454.英雄とダンジョン
木の日。
ガチガチに緊張したゴトフ・イタロ・ルフレッテ・アルヴィン。
そして呑気で今にも走り出しそうなヒューズさん・リリアンさん・クララさん・ガッツさん。
「地下50階層は12時間で地下61階層は24時間なんで、地下60階層に行ったら迎えに行きます」
「おう。頼んだ」
「くれぐれも4人に怪我はさせないでください」
「大丈夫だ。今回はレオもいる」
ガオー!
ヒューズさんの肩の上でレオが嬉しそうに吠えていた。
「あ!地下25階層は毒沼なんで、毒消しポーションは持ちました?」
「当然だ。心配しすぎだ」
「あと天の日の午後には迎えに行きますからね」
「あーわかってる!」
ヒューズさんは早くダンジョンに入りたいみたいだ。
「じゃあいいですよ。行ってきてください」
「おう!じゃあ行ってくる」
ノリノリの4人に、緊張した4人が付いて行った。
アルヴィンが1番可哀そうだ。
今日初めて『秘密の通路』を使ってヤルクに来て、俺が管理するダンジョンを知り、ダンジョンに英雄達と挑戦する。
本当に申し訳ないが、ライル商会に入るとなったのでこの機会は逃したくなかった。
▽ ▽ ▽
ヤルクダンジョンの最下層。
コアでダンジョンの様子を見れることを最近知った。
その機能で俺は8人の雄姿を見ることにした。
「主。ヒューズ達はこの階層までくるのか?」
「うーん。たぶん無理だと思うよ」
「そうか。つまらんな」
セイリューは不満そうだが、到達してもレベルの上がったセイリューを倒せる人はいないだろう。
俺はセイリューと共にコアで8人の様子を見た。
▽ ▽ ▽
私はライル商会所属の英雄4人と同級生3人とヤルクダンジョンに来ている。
卒業試験で見た、おかしくなったペパイド先生を倒した4人だ。
戦い自体は見ていないし、ペパイド先生がどれだけ強かったのかも知らない。
だけどその功績でこの4人は英雄の称号を得た。
ダンジョンに入ると4人の強さを肌で感じた。
地下1階層から地下10階層は草原が広がり、スライム・ゴブリン・コボルト・オーガ・フォレストウルフ・ホーンウルフ・ダブルホーンウルフ・ストーンバードが生息していた。
地下10階層までは冒険者もたくさんいたが、私達を引率している4人のモンスターを倒す手際が他の冒険者とは比べ物にならないくらい良かった。
今まで私達をあまり意識してなかったみたいで、地下11階層に降りる直前にモンスターの戦闘をするか聞かれた。
私達4人も学生とはいえライル商会の従業員だ。
名に恥じないように戦うことを選んだ。
すると物のようにモンスターを運んでくる4人。
次々に連れて来られるモンスターを100体くらい倒しても、モンスターを連れて来る。
300体ほど倒してやっと地下11階層に行くことになった。
私が学生の中で一番弱いのは知っている。
だからこそ教わったことを実直にやった。
こんな数のモンスターと戦ったのが初めてだったが、これがライル商会なのだと身をもって理解した。
あの日私が戦った鬼将軍の弟子と言われる人達は、ライル先生の元でこれくらい過酷な訓練をしていたのだろう。
▽ ▽ ▽
「やっぱり地下10階層まですぐに攻略しちゃったなー」
俺は熱心にコアから流れる映像を見ていたが、セイリューは途中で飽きて寝始めた。
地下10階層で行われた生徒達の戦闘を見て、みんなの成長を感じられた。
ゴトフの近接は前よりも強くなっていた。
しかも魔法での攻撃もしっかり使っていて、下層でも対応できるか楽しみになった。
イタロはエクストラスキルの使い方が前よりもうまくなっていた。
近接とスキルをもっと組み合わせてほしい。
ルフレッテはまだまだだな。
『棍術』と『体術』をこのダンジョン中に取得してほしい。
アルヴィンは予想以上だった。
魔力操作のセンスがいいのか、スライム化する場所の調整が上手くなっていた。
それにあの杖の効果でスライム化した地面に捕まったと思ったら急にモンスターが燃え始めた。
マグマスライム・ポイズンスライム・サンドスライムの能力を使えると言っていたが、魔力操作のセンスのおかげで見れる戦いになっていた。
ただ体力が足りなさすぎる。
▽ ▽ ▽
ヤルクダンジョン地下11階層。
今までと同じく草原が広がり、ゴブリン・ゴブリンメイジ・ゴブリンナイトが生息していた。
ヒューズさんのテイムモンスターのレオちゃんはずっと肩に乗っていてとっても可愛い。
だけどヒューズさんの指示で戦うことになったら豹変した。
体が大きくなり、ゴブリン達を噛み殺していった。
地下12階層はコボルト・コボルトメイジ・コボルトナイト。
地下13階層はオーガ・オーガナイト。
大きくなったレオちゃんが蹂躙していった。
地下14階層は雪が積もっていた。
ダンジョンには色んな環境があると授業で聞いていたが、実際に目にしたらワクワクしてしまった。
少し歩くとアイスウルフ・アイスホーンウルフの群れに囲まれた。
足場も雪で悪い。
どうやって戦おうか考えていると、大きくなったレオちゃんの体が炎に包まれた。
ヒューズさんが言うには『炎獣化』というスキルみたいだ。
レオちゃんが吠えると周りの雪が解けて、アイスウルフ・アイスホーンウルフは燃え始めた。
そのまま地下15階層まで、レオちゃんのおかげで進むことができた。
今日は地下15階層へ続く階段で休むことになった。
私達がいなければ英雄の4人はもっと深くまで進めただろうし、ここで休むこともなかったのだろう。
脚を引っ張らないように強くならないといけない。




