444.災害
「本日は危険地域へ入ることは危険ですのでおやめください!」
デスヘルの冒険者ギルド職員が危険地域側の門で叫んでいた。
「どうした?何かあったのか?」
「ジェイクさん。すみませんが本日の危険地域は本当に危険です」
「どういうことだ」
俺は全然理解が出来なかった。
「私達も入れないのか?早くランクをあげないといけないんだ」
ドルビダが違うギルド職員に詰め寄ていた。
「理由はなんなんだ?戦うのなら手伝うぞ」
「そうだ!そうだ!」
「俺達だってデスヘルの為に戦える」
俺の声に賛同して、他の冒険者も声をあげる。
「みなさん!落ち着いてください!モンスターは襲ってこないですから!」
ギルド職員は半泣きで叫んだ。
するとギルドマスターのマリーナがやってきた。
「えーうるさい!理由が聞ければいいわけ?」
「おーそうだ!」
「なんで危険なんだ!」
「俺達でも危険なのか?」
俺はマリーナと冒険者のやり取りを見て、なんか嫌な予感がした。
「だってよライルくん」
「「「「「「え?」」」」」」
マリーナがそういうとみんなが後ろを振り返る。
そこにはフリードに乗ったライルがいた。
後ろにはゴーレと虫型のモンスターと全身鎧の集団がいた。
「みんな悪いね。俺達が全力で狩りをするから冒険者は休ませてってマリーナさんにお願いしたんだけど」
声が低い。
これはまずい。
フリードはゆっくり進んでくる。
「なんか叫んで、うちから派遣されてるギルド職員に怒鳴ってたやつもいたな」
みんなが震えている。
金属鎧を着ている奴がいるせいでカチカチと音がする。
ここにいる奴らはカラッカから移動してきた奴が多い。
ライルの怖さは知ってる。
そんなことを思ってるとライルと目があった。
「あ!デスヘルの冒険者がやらかしたらお前が責任だったよな。ゴーレ」
「え?あ!」
俺はゴーレにいつものように持ち上げられる。
「あとお前は態度が悪い。ショーグン!」
全身鎧はドルビダを捕まえた。
「悪いね。2人はスタンピード行き」
「ス、スタンピード!!!」
「あ!ちがうよ。ライル商会スタンピード。襲われるのは危険地域のモンスター達」
ライルはニコッと笑いながら言った。
俺はボコされた記憶が蘇った。
▽ ▽ ▽
「ライルくん」
「はい」
マリーナさんは顔引きつらせながら話しかけてきた。
これは怒ってる。
「当日にこういうお願いはやめてね」
「はい。すみません」
「魔石が目的なんでしょ?素材はどうするの?」
「あー考えてなかった」
俺は集まってる冒険者を見た。
「おい!素材を解体して美味いもん食いたいか?」
「え!?ライル商会の料理?」
「食いたいぞ。解体するだけ?」
「おい!俺がやるぞ、その仕事!」
冒険者達が盛り上がってきた。
「よし。解体を手伝ってくれた冒険者には今晩の飯を俺が奢る。酒も飯も食べ放題だぞ!!」
「「「「「「おおおおおお!!!」」」」」」
「ちなみにサボってたやつは……。ショーグン」
俺はショーグンに指示を出す。
ショーグンは大剣を取り出して、空に向かって振る。
斬撃が飛び、雲を斬った。
「殺す」
「「「「「「は、はい…」」」」」」
冒険者達は震えながら返事をしてくれた。
「よし!行くぞ!ライル商会スタンピード!!」
▽ ▽ ▽
「……なんだこれ」
俺は地獄で戦ってるのか。
「ジェイク!『体術』はまだ取得してないのか?」
「してない。はぁはぁ!」
「おい!気を抜くな!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!ウィンドアロー!」
「お前達と一緒にするな!」
「早く取得しろよ」
「わ、わかってる!!」
俺は襲ってくるコボルトアーチャーを殴りながら答える。
「ドルビダはちゃんと強いんだな」
「なんだと思ってるんだ」
「敬語」
「くっ!なんだと思ってるんですか?」
「学生に倒される集団で英雄になれなかった人?」
「くっ!クソ!!!!!」
ドルビダは叫びながら剣を振る。
「ドルビダと奥さん以外『体術』取得してないだろ?」
「ああ。それがどうしましたでしょうか?」
「覚えさせろ。命令」
「くっ!わかりました」
「素直じゃないから一撃でやられるんじゃない?」
「ああああ!」
ドルビダは煽られ慣れてないようだ。
俺は慣れた方だが、ライルの煽りが強すぎる。
「ライル様!」
「お!ガボガ達も来たのか?」
「はい!【戦場の毒花】と手伝いに来たんですが……。要りませんね」
「ん?本気で暴れたいんじゃない?ライル商会スタンピードにガボガ達がいたら楽しそうだけどな」
「そうですか。ならお手伝いします」
ガボガ達はそういうと身体がどんどん大きくなった。
「は?え?」
「ジェイク、知らなかったの?3人は巨人族だぞ」
「きょ、巨人族!?」
今まで仲良くしていた3人が巨人族だったなんて。
全く気付かなかった。
「ガボガ達!空中の奴らうざいから叩き落として!」
「わかりました!」
「どんどん落とします!」
「倒してもいいんですよね」
「うん!」
そういうと空中にいた鳥のモンスターやグリフォンが地面に潰れた状態で落ちてくる。
モンスターの死体につられてどんどんモンスターがやってくる。
俺の左側ではスライムが巨大化してモンスターを丸呑みしている。
全身鎧の集団は隊列を崩さずモンスターを倒しまわり、1000匹以上いる虫型のモンスターはモンスターを倒しながら死体と魔石を回収していた。
異常なのはモンスターだけではない。
ライルは笑いながらフリードに乗って戦場を駆け回る。
そしてその速さに走って付いて行く執事。
これがライル商会スタンピード。
明日から冒険者の態度が良くなるのは確実だ。
「ははは。それにしてもこんなの災害だろ」
ライル商会スタンピードの様子を再び見て、俺は笑ってしまった。
ライル商会所属の冒険者が強い理由が改めてわかった。
こんな奴の部下だと、強くなりたいと思っちゃうわ。




