第十四話:咲花妖精
今回はずっと書きたかった装備設定を出すことができました。いろんな作品で憧れたこの瞬間まで来れたことが本当に嬉しいです。
「……終わったのか?」
ボスが完全に消え、周囲の花々も、眠りを誘う霧も消えている。代わりに空間の奥の方に転移の魔法陣であろうものが光り輝いていて、大きな箱が中央に鎮座していた。
(そういえばイアンが言っていたな。ボスの討伐に成功すれば宝箱が現れ、報酬が貰えるとか。その場で開けてしまったほうがいいとも言っていたし、中身を見てみるか)
あまり信用し過ぎるのも良くないのだが、ボスという大きな敵を倒して更に、というのは考えたくなかった。鍵も掛かっていないその箱を開けて中を覗いてみると、すぐに見えたのは紙束と弓と矢筒と布だった。手前から見ていくか。そう思い、紙束を手に取り書いてあることを読む。そこにはこの弓矢と布について書いていた。
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[咲花妖精]
花を咲かせては散らす悪戯な妖精を彷彿とさせる装備。吹けば飛ぶような布服は、身につければ風になったように気ままに動ける。弓には花を咲かせる力が込められていて、自身の思い描く花園を創り出すことが可能。今まで侵入者がいないダンジョンをたった一人かつ一回で突破した強者に送られる固有装備の一つ。固有装備は譲渡や喪失などが不可であり、唯一無二。
[装備と能力]
“花長弓”
花々を統べる長の証である弓。咲くも散るもロード次第。気ままに無邪気に生命を操作する。
『花従の法』
アクティブスキル。この弓で射った矢の着地点の把握や回収、そこへの瞬間転移に強制開花といった、知/収/移/開、の4つの能力が使える。それぞれ消費する魔力量が異なる。
『自由弓』
パッシブスキル。弓矢を手に持たずに操作できるようになる。
『自然成長』
パッシブスキル。時間経過で性能が強化される。
“花休めの筒”
花長の暴威から逃れることのできる唯一の安息地。ここでは花らしく過ごすことが許され、春の穏やかな時間が流れている。
『理内の間』
パッシブスキル。この矢筒に入った矢はつぼみを持ち、開花する変遷を辿ることができる。花の性質は矢の状態と装備者の能力によって変わる。
『自然成長』
“浮花”
とても小さな花を携えた布靴。今にも飛んでいきそうなこの靴は身体をも道連れにするが、空中での姿勢を安定させてくれる。
『浮遊』
パッシブスキル。常に身体が浮く。上昇や下降もお手の物、ちょっとゆっくりだけど。
『自然成長』
“花留衣”
花が布を留めている、なんとも頼り無さ気な布衣。風に吹かれては翻るマントのようなものは全て花びらでできている。花長のためなら自ら散ることすら躊躇しない。
『風乗り』
アクティブスキル。風の向くままに動くことで速度と攻撃力を上昇させる。乗りこなせば回避による防御力も上がる。
『花吹雪』
アクティブスキル。極彩色の花びらが高速で舞い、触れたものを傷つけ、状態異常で苦しめる。またパッシブスキルでもあり、一日に1度だけ、致命傷を感知したときに主を守るために散っていく。このときの花びらはアクティブスキルのときよりも量が増大し、速度も上がった強力な攻撃で敵を退ける。
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紙束を読み終え、箱の中身を取り出して見る。書いてある通りであれば、吹けば飛ぶようなこの布切れたちが装備……ということだろう。しばらく着ることに躊躇していると、
『あ、やーっと繋がった。やっほーレネード。生きてるってことは、ボスは倒せたようだね』
不意に軽薄でとぼけた声が聞こえた。
(何処からだ!?)
急いで周囲を見渡すが声はどうやらオレの方、魔導具から発せられているらしい。短刀の形をしたものから声が聞こえるこの状況に混乱しているオレを無視してイアンは喋り続ける。
『その装備はレネードの今着ているのより性能が全然強いから変えたほうがいいよー。というか全部装備してからじゃないと会ってあげないから、よろしくね』
プツンッ、と何かが切れる音がすると、それからイアンの声が聞こえることはなく、元の静寂が訪れた。
(この外道勇者……!!ぜっっったいにからかうつもりだろあの言い方は!それに、こんな短くて薄いうえに、発光しているかのように真っ白で無駄に目立つ服……かどうかも怪しい布切れどもがオレのより強いだと!?)
オレが今着ている装備は一流の狩人が愛用する、隠密に優れ、耐久性もある、狩人と言えばこれだとお手本のようなものだ。弓に関しても、オレが手塩にかけて作った馴染み深い一級品だ。どちらもこの装備のようにスキルを持っている訳でもないし、使い物にならなくなる時も来るが、修復はできる。枝に引っかかるだけで破れてしまいそうな布切れよりは遥かに良いはずだ。
(それに……もしこんな格好をアイツや父さんや母さんに見られでもしたら……恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそうだ)
しかしここまでやって今さらイアンの旅に付いて行けなくなれば、あの退屈な日々と虚しさに苛まれることになるのだろう。ふと、イアンと旅をしているオレを思い浮かべた。あのキラキラした勇者の後ろの方で白い布を纏い弓矢を持っているオレ。その隣には槍を持ったアイツがいて……
(そういうのも、悪くないかもな)
思えば勇者パーティーなど好奇の目にさらされて当然だ。それに、ちょっと変わった服装の方が印象に残るかもしれない。そうだ。アイツが装備を笑ってきたら、お前も一緒に笑い者になるぞと言い返してやろう。オレもアイツも、お互いのことは飽きるほど見てきた。今さら露出の多い服を着た所で、違和感を抱いたりはしないはずだ。父さんたちには、別に見せなくても良いだろう。噂で聞くかもしれないが、その時には既にオレの中で笑い話になってる……はずだ。
(よし、着てやろうじゃねえか)
そう決心し、急いで装備を着替える。途中でもう恥ずかしさが立ち上ってきたが、決心が揺らぐ前になんとか着替えることができた。浮遊する身体も違和感がなく、常時『風纏』が使えるという感覚で、すぐに慣れた。紙束と着ていた弓と装備を道具袋に入れて急いで転移陣に行こうとすると、あの箱がまだ残っていることに気がついた。
(そういえば、この箱はどうなるんだ?)
不思議に思って箱に触れると、なんといきなり収縮し始めたのだ。どんどん小さくなり、ようやく収縮が止まったときには小さなオルゴールほどになり、背面に安全針のようなものが付いていた。針を通せば持ち運ぶこともできそうだ。
(ついでに付けていくか、残しておくのはもったいない)
花留衣の下の方の布地に針を通して、今度こそ転移陣に乗るのであった。
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[咲花妖精]
花を咲かせては散らす悪戯な妖精を彷彿とさせる装備。吹けば飛ぶような布服は、身につければ風になったように気ままに動ける。弓には花を咲かせる力が込められていて、自身の思い描く花園を創り出すことが可能。今まで侵入者がいないダンジョンをたった一人かつ一回で突破した強者に送られる固有装備の一つ。固有装備は譲渡や喪失などが不可であり、唯一無二。
[装備と能力]
“花長弓”
花々を統べる長の証である弓。咲くも散るもロード次第。気ままに無邪気に生命を操作する。
『花従の法』
アクティブスキル。この弓で射った矢の着地点の把握や回収、そこへの瞬間転移に強制開花といった、知/収/移/開、の4つの能力が使える。それぞれ消費する魔力量が異なる。
『自由弓』
パッシブスキル。弓矢を手に持たずに操作できるようになる。
『自然成長』
パッシブスキル。時間経過で性能が強化される。
“花休めの筒”
花長の暴威から逃れることのできる唯一の安息地。ここでは花らしく過ごすことが許され、春の穏やかな時間が流れている。
『理内の間』
パッシブスキル。この矢筒に入った矢はつぼみを持ち、開花する変遷を辿ることができる。花の性質は矢の状態と装備者の能力によって変わる。
『自然成長』
“浮花”
とても小さな花を携えた布靴。今にも飛んでいきそうなこの靴は身体をも道連れにするが、空中での姿勢を安定させてくれる。
『浮遊』
パッシブスキル。常に身体が浮く。上昇や下降もお手の物、ちょっとゆっくりだけど。
『自然成長』
“花留衣”
花が布を留めている、なんとも頼り無さ気な布衣。風に吹かれては翻るマントのようなものは全て花びらでできている。花長のためなら自ら散ることすら躊躇しない。
『風乗り』
アクティブスキル。風の向くままに動くことで速度と攻撃力を上昇させる。乗りこなせば回避による防御力も上がる。
『花吹雪』
アクティブスキル。極彩色の花びらが高速で舞い、触れたものを傷つけ、状態異常で苦しめる。またパッシブスキルでもあり、致命傷を感知したときに主を守るために散っていく。このときの花びらはアクティブスキルのときよりも量が増大し、速度も上がった強力な攻撃で敵を退ける。
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