442.新たな事業
ゴーレとガルスタン達が帰ってきた。
「ライル様!」
「予定より遅かったね?」
「ははは。オルムと呑みながら話し込んでしまって」
「え!?」
職人同士だから通ずるものがあったみたいだ。
「それで素材とマジックアイテムはどう?」
俺がそう聞くとゴーレが口を開いた。
「素材は問題ありませんでした。どれも上質だと言ってました」
「良かった。あとはオルムさん達の意思次第だ」
「それも大丈夫かと」
「え?」
ゴーレはそう言いながらガルスタンを見た。
「オラがライル商会の良さをかなり伝えました。オルムはライル商会に入るそうです」
「本当に!?」
「はい。もう引っ越し準備も始めると言ってました」
これはガルスタンの性格のおかげかもしれない。
「よし。そしたら製紙工場を作ろう」
「建物関係はマデリンに聞いてください。ケルバンとすぐ作業に取り掛かりたいんです!」
ガルスタンはケルバンを連れて行こうとする。
「待って!」
「なんでしょう」
「みんなにはグリフォン用の馬車を作ってほしいんだ」
「ワカチのグリフォンですか?」
「うん」
俺は昨日考えたサーカスの集客について伝えた。
「カラッカ領に住んでる人達にサーカスのチケットをあげようと思ってる」
「それだと儲からないのでは?」
「今回儲けは考えてないよ」
「そうなんですか」
ガルスタンは不思議そうにしていた。
「とりあえず人がたくさん乗れるやつを作って」
「わかりました。すぐ取り掛かります」
ガルスタンはケルバンを連れて行った。
「じゃあマデリン。製紙工場を作るから、色々案を出してくれ」
「わかりました」
俺はマデリンとゴーレと製紙工場を作る予定地に向かった。
▽ ▽ ▽
ヤルクにある畑エリアの2マス分を製紙工場に変えた。
マデリンから色々話を聞きながら調整をする。
紙の作り方は、樹皮の内側を砕いて水とグルーフラワーの花蜜を熱しながら混ぜる。
ドロドロになったものを型に流し込み、乾燥させる。
最後に圧をかけて出来上がり。
ロータス紙はロータスフロッグの体液を乾燥させる前の紙に塗り込むと出来るらしい。
「ライル様。乾燥させるマジックアイテムは多めに作れるので、乾燥室を広めに作りましょう」
「あーそれなら2階はほとんど乾燥室にする?」
「そうですね」
俺はマデリンの意見を聞いて、細かい調整をしていく。
「乾燥させるマジックアイテムなんて作れるの?」
「はい。焼き芋を作ったマジックアイテムにもつかった火脈石とチャバザイトという鉱石を使います。あとは熱風を出すマジックアイテムと一緒に使えば問題ないはずです」
「へーすごいな。鉱石とか本当によく知ってるな」
マデリン達の知識とマジックアイテムにはかなり助けられている。
「元々私達が住んでた国が鉱石を輸出しているので、この国の商人ギルドが取り扱ってる鉱石も何となくわかるんです」
「あれ?ドワーフの里に住んでたんだよね?そういえばドワーフの里ってどこなの?」
「ガト王国ですよ」
「え!ガトなの?」
まさかのハンの国だった。
「ガトは色んな鉱石が取れるんです。火脈石も双子石もガト産です」
「冬にガトに行くけど、マデリン達もいく?」
「うーん。悩みますね。いい思い出はないですけど、旦那の腕と私の脚を切断した奴を1回は殴っておきたいですね」
元気な姿の方が長く見ているから忘れていたが、2人はドワーフに裏切られていたんだった。
「無理に来なくてもいいから。もし本当に殴りたかったら名前教えて。俺が本気で殴り飛ばしておくよ、2人が作ってくれた武器で」
「ふふふ。ありがとうございます。鬼合金の武器だと、ドワーフの里の武器が全て壊れちゃうので気を付けてくださいね」
マデリンはそう言いながら微笑んだ。
▽ ▽ ▽
俺は学園に来ていた。
オルム夫妻がライル商会に入ることになったので、ルフレッテにも決断をしてもらいにきた。
経営学の授業終わりを待っていると、ルフレッテがやってきた。
「ライル先生」
「いや…。まあいいか」
「どうしました?」
「両親と兄弟がライル商会に入ることになったよ」
「え!?本当にですか!」
「うん」
ルフレッテは驚いている。
「引っ越してくるみたいなんだけど、ルフレッテはどうする?」
「どうするとは?」
「この前話したでしょ?文字を書く仕事をうちでやらせるって」
「え?あれは本気だったんですか?」
「うん。最初は学園と両立だけどね。でも本気だよ。既にやってほしいことがあるし」
「や、やります!!!!」
「早っ!」
ルフレッテの勢いに一瞬びっくりした。
「それじゃあうちに行こう。やってほしい事とうちについて教えるよ」
「わ、わかりました」
俺はルフレッテを連れて、王都に家に向かった。
王都の家に到着すると、背後にゴトフとイタロがいた。
「ルフレッテもライル商会所属?」
「うん。てかなんでいるの?」
「学園内だとライルがいるだけで噂になるんだよ」
「え?まじかよ」
想像もしてない情報に驚いた。
「ルフレッテを連れて行ったって聞いたから、何となく予想したんだ」
「ライルは急だからねー」
ゴトフとイタロは呆れたように言ってきた。
「ついでだから2人も聞いてきなよ。ゴトフはかなり関係あるから」
「え?」
俺は3人を家に入れた。
▽ ▽ ▽
俺は3人に夕食を振る舞った。
「食べながらでいいから聞いて」
俺がそういうと、オーク肉を口に頬張った3人が頷く。
「ルフレッテには記者になってほしいんだ」
「記者?」
ルフレッテは首を傾げた。
「うーん。説明が難しい。王族とか領主から何か連絡があるときはどうやってるの?」
俺はゴトフに聞いた。
「街のいたるところに張り出してるね。文字が読めない人が多いから張った兵士が読み上げたり、各ギルドに伝達して伝えるようにしてもらってるかな」
「なるほど」
さすが王家の血が入っているゴトフがいると助かる。
「ルフレッテには絵と文章の才能がある。まずは文字が読めないが文字を覚えるための文章を書いてほしい」
「わ、私がですか」
「うん」
学園に通って分かった。
本などが貴重な世界なので、教科書とかが全くない。
パンの絵の横にパンって書いてある簡単に文字が覚えられる本があってもいいだろう。
「そうなると複写するマジックアイテムが必要だね」
「複写?そんなのがあるの?」
「うん。珍しい物らしいけどね。本を作るときはそれを使ってるし、王家も各領主に紙で連絡するときはそのマジックアイテムを使ってることもあるらしいよ」
後でガルスタン達に作れるか聞いてみよう。
「ルフレッテ、どうする?」
「や、やります。やってみたいです」
「うん。あとライル商会の商品を紹介するものと、サーカスの事を紹介するものを書いてもらうよ」
「え?え?」
ルフレッテは動揺している。
「ライルのむちゃぶりに慣れないとやっていけないよ」
「そうだね。最初は僕も戸惑った」
ゴトフとイタロは懐かしそうな表情でルフレッテを見ていた。




