437.エラギヌ領
翌日、俺とアヤノで商人ギルドにやって来た。
会議室で待っていると、アイザックさんがやってきた。
「ライルさんとアヤノさん、どうしました?」
「あー実は…」
俺は昨夜のことをアイザックさんに説明した。
「梅酒!ジェノベーゼソース?それが売り出せるんですか?」
アイザックさんは違うことが気になっていた。
「アイザックさん。その話はあとでにしてください。屋台で商品を提供するための紙が欲しくて」
「そうでした。紙の9割はピジ領の商品なんです。ただ特殊な紙となるとエラギヌ領ですかね」
「エラギヌ領?」
「はい。確か小さな商会が紙の製造をしていたはずです。名前までは覚えてないんですが」
アイザックさんはそう言いながら地図を取り出して、エラギヌ領の場所を教えてくれた。
「ありがとうございます。そしたら実際に行ってみるかな。アヤノはどうする?」
「どうするって?」
「ヤルクに来てから出かけてないだろ?付いて来る?」
「良いんですか?」
「うん」
アヤノはどこか嬉しそうにしていた。
「色々準備するので、何日か待ってもらえますか?」
「いいよ。あ!一応冒険者登録しておいて」
「冒険者登録ですか?」
「なんか色々登録していると信頼度が上がるらしい。サオラル共和国行った時の関所でそれを感じた」
「そうなんですね…。冒険者みたいなことは…」
「しなくていいよ」
「わかりました。いろいろ調整します」
俺はそのまま商人ギルドを出て、アヤノはアイザックさんと商品についての話になった。
帰ってる途中でブライズさんとすれ違ったから、がっつり話し込むのだろう。
▽ ▽ ▽
俺は王都に来ていた。
昨夜の試食で、腹が減らないから身体を動かしに来た。
ゴトフかイタロがいればいいと思っていたら、ちゃんとゴトフがいた。
昨夜の試食が終わった後からずっとワカチにいたらしい。
俺とゴトフは軽めの模擬戦を始める。
するとゴーレが口を開いた。
「マスター」
「ん?」
「デスヘルでダンジョンが発見されたみたいです」
「まじ?」
「はい。最近出来たものではないようです」
「お!深そうじゃん」
「はい」
「うわー行きたいけど、エラギヌが先だな。もし可能ならガボガ達に攻略頑張るように伝えて」
「わかりました」
ゴーレは目を閉じて、他のゴーレム達に共有を始めた。
「ライル、エラギヌに行くの?」
「うん。昨日の屋台の料理関係でね。商品を包む紙を買いに行く」
「え?エラギヌの紙を販売している商会が目的?」
「そうだけど」
「それってルフレッテの実家じゃない?前にそんな話を聞いた気がする」
「え?マジ?」
「うん。確か」
まさかの知人の実家の可能性が出てきた。
「うわ。ルフレッテって今日は何してるんだろう?」
「経営学の授業か、寮にいると思うよ」
「よし。ゴトフ、ゴーレ。学園に行こう」
俺は2人を連れて学園に向かった。
▽ ▽ ▽
学園に行くと第3演習場にいると聞き、すぐに向かう。
第3演習場にはカイゼとアルヴィンとブリギッタ、そしてルフレッテがいた。
「「「「先生!」」」」
先生は俺の事みたいだ。
ゴトフは笑いをこらえていた。
「その呼び方はやめてくれ」
「でも先生なので」
カイゼは先生と呼びたいみたいだ。
「うーん。まあ4人だけならいいか」
俺は諦めた。
「ちょっとルフレッテに用があって」
「え?私ですか?」
「うん。3人は訓練続けてていいから」
俺の元にルフレッテがやってくる。
「ゴトフに聞いたんだけど、実家で特殊な紙を作ってる?」
「紙は作っています。特殊な紙…。あー特殊と言われたらそうですね」
「水とか油分を弾く?」
「はい。マジックバッグを持ってない商人が、その紙で商品を包んで雨に濡れないようにするんです。まあそんなに売れてないんですけどね」
ルフレッテは自虐的に言った。
「そんなことない。そういう紙を探してたんだ」
「そうなんですか?それなら実家宛に手紙を書きますよ」
「いいの?ちょっと次に授業までに行ってみたいんだよね」
「紙はあるのですぐ書きますよ」
「頼む」
ルフレッテは座り込み、手紙を書き始めた。
思ったよりも長い文章を書いていた。
ルフレッテは手紙を書き終わると、紙を取り出して何かを折りだした。
折っていた紙は封筒の形になった。
「ルフレッテ、その封筒に使った紙は?」
「さっき言ってた紙です」
「それ何枚かもらえる?」
「いいですよ。普通の紙もいい品質なので是非」
ルフレッテはカバンから紙を数枚出して、俺に渡した。
「ありがと!」
「領の西側にグペラーン池という湖くらい大きな池があります。その近くにグペラーンの街があります。そこのゴルティ商会というところです」
「わかった!助かった!」
「はい。お力になれたならよかったです」
そう言ってルフレッテは訓練に戻って行った。
▽ ▽ ▽
ヤルクに戻って、工場エリアにブライズさんとアヤノを呼び出した。
紙を検証したかったので、チーズバーガーとフライドポテトとカレーパンを2人に作ってもらった。
「これはこういう折り方がいいんじゃないですかね?」
アヤノは器用に紙を折っていく。
「ハンバーガーはこうだね。ブライズさん、これどうです?」
紙に包んだハンバーガーをブライズさんに渡す。
「これはいい。食べやすいし持ちやすい。パン屋では毎回これを使ってもいいんじゃないかな」
「そうですね。籠の中にお皿を入れてお店に来る人多いですからね」
この紙はすぐに導入したい。
「フライドポテトもこの折り方をすれば全然いけます」
アヤノは本当に器用だ。
コップ型に折ったり、こたつの上のゴミ箱を折ったりした。
「アヤノの準備が終わったら、グペラーンの街にすぐ向かおう」
「わかりました。ブライズさんと相談して、食品部門の女性に[鬼将軍の楽園]を任せることになりましたし、冒険者登録もさっきしておきました。ですので明日には出発できます」
「そう。じゃあ明日の朝、秘密の通路で王都に移動しよう」
「はい」
俺達は解散をした。
ブライズさんは紙の使い道がないかを考えたいと言って、何枚か紙を持って帰った。




