434.特別授業
食事会から3日経った。
今日は水の日で特別授業の日だ。
俺はボリボアを含めた鬼骨騎士団10人と第3演習場で待っていた。
「今日は武器無しで5人の生徒と模擬戦をしてもらうから」
「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」
「鬼骨騎士団はポーション禁止。生徒はポーションあり。1日中倒れるまで組手ね。騎士団で負けたり倒れた人はショーグンの訓練を受け直し」
俺がそう言うとボリボア達の顔色が悪くなった。
どんだけショーグンは厳しい訓練をしているんだ。
そんなことを話していると、生徒がやってきた。
「授業始めてもいいの?」
「いいよ。ライルの好きなように」
「わかった。じゃあ1回目の授業を始めるよ」
「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」
生徒達の気合は十分そうだ。
「授業に付き合ってくれるのは、ライル商会の警備をしている鬼骨騎士団。ボリボア、代表で挨拶」
「鬼骨騎士団長ボリボアだ。ライル様の指示で授業の手伝いをする。強くなりたくて授業を受けるんだろうが、我々は恥ずかしいことにライル商会では最弱だが学生ごときに簡単に勝たせてやるつもりはない」
ボリボアは騎士団長らしいことを言った。
少し前まで盗賊だったのに。
役職が人を変えたな。
「じゃあゴトフ・イタロ・ハン・クラリ・ルサンナは素手で鬼骨騎士団と模擬戦。ポーションは用意しているから、動けなくなったら休まずにポーションを飲んですぐに模擬戦に戻ること」
俺がそう言うとゴトフとイタロ以外がドン引きしていた。
「じゃあ始めてて。残りの4人は俺が特別メニューを用意したから」
「「「「はい」」」」
▽ ▽ ▽
「ぐわああああ!」
空中を飛んでいたブリギッタが地面に落ちてきた。
ノコと永遠に空中バトルをしている。
既に30回以上は瀕死の状態で地面に落ちてきている。
そのたびにライムに回復されてすぐに空に飛び立つ。
最初の数回は飛ぶことがトラウマのようになったが、回復してすぐに空中に行かないとウィンドアローが飛んでくることを身体に覚えさせた。
「ああ!!」
ルフレッテはゴーレと模擬戦を続けている。
何度も土帝の大剣で斬りつけられ、蹴り飛ばされ地面に転がる。
残念なことに、腕が切断されても中断にはならないんだよ。
ライムがすぐに治しちゃうから。
カイゼの相手はフリードとシモンだ。
『獣化』してもフリードの速さにはまだ敵わない。
追い付かれた瞬間にシモンが糸を巻き付けて、壁や地面に叩きつける。
シモンが意外に怪力なことを知った。
アルヴィンは魔力量を上げるために魔法を使い続けながらキリーの攻撃を避けている。
何度斬りつけられながら魔法を使い続けるアルヴィン。
途中何度も吐いたが、ライムが綺麗にしてくれる。
ミッツと俺は隙があったら遠隔で攻撃をしている。
目の前の敵だけ見てたら集団戦で死んじゃうからね。
1回目なので基礎体力と基礎精神力をあげる特訓だけだ。
2回目以降が本当に地獄になるだろう。
▽ ▽ ▽
昼休憩だ。
想定よりも鬼骨騎士団が強くなってる。
体力の回復ができないから少し動きは鈍くなっているが、がむしゃら感とか気合が全然違う。
やっぱり生きるために行動をしていた経験は活きてるみたいだ。
まあ生きるための行動が盗賊だったのはバカだけど。
頭は弱いががむしゃらなタイプだ。
ゴトフとイタロとクラリは『体術』の取得をしてるからか負けてはいるが悪くない。
ルサンナは魔法が得意なせいか素手での模擬戦では全然だめだ。
ハンの技術は自主的に訓練したのかまあまあだが、体力が全くだ。
ゴトフとイタロ以外は死んだような目をしながら休憩していた。
▽ ▽ ▽
午後の授業。
追加合格組はミッツに任せ、俺はゴトフ達を見る。
鬼骨騎士団が意外に強かったことが俺の心を刺激した。
「午後は武器ありの模擬戦ね。俺の攻撃がどっちにも飛んでくるからがんばってね」
「「「「「え!?」」」」」
5人は絶句していた。
「助言もしながらやるから。じゃあ始めよう」
俺はクラリ・ルサンナ・ハンを中心に助言をしながら、ウィンドアローで嫌がらせをした。
▽ ▽ ▽
日も暮れ始めた
1回目からやりすぎたかもしれない。
みんなは倒れたまま動かない。
俺は1人ずつにアドバイスを伝える。
「ゴトフ。全体的に動きは良いけど気合が足りてない。気迫で負けてる。魔法が苦手なのもわかるけど少しは使えるように」
「う、うん」
「イタロは『体術』と『拳術』の経験値が足りないのと戦い方がまっすぐすぎる。あと魔法やスキルも合わせるように」
「はい…」
さすがの2人も疲れ切っていた。
「クラリは弓の練習はしてるみたいだけど接近戦が微妙すぎる」
「………」
「ルサンナは魔力操作は上手くなった。だけど接近戦は話にならないし、体力が無さ過ぎ」
「………」
「ハンはまず『体術』取得を意識しよう。あと剣が素直すぎ。教えてもらったことをそのままやってるだけ」
「………」
3人の意識はあるみたいだが声を出す気力は無いみたいだ。
追加合格組にもアドバイスと思ったが、死んだように倒れている。
これは誰かに伝えておいてもらおう。
「はい、じゃあ。次の授業は来週!」
俺達は解散し家に帰った。




