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第三研究院中央研究室活動日誌  作者: 遠浅にたゆたうくじら
序章・1章 ジェマ・ルーディスの仲間入り
12/19

9話

結局、心がスッキリしないまま今日の仕事が終わってしまいました。


「ルーディスさん、今日も一緒にどうかしら?」

「いえ、今日は用事があって、いけません。」

「そう?でも沈んだ顔をしているわよ?そういう時こそお茶を楽しまなきゃ。もし用事まで時間があれば、少しだけでも、どう?」

「ありがとうございます。じゃあ、予定まで、少しだけ。甘えちゃいますね。」

本当に、リーヴィアさんには敵いませんね。



「それで、何があったの?話したら心が軽くなることもあるのよ?」

「なんでもないことなんですよ。えっと、室長さんが、『自身の研究を始めてみないか』って言ってくれたんですけど、私には中央研究室の研究は務まらないかなって思って。」

「あら?最近いい顔をしていたから、その辺の自信はついたのかと思ってたわ?」


リーヴィアさんは少し微笑んで、続けます。


「聞いて?あなただって才能に溢れてるのよ?私も学校からの推薦書を読んだのだけど、すごいじゃない。模擬戦闘では初学生にしてグループリーダーを務めて見事表彰台、魔術理論の筆記テストでは前代未聞の2回連続満点、魔力素材での製薬では、授業中に新薬の元となる発見をする、」


「ちょっと、もうやめてください!恥ずかしいですよ!それに、模擬戦については先輩が強かっただけですし、他もたまたまで…」


「それを言うなら、私もよ?私の発明した魔術なんてほとんど思いつきだもの。専門である変身魔術なんて、本当に偶然だったわ。


私ね、思うの。世の中にいるすごい人って、きっと、すごいことを計画通りに全て成功させられる人ではなくて、すごいことを成し遂げる『偶然』を、自分の能力でたくさん引き寄せられる人なのではないかしら?

そして、あなたも私も、たくさんとはいかなくても、偶然を手繰り寄せるだけの能力がある。違うかしら?」


偶然を、手繰り寄せるだけの、力…


私も、できるかな。




この日に飲んだ紅茶は、いつもよりも味わい深くって、体の芯まで染み渡っていくような気がしました。







それにしても、

「もしかして、リーヴィアさんって年上でしたか?」

「ええ、もちろん。4歳ぐらいは上ね。急にどうしたの?」


4歳も上!?絶対年下だと思ってました。ごめんなさい。

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