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【8/28改訂】年下甘えん坊騎士を捨てて戦地へ赴いたら、瀕死の私に狂愛を囁く恋人の真実を知りました  作者: 恋せよ恋


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第23話 王都への帰宅と、心からの謝罪

 王都へ戻ってから三か月。

 伯爵家からの手厚い看護と、レオンの片時も離れない献身的な愛を受けながら、ミレーユは介助なしに歩けるまでに体力を回復させていた。声もしっかりと出せるようになり、二人は食後に屋敷の美しい庭園を散策するのが日課となっていた。


 穏やかな春の陽気が差し込む東屋で、ミレーユを膝の上に横抱きにして座っていたレオンが、ふと真剣な眼差しで彼女を見つめた。


「ミレーユ……君に話さなければいけないことがあるんだ」


 レオンの手が、わずかに震えている。


 彼女を絶望させ、最前線へと向かわせるきっかけとなった『秘密任務』と『浮気の誤解』について、レオンは自分の口からすべてを打ち明ける覚悟を決めていた。過去の自分の秘密を隠したままミレーユと暮らすことは、彼の誇りが許さなかったのだ。



「あの日、君が家を出て行くことになった……僕が大通りを令嬢と歩いていたこと、そして、僕たちの小邸に別の女性を招いたと誤解させてしまった件について、真実を聞いてほしい」


 ミレーユは少し目を丸くした。そして、静かにレオンの言葉に耳を傾ける。


 レオンは包み隠さず、すべてを語った。


 自分がリンドン伯爵家の密偵として、敵国へ兵器を密売していたシシリー子爵家の裏帳簿を追っていたこと。サロンの内部調査のために子爵令嬢に近づいたこと。そして、敵の手がかりとなる金庫の鍵を複製するため、子爵家の侍女を言葉巧みに誘導して小邸へ立ち寄らせたこと——。


「全部、国と家門のための秘密の任務だった。その侍女とも、サロンの令嬢とも、やましい関係なんて何一つない! 指一本触れることすら絶対にない! だけど……ミレーユに危険が及ぶのを恐れて真相を隠し、君を傷つけ、不安にさせ、絶望させたのは僕の甘さだ。僕が最初から君を守れるだけの強さを持っていれば、君をこんな目に遭わせずに済んだのに!」


 レオンは膝の上に横抱きにしたミレーユの体を強く抱きしめ、額を彼女の肩へとこすりつけるようにして切ない声を漏らした。



「じゃあ、あれは……本当に、浮気ではなかったの?」


「ああ、誓って違う! 僕が愛しているのは、昔も今もミレーユだけだ!」


 弾かれたように顔を上げたレオンの目には大粒の涙が浮かび、頬を濡らした。


「僕の心も身体も、最初から最後までミレーユ、君だけのものだ! 頼むから、僕を捨てないでくれ……っ!」


 必死に縋りつく『王都で人気者の騎士』の姿に、ミレーユは驚いたものの、すぐにその涙で濡れる頬へ優しく手を添えた。



「……ふふ、やっぱり」


「え……?」


「……前にね、ケビンが言ってたのよ。『あいつの目はお前しか見ていない、単なる一途なバカだ』って。それに……今のレオンの目を見れば分かるわ。私を、こんなにも愛してくれていること」


 ミレーユは柔らかく微笑むと、レオンの頬の涙を親指でそっと拭った。


「秘密にされていたのは悲しいけれど……伯爵家の任務だったのでしょう。私を守るため、そしてお仕事を果たすためだったのだもの、もう自分を責めないで。でも……レオン、もう、浮気はダメよ。ふふふ」


「ミレーユ……っ!」


 レオンは耐えきれず、ミレーユの華奢な身体を壊れ物でも扱うかのように、けれど決し離さない強い力で抱きしめた。


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