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第十一章 祝福 chapter05

沈黙の帳が法廷全体を包んでいた。その帳を開く力を与えられた唯一の存在、裁判長が穏やかに語りかける。

「被告人、最後に言いたいことはありますか?」

遠くの床を見つめるような姿で座っていた治が、ふと我に帰る。

「あ、あの、一言だけ」

治は証言台に立った。

「うちは吹けば飛ぶような町工場です。ですがトクサフローチップリアクターは、私たちが人のため、未来のためと信じて作ったものです。ただただ〝いいもの〟だと信じておりました。でも、それがいろいろな解釈をもたらすものだと改めて気付かされました。技術は、人の使い方によるのです。それを肝に銘じて、また職人としての道を邁進したいと思います。今回、助けてくださった九印の先生方、ありがとうございました。そのことを気付かせててくださった竜崎先生にもお礼申し上げます」

真新しいつなぎの技術者は、弁護人、検察官に一つずつ、お辞儀をした。

「私の言いたいことは以上です」

裁判長は両陪席に目配せし、最後のセリフを放つ。

「以上でこの裁判は結審となります。判決の言い渡しは9月18日10時からこの法廷で行います。——以上で閉廷します」

退廷口に促される治、見送る彩花。しっかりと合わされる視線、頷く治を見送る彩花の頬は、すでに涙で濡れていた。


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