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438.グペラーンの街

ヤルクを出発して1日半。


道中は楽しく移動ができた。

アヤノがモンスターと戦ってみたいというので戦わせた。

エクストラスキルの『チョコナイト』のレベルがかなり上がっていて、チョコの騎士がゴブリンを簡単に倒した。


野営はアヤノが缶詰を持ってきていて、料理を作ってくれた。

アヤノが話す内容は甘い物か日本の事だった。



グペラーン池が見えてきた。

「河口湖くらいの広さですかね?」

「河口湖って富士山の見える所か」

「はい!」

「多分行ったことあるけど覚えてないな」

アヤノから出てくる単語に懐かしさを感じた。


「マスター。街が見えました。グペラーンの街です」

「じゃあ早速入って、門兵にゴルティ商会の場所を聞いて」

「わかりました」

御者台に座るゴーレは頷いた。


グペラーンの街はあまり栄えていないようだ。

木の城壁で街の規模もやや小さめだ。


問題なく街に入れた。

「ゴーレ、大丈夫そう?」

「はい。すぐ着くみたいなので大丈夫です」

フリードは馬車を引いて進んでいく。



到着した場所には、八百屋じゃないかと思える商店があった。

そして商店の裏には作業場のような建物が建っていた。


「ここか」

「ここに紙が売ってるんですか?」

「うーん。国内で出回ってる紙の9割は別の大きな商会だから」

俺も不安になったが、とりあえず商店に入ってみる。


中に入ると女性が野菜の品出しをしていた。


「すみません」

「はい。いらっしゃいませ!」

「あのーゴルティ商会であってますか?」

「はい。そうですよ」

女性は元気よく返事をする。


「ルフレッテさんに紹介されたと言いますか…」

「ルフレッテですか!」

「はい。手紙も預かってます」

俺は女性に手紙を渡す。


女性は慣れた手つきで封筒から手紙を取り出して、読み始める。


「え?え?」

「どうしました?」

「そういえば見覚えが…」

女性は何故か動揺している。


「大丈夫ですか?」

「ラ、ライルさんですよね?」

「そうですね」

「娘の応援で卒業試験を見に行っていて…」

「あーなるほど」

この人はルフレッテのお母さんで、卒業試験で俺のことを見ていたようだ。


「それで手紙には紙が欲しいと書いてあるのですが…」

「はい。その封筒に使われている紙が欲しくて。在庫あります?」

「全然売れていないので、たくさんあります」

そう言って店の奥に案内をしてくれた。


そこには大量の紙が積まれている。

「え?これ全部あの紙ですか?」

「8割はそうです。うちではロータス紙と呼んでいます」

「残りの2割は?」

「普通の紙です」

普通の紙も使えるし、別に買ってもいい。


「これ全部ください」

「え!え!お父さん!!!」

ルフレッテのお母さんはびっくりして、旦那さんを呼びに奥の建物に入っていった。


「なんだ、騒いで。そんな紙が全部売れるなんてことないだろ」

旦那さんらしき人とお母さんが戻ってくる。


「すみませんね。それで紙は何枚購入されますか?」

「在庫全部もらえます?」

「え?」

「え?」

「在庫全部ですか?」

「はい」

旦那さんらしき人も固まってしまった。


▽ ▽ ▽


2人が落ち着くまで時間が掛かったが、無事に紙を購入できた。

ゴーレがマジックバックに入れる作業をしている。


それを待っていると、お母さんが声をかけてくる。

「ライルさん。手紙に書いてあったんですが、ライルさんが講師をする授業に娘が選ばれたと」

「そうですね」

「どうですか?うちの娘は」

お母さんは心配そうに聞いてくる。


「うーん。まだ授業も1回しかしてないのでわからないですが、やる気はあると思います」

「ご迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします」

2人は深々と頭を下げた。

なんかすごい気まずい。


「あ!もしよかったら、紙を作るのを見せてもらえますか?」

「え?そんな面白い物じゃないですよ」

「興味があって」

「そうですか。それでしたらご案内します」

俺は2人の案内で紙を作っている作業場を見せてもらうことになった。



元の世界で和紙作り体験をしたことがあった。

ゴルティ商会の紙の作り方はそれによく似ていた。


ゴルティ商会は女性が農業、男性が紙作りをしているらしい。

今はお母さんのイリスカさんが1人で農業、お父さんのオルムさんと息子2人が紙作りをしている。


紙の原料になる木が街の外に大量に生えていて、林業のようなこともしながら木を伐採しているらしい。

時々、紙の原料になる木のトレントが現れる。

そのトレントを原料にした方が良い紙が作れるので、トレントを倒したときはロータス紙ではなく普通の紙を作っているとのことだ。


ロータス紙の水と油を弾く性質は、ロータスフロッグというモンスターの体液を使っているみたいだ。

オルムさんのおじいさんのゴルティさんが見つけた製法なので、昔からロータス紙を作っているが需要が全く増えないらしい。


俺は紙作りが気になり始めた。

家が屋台やパン屋で使えば、需要は生まれる。

真似するところも増える。


普通の紙のシェアでは勝てない相手がいるが、ロータス紙なら上手くいきそう。


俺は悩んだ。

セフィーナさんとかに相談せずに決めていいのか。

てか商会をそのまま吸収していいのか?


とりあえず提案するだけはタダだ。

俺はオルムさんとイリスカさんに提案をすることにした。


「全然聞き流してもらっていいんですけど」

「「はい」」

「ライル商会で紙を作りません?カラッカに引っ越しをして」

「「え?」」

2人はキョトンとしていた。


「あ!全然聞き流していいですよ」

俺がそういうと、オルムさんが俺の手を握る。

「いえ!お話を詳しく聞かせてください」


俺は2人に俺が考えられる売り方を伝え、ライル商会に入るメリットを真剣に伝えた。


▽ ▽ ▽


提案はかなり前向きという形で落ち着いた。

ただ原料などの問題や、紙作りの道具などをどうするかなどを調整してからまた話すことになった。


俺は宿屋で休んでいる。

ゴーレにはお使いを頼んでいた。

アヤノが付いて行きたいというので、2人はフリードの馬車に乗って一旦街を出た。


お使いとは、木の原料になるトレントの魔石の回収とロータスフロッグの魔石の回収だ。

それと紙作りに使うというグルーフラワーの回収も頼んでおいた。


製紙にまで手を出すことになるとは。

楽しそうな事業が多いせいだ。



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