ミノタ肉・カルビ・タン・ハラミ・ホルモンです。ホルモンは味噌でタンは塩にしてます」
「おお!味噌ダレも出来てるの?じゃあオークカルビを焼き終わったら、そっちでホルモン焼いて、こっちでタンを焼こう」
「「「「はい」」」」
みんなはどんどん肉を焼いていく。
上・特上・極上のミノタ肉も運ばれてくる。
ルフレッテは頬張りながら頑張って絵を描き続けた。
この後ジンギスカンもあるとは知らずに、みんなはミノタ肉を食べ続けた。




