435.発展していくヤルク
昼前にゴーレに起こしてもらい、俺はサリルハムに向かう。
イサ達が熱心に作業をしていた。
「ライル様!」
「おつかれー。ちょっとシャハルードに行ってくるね」
「はい。行ってらっしゃい!」
俺はイサ達に見送られ、ゴーレとフリードと共にシャハルードに向かう。
シャハルードに着くと、いつものようにマルティル邸に案内された。
部屋で待っていると、マルティル元首がやってくる。
マルティル元首はすぐに頭を下げた。
「ライルくん。今回は色々すまなかった」
「弟子達も怪我をしてないですし、無事に解決したので」
「そう言ってもらえると助かる」
マルティル元首は頭をあげた。
「イタロから聞いてると思いますが、ライル商会の商品は格安で提供するので何かあったらイサ達に伝えてください」
「本当に何から何まで」
「いえいえ。こういう時の為にサオラル共和国に拠点を置いているので。ラシードさんはまだ現地に?」
「ああ。ガルワシ派の領地を調べなくてはならないし、テミでの事件もあったから当分は帰れないだろう」
あの胸糞悪い事件を思い出した。
「黒色火薬で子供と一緒に爆破させるなんて」
「そのことなんだが…」
「何かあったんですか?」
マルティル元首は俺に言うか迷っているようだ。
「実はガルワシ派が黒色火薬を想定よりも多く所持していたんだ」
「ん?どういうことです?」
「採掘で使用する量よりも遥かに多く、ガト王国から購入していたことがわかった」
「ペパイドの件が無くても黒色火薬を使って何かをしようと思ってたってことですか?」
「その可能性は高い」
マルティル元首は真剣な目で言った。
この話を聞くと少しガト王国もきな臭い。
マルティル元首も多分そう思っているが、立場があるから言わないのだろう。
「イサをシャハルードに来るように伝えておきます」
「すまないね」
俺はマルティル邸を後にした。
▽ ▽ ▽
ヤルクに戻ってきた。
サオラル関係が終わったら一気に暇になった。
青斧騎士団が少し気になる。
それにアルルハド領のダンジョンにも顔を出さなきゃ。
でも今日はヤルクの街をブラブラするつもりだ。
ゴーレとフリードを連れて、街に繰り出す。
『秘密基地』の範囲外の街をフリードに乗って探索する。
俺のことを知ってる人が多いのか、かなりの人数にジロジロ見られた。
「俺って結構有名?」
「そうですね。先日の授与式で登壇された影響でしょう」
「あー」
ジロジロ見られる理由はちゃんとあった。
建物も増えていて、少しだけだが活気を感じられた。
「店や宿屋が増えた?」
「そうですね。小中規模の商会が宿屋などを建てていると聞いています」
「うん!いいね」
「冒険者用の装備などを売っている店も何店舗かあるみたいです。ライル商会より品質は劣るが価格の安さを売りにしているみたいです」
「食品は安く提供してるけど、装備や武器は安くないからね」
「はい。ダンジョンに挑戦する冒険者やデスヘルに向かう冒険者に向けた店ですね」
競合にならないようにしているのはいい考えだ。
「飲食店も増えたようです」
「へー」
「ライル商会の食材を使って、低価格で料理を提供しているようです。評判は悪くないですが、ライル商会の飲食店と比べると3段階くらい下の評価みたいです」
ゴーレムが増えたおかげで、ゴーレが仕入れてくる情報量がかなり多くなった。
「ヤルクの街に暮らしてる人も増えてるんだよね?」
「はい。子供を学び舎に通わせたい人もいるみたいです」
「そうなの?今は孤児院の子と従業員の子供だけだから、多すぎなければ受け入れてもいいと思うな」
「既にセフィーナさんがそのように動いております」
「ははは。さすがライル商会特別顧問」
俺の中でセフィーナさんとアイザックさんとマリーナさんはライル商会特別顧問になっている。
「門を見たら孤児院の方にも行こうかな」
「わかりました。この時間ですと領主代行館前の空き地で屋台を出していると思います」
「おーちょっと気になってたんだよね」
そんなことを話していると門に到着した。
鬼骨騎士団2人とリビングアーマー2人が門兵として立っている。
「想像より立派な門だな」
王都の門と遜色のないものだった。
「おつかれ!」
「「お疲れ様です!!ライル様!」」
「ははは。がんばってね」
門兵に声をかけると、想像よりも大きな声で返された。
俺とゴーレとフリードはUターンをし、屋台をやっている空き地へ向かった。
▽ ▽ ▽
空き地では屋台が4店舗出ていた。
そのうち2つはうちの孤児院の子がやっていた。
焼コッコ・チョコバナナとリンゴ飴の屋台を楽しそうにやっていた。
ライル商会ではない屋台では、オーク肉の串焼きとパスタの屋台だった。
うちの乾パスタを使っているみたいだが、屋台向きではない。
空き地にいるお客は思ったよりも多かった。
小腹を空かせた冒険者が大半だった。
「あ!ライル様!」
孤児院の子が俺を見つけたみたいだ。
その声でシスターカモーエも俺に気付いた。
「お疲れ。どう売れてる?」
「「「売れてます!」」」
孤児院の子達は嬉しそうに報告してくれた。
「みんなすごいな!ライル商会を支えてくれてありがとね」
「「「へへへ」」」
俺の言葉に子供達は嬉しそうにしていた。
するとシスターカモーエが俺の元にやってくる。
「ライル様。今晩お時間ありますか?」
「ん?あるけど」
「屋台でできそうな料理をアヤノ様と考えました」
「お!じゃあ夕食は食わずに待ってるよ。工場エリアの食品部門の部屋でいい?」
「はい。よろしくお願いします」
シスターカモーエは頭を下げ、孤児院の子達の元に戻って行った。
少し様子を見ていると、孤児院の子達が麻袋を運んでいた。
「それは?」
「ゴ、ゴミです!マジックコンポスターに持って行くんです」
答えてくれた子は少し緊張しながら答えた。
ちゃんとゴミ対策もできていて安心した。




