乱戦~復讐の産声
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ブレイブ・スレイヤー視点
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魔力欠乏になってから5分。
ブレイブの肉体は、すでに生物の限界を超えていた。
左腕は肘のあたりから消失し、右腕はあり得ない方向に曲がっている。
右耳には大きな風穴が開き、
左目は潰れて赤黒い血を流していた。
足にも無数の穴が開き、大地を赤く染めている。
だが、彼はまだ立っていた。
『はぁ、はぁ、はぁ……ッ! まだだ……まだ、俺は動ける。まだだ、まだだぁぁーー!』
ブレイブが喉を枯らして咆哮した、
その時。
〖ナゼ……タチムカウ……?〗
■■■が、言葉を発した。
『お前……喋れたのか!? 会話がができる魔物なんて……。まさか、お前は……魔人か、魔人なのか!』
〖マ……ジン? ナンダ、ソレハ。
ソレヨリモ……コタエロ。オマエハ、ナゼ……マダタチアガル?
チカラノ……サハ、ワカッタハズダ……〗
ブレイブは空に轟かすような大声で一喝する。
『……家族を守るのに、理由なんているかよ! てめぇだけは、絶対にここを通さねえ!』
無謀なブレイブの返答に、■■■の動きが止まった。
〖ソウカ……デハ、ソノママ、シンネンニシタガッテ……シ■★▼〓〓▲!!〗
突然、魔人が左腕で自らの右腕を掴んだ
〖逃げろ! 逃げてくれ! 俺が……俺が抑えている間に!!〗
???が人が変わったかのように流暢に話し出した。
『は……? どういうことだ? 貴様から襲ってきたんだろうが!』
豹変した声にブレイブが困惑しながら応える。
???は激しく、葛藤するかのように頭を振り、焦りはじめた。
〖いいから、早く!急いで! は、ヤク……ッ! チッ、まだ残っていたか。
……………もういい。興が削がれた。〗
シュンッ――。
次の瞬間、■■■の姿は霧が晴れるように消失した。
『助かった……のか?
いや、見逃された、が正解か……』
緊張の糸が切れたブレイブは、そのまま糸の切れた人形のように地面に崩れ落ちた。
リーダーを失った魔物の群れは、潮が引くように森へと戻っていった。
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ウィル視点
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オギャアギャ……(あの黄金の光は………
親父か!?)
遠方で吹き荒れる強烈な風魔法。
(な、なんて強さだ……。これが“魔法”のあるタマの取り合いなのか……!)
俺は震えた。だが、それ以上に戦慄したのは相手の強さだ。
(なッ!? あれだけの猛攻を受けて、掠り傷一つねえだと……? 恐ろしい化け物がいたもんだ……)
ブレイブの腹に穴が開く。だがそれでもブレイブは立ち上がった。
(……ほう、いい面構えだ。腹に風穴あけられてもドスを離さねえ。……カタギだと思ってナメてたが、親父、テメェも立派な極道じゃねえか)
ブレイブの体が魔力欠乏で草のように左右に揺れる。
(だが、弾切れの状態でそのヤクネタとサシの殺り合いは…無謀だ。
………俺に、力があれば………)
右翼では魔物の断末魔が響き、火炎瓶が地雷のごとく魔物を焼き払う。
そして中央では、すべてを飲み込む巨大な炎の竜巻。
オギャー!! (な、なんだこりゃあ……。魔法ってのは、ここまでできるのかよ……!)
ボロボロになりながらも気合でヤクネタとのサシを乗り切った親父。
群れの中で死に物狂いで剣を振るう兵士たち。
知恵を絞って時間を稼ぐ魔法兵。
そのすべてが、今の俺には眩しすぎた。
オギャア……(なんて、なんて俺は無力なんだ。
こんな死が軽い世界で俺は無力だと?
笑わせんな。俺は……絶対に、絶対に強くなってやる!)
誓いを立てた、その直後だった。
ズドォォォォォンッ!!
俺を抱えるレーラと侍女の前に、一頭の巨大な牛魔が立ち塞がった。
ブモォォォ!!
『……大、〓∉☆夫よ……。マ◑▷、守るか♧……っ』
母親、レーラは恐怖で声を震わせながらも、俺を抱きしめる腕を緩めない。
その時、侍女が腰の剣を抜き放ち、前に出た。
『逃げてく∉▷い! 私◑……相手☆▷▲!』
彼女は剣を両手で強く握り締め、巨体へと突撃していく。
『だ■よ! 戻〓∉!!』
レーラの制止も、彼女には届かない。
(クソが! どうにかならねえのかよ!!
)
俺は歯を食いしばり、動かない赤ん坊の体を呪った。
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侍女視点
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私に、名前はありません。
強いて言うなら、私の名前は“55番”です。
2歳の時、借金に苦しんだ親に売られました。
それからの記憶は、泥と血にまみれています。
奴隷として働かされ、闘剣士の真似事で切り刻まれ、貴族のストレス発散や拷問の練習台にされる日々。
そんなゴミ同然の私を拾ってくださったのが、レーラ・スレイヤー様でした。
彼女は私のことを憐れみ、形見である大切なドレスを売って、私を買い取ってくれました。
殴ることも、蹴ることもせず、私を一人の人間として、侍女として扱ってくださいました。
そんなレーラ様に、お子様が生まれました。
ウィル様。
とても愛らしい、守るべき命。
このお二人を守るためなら、私の命など、いくらでも差し出せます。
今……この命を、使う時!!
「逃げてください! 私がお相手します!!」
『雷! はあぁぁッ!』
私は魔法を放ち、怯んだ牛魔の脚に三連撃を叩き込む。
グモォォォ!!
脛を裂かれた牛魔が、悶え苦しみながら巨大な斧を振り回した。
ブゥンッ!
地面に深い罅が入る。
直撃こそ避けたものの、弾け飛んだ石の破片が私の脚を貫いた。
『くぅ……! まだまだ! はあぁッ! やああぁッ!』
私は痛みを無視し、牛魔の脚を切り刻み続ける。
『雷! 雷! 雷ォォ!!』
狂ったように魔法を乱射し、脚に剣を突き立てる。
猛り狂った牛魔が、さらに大きく斧を振り上げた。
『今だっ!』
首を狙った、絶世一遇の一撃。
だが。
ブモォ!!
驚異の反射で牛魔が首を逸らし、私の剣は右目を切り裂くに留まった。
気落ちせず、死角となった右側から、果敢に攻め立てる。
しっちゃかめっちゃかに斧を振り回し、暴れる牛魔。
その斧の先に、レーラ様とウィル様がいた。
「っ! レーラ様ぁぁぁーー!!」
私は、迷うことなくその前に飛び出した。
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ウィル視点
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視界の端で、名もなき侍女が死に物狂いでたたかっている。
奴の巨体に対し、彼女が選んだのは徹底した足への執着だ。
(そうだ! 巨漢を崩すなら、まずは足だッ! 良い判断だ!)
彼女の掌から放たれる雷。俺はそれを、食い入るように凝視した。
(あれが練り方か……。一点に集中し、体外へ一気に……いや、あれは放出だけじゃねぇな。)
分析している間に、戦況が動く。
彼女が隙を突き、牛魔の右眼を切り裂いた。
(惜しい! だが、これで死角はできた! あと一息だ……ッ!)
だが、絶望は一瞬で希望を塗りつぶした。
逆上した牛魔が振り回した斧がレーラへと振り下ろされる。
侍女は手にした剣を盾にし、俺たちの前に躍り出た。
グモォォォ!!
視界を埋め尽くす、生暖かい液体。
鼻にこびりつくような鉄の臭い。
懐かしい暴力の臭い。
俺は牛魔を殺気を込めて睨みつける。
牛魔は、足元に転がった“肉塊”に興味を失ったように、悠々と背を向けて去っていく。
俺のことは一瞥もしなかった。
踏みにじられたプライド。
守れなかったシマ。
赤ん坊の小さな拳は、爪が食い込むほど強く握られていた。
(……行けよ。
今は逃がしてやる。だが、その右眼の傷は忘れんな。
……テメェのタマは、俺が預かった。
必ず……俺が引導を渡す!)
この日、可愛い赤ん坊だったウィルは死んだ。
そして。
復讐のために【魔法】という名のナマリを練り上げる、一人の怪物が産声を上げた。
ウィル・スレイヤー
使用可能魔法 なし
登場した魔法
・一般魔法
«微風» «速度強化» «風斬撃» «風爆弾»
«風針» «風矢» «風矢連射» «火炎瓶»
«火玉» «火壁» «雷»
・複合魔法
«火炎風»
闘気 使用不可
目標 魔法を使う 魔力感知
言語を覚える 40%
漏らさない 未達成
強くなるnew! 未達成(今すぐなりたい。今すぐ、この牛をぶち殺す力が欲しい)
«雷»:手から小規模な雷を発射する。速度がとても速く避けることはほぼ不可能。また、雨の中や雷雨では威力が倍増する。
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【ウィルの独り言】
「クソが……ッ! 赤ん坊なんて器のせいにして、シノギを後回しにしてたのはどこのどいつだ!
…………俺だ。
目の前の身内をボコられて、指くわえて見てるだけか?
……笑わせんじゃねえぞ、三下がッ!」
~~~~~~~~~~~~~~後書き~~~~~~~~~~
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登場してほしい魔法、魔物があったら名前、効果をかいてください!
侍女の名前が全然出てこなかった訳は名前がないからなんです!分かりましたか?
ブレイブは生きていましたが、、、
この物語を最初に読んでくださった7名の方に最高の感謝を!
ハートをくださったしましまましま様に最高の感謝を!初フォローのJOU1129様に最高の感謝を!
それではヾ(^_^)




