456.それぞれの訓練
ダンジョン3日目。
私達は地下25階層までやってきた。
昨日見た光景が衝撃だった。
レッドワイバーンやアイスドラゴンを倒す4人の英雄。
私は警戒することも忘れて4人の雄姿を描いていた。
地下25階層は森の中に毒沼が大量に発生していた。
リリアンさんの魔法で足場を作ってもらい、それの上を移動した。
ポイズンスラッグ・ポイズンメタルスネイル・ポイズンミスリルスネイルが毒沼から攻撃してくる。
それを何もなかったかのようにクララさんが弓で射貫いていった。
ポイズンメタルスネイル・ポイズンミスリルスネイルのドロップアイテムは鉄とミスリルでできた殻。
冒険者がこのダンジョンに通う理由の1つになるだろう。
「凄いですね。こんなにも簡単に倒しちゃうなんて」
私がボソッというと、ガッツさんが答えた。
「ちなみにだがライルがこのモンスター達と初めて戦ったダンジョンでは毒の雨が降っていた。それに他のモンスターがこいつらを投げてくる最悪のダンジョンだったんだ。ここはまだ甘い方だな」
話を聞くだけで絶対に入りたくないダンジョンだ。
地下26階層は森になっていて、アーミーエイプというモンスターが武器を持って襲ってきた。
この階層では私達4人が主に戦った。
英雄の4人よりは遥かに弱いのはわかるが、私達よりは全然強い。
▽ ▽ ▽
闘技場で訓練している生徒達はとても良くなっている。
特に変わったのはクラリとルサンナだ。
貴族の女子2人がチャールズ兄とコルカーにボコボコにされすぎて、何か吹っ切れたみたいだ。
貴族の娘とは思えないがむしゃら感は好感を持てる。
獣人のカイゼも『獣化』するチェスターに何度も身体を噛み千切られていたが、高速で動くだけじゃ意味がないことを理解して、頭を使うようになった。
ブリギッタは前の指導のおかげか、優勢ではないが良い戦いをしていた。
ゴーレもそれをわかっているようで、気を抜いた瞬間を咎めるようにボコボコにしていた。
実戦でやってはいけないことが身体に染みついただろう。
ハンもショーグンの太刀筋に合わせることが出来てきた。
合わせられるだけで防ぎきれずにやられてしまっていたが、ショーグンの太刀筋を超える剣士はそうそういない。
「うーん。最後はどうしようかな。俺も動きたいし、1人ずつ模擬戦していくか」
俺はみんなの元に向かった。
▽ ▽ ▽
無事に訓練が終了し、解散した。
チャールズ兄達はもう少し黄盾騎士団にいてもらう。
生徒5人はとてもいい顔つきになった。
ハンとクラリとルサンナが王族や貴族なのがもったいない。
ライル商会に全員入れてもいいと思えた。
ルサンナは領主の孫だから、のちに政略結婚などがあるだろう。
ライル商会に入りたいと言ってくれたが、本人がやりたいことが見つかってないと意味がない。
クラリの事情はあんまり知らないが、姉のクララさんの自由奔放さの皺寄せはあるだろう。
強くはなりたがっているみたいだが、ライル商会にはそこまで興味はなさそう。
ハンはライル商会に入りたいというより、俺の人選とかが興味ありそうな雰囲気だった。
王族だし長男だしライル商会入りはないだろう。
カイゼとブリギッタはかなりアリだ。
親に楽をさせたいという考えは俺と同じ。
家族ごとライル商会に入れてもいい。
ブリギッタにやってもらう仕事は思いついているが、カイゼはあんまりピンと来てない。
鋭牙に憧れているから入れるのもなしではないけど、なんかピンと来ない。
入れ替え戦で勝てば、まだ接することもあるだろう。
本人の意思もあるだろうし、深く考えないことにした。
▽ ▽ ▽
翌日、俺はヤルクダンジョンの最下層に来ていた。
「セイリュー、みんなは?」
「地下40階層のキングリザードマンを倒して、休憩している」
「あーボス部屋か。リスポーンも遅い階層だからちょうど良いか」
俺は『秘密の通路』で最下層と地下40階層を繋いだ。
ドアを開けて通路を通る。
目の前には大きな湖が広がっていた。
遠くの方で昼食を食べているヒューズさん達を見つけた。
「ヒューズさん!!迎えに来ましたよ!」
「おお!もう天の日か?」
「はい。4人は明日授業があるんで、ダンジョン攻略は終了です」
「地下40階層かー」
ヒューズさんは少し悔しそうにしていた。
ガッツさんが口を開く。
「ライル、この後はどんな感じになってるんだ?」
「あー地下49階層まではゴブリンジェネラル・コボルトジェネラル・オーガジェネラル・リザードマンジェネラルしかいないですよ」
「おい。前のダンジョンとは違う意味で性格悪いな」
ガッツさんを睨むと静かになった。
「ゴトフ達は見るからに疲れてるね」
「はは。初めてあんな数のモンスターと戦ったよ」
「僕も」
ゴトフとイタロは身体の疲れではなく心の疲れの様だ。
「ルフレッテとアルヴィンはどうだった?」
「はい!かなりいい記事が書けそうです!」
ルフレッテはかなりの収穫があったみたいだ。
「僕もこの杖のおかげでモンスターと戦えました」
アルヴィンは嬉しそうにスライムの核で作った杖を持っていた。
「いいかんじに生徒達を戦わせてくれたみたいですね」
「まあな。さすがにあの4人を連れて行く意味くらいは理解している」
ヒューズさんはかっこつけて言った。
ムカつくので無視をして、8人をダンジョン外へ出した。




