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冒険はバカから始まった  作者: さかなのおにく
1章 チュートリアル
7/29

6話 準備をしよう!


 しばらく笑った後、俺達は全員で穴を覗き込んでいた。

 穴の奥は暗く、奥までは見えない。

 

「なぁ、この穴ってダンジョン…だよな?」

「多分そうだね〜!」

「早く入りましょうよ!」

「まぁ待てよ。この穴のことを報告するだけでも報酬は貰えるハズだ。わざわざ危険を犯す必要はない。」

「え、じゃあ入らないんですか!?」

「え〜ダンジョンで珍しいお酒が見つかったって聞いて気になってたんだけどな〜」

「…俺も中にはお宝があると聞いたし、入りたい。だからここは運を確かめてから入ろうじゃねぇか!」

「あ〜はいはい、いつものね〜」

「賭けたいだけですね!」


 懐から銀貨を取り出し、親指で上に弾き手の甲に乗せる。

 反対の手で見えないように抑え、2人に問いかける。


「表なら入る、裏なら報告。さぁ、裏か表か!」

「じゃあ表で!!」

「俺も表です!」

「俺も表だ!」


 抑えていた手をどけ、コインを3人で覗き込む。


「「「表!!」」」

 

「じゃあ〜……?」

「あぁ、行こう!」

「やった〜!」

「俺達の戦いはこれからです!」

「明るい明日が待ってるぜ!」

「お酒あるといいな〜!」

 

 俺達は穴の中に足を踏み入れ進んでいく。


――――――――――――――


「なぁ2人ともそこに居るのか?」

「居るよ〜!」

「居ますよ!」

 

「……お前ら見えてるか?」

「何も見えないね〜」

「真っ暗です!!」

「松明持ってくるべきだったな…」

 

「はぁ…仕方ないな〜。この杖使って照らすけど、今の酔い具合的にそんなに持たないし、照らしてる間は魔法使えないからね!」

「さすが助かる!悪ぃな。」

「ありがとうございます!!」

「これ結構辛いんだからね〜…後で1杯奢ってね〜…」


 光がセラの掲げる杖の先に灯る。

 周囲に目線を走らせ確認をすると、どう見てもただの洞窟であった。

 目に入るのは岩、岩、岩…で、真っ直ぐに奥まで通路が伸びていた。


「何も無いし、何もいないな…。」

「お酒はどこ!?」

「敵は!?」

「どっちもねぇな…お宝も…。」


 期待との差に打ちのめされつつも、とりあえず奥へと進んでいく。

 ただただ岩山をくり抜いた洞窟にしか見えない。


「なぁ本当はただの洞窟でした…って事は無いか?」

「うーん…うっすらだけど魔力は感じるんだよねぇ…」

「ピリピリはしてます!」

「ならこの壁ぶち壊せないか?魔力を帯びてるなら売れそうじゃね?」

「あ!確かに!!魔石と同じって事だもんね〜。」

「じゃあやってみます!」


 そういうが早いかボルクが壁を殴る。

 数発殴ったところ、壁から丁度いいサイズ感の石が落ちる。


「お、ナイスだボルク。どうだセラ?」

「あ〜ダメっぽい?魔力感じないし、ただの石だね〜。」

「まぁそうだよな…。」


 その後は口数も減り、トボトボと肩を落とし歩く。

 しばし歩き続け、そろそろ休憩でもするかと考えていると目の前には左右へと続く分かれ道が現れた。


「どうする?」

「こういう時こそ賭けなんじゃないの?」

「異論ありません!コインに決めてもらいましょう!」

「しょうがねぇなぁそこまで言うなら投げてやるよ。」

「ニヤニヤしすぎ!」

「表なら左、裏なら右だ!」


 俺はズボンのポケットから銀貨を1枚取り出し弾く。

 地面に落ち、示した先は裏、右だった。


「よし!右に進むか!」

「あれ?もう突き当たりみたいですよ!」

「見て見て〜!奥に宝箱?があるよ〜!!」

「おぉ!ホントだ!!見に行こうぜ!」


 俺たちは宝箱に向け駆け寄っていく。

 あと数メートルで宝箱に辿り着く、そんな距離で突然地面が消えた。


「いてて…2人とも大丈夫か?」

「無事〜…」

「大丈夫です!」

「落とし穴かよ…原始的な…。」

「そういえばダンジョンにはトラップあるんだったね〜…」

「この落とし穴普通に脱出できそうですよ!浅いですし、壁もゴツゴツしてます!」

「3メートル位あるが…まぁ浅いか。」

「下に槍とかなくて良かった〜!」

「じゃあ脱出しますので、乗って下さい!」

「なんでそんなに嬉しそうなんだよ!!」

「あんまり揺らさないでね〜?」

「いいトレーニングです!」


 ボルクは軽快な動きで落とし穴を登っていく。

 まるでどこかで同じ状況でもあったかのような軽快さだった。


「さて、宝箱の前に着いたが誰が開ける?」

「カラム開けてよ〜」

「1番いい物引きそうですからね!」

「自信はあんまり無いが任された!開けるぜ?」


 俺は罠に警戒しつつもゆっくりと蓋を上にあげていく。

 中が見える程開いたそこにあったのは銀色に輝く――


「カミソリじゃねぇか!?なんでこんなとこに入れてんだ!」

「あはは、しけてるね〜」

「でもこれでダンジョンなのは確定ですね!」


 ポケットに入れつつ、2人の顔を見るとニヤニヤと嬉しそうにしていた。

 

「あぁ、そうだな!1番奥まで行けばなんか良いものあるだろ!」

「お酒あるといいな〜!!」

「強い敵も居るはずです!」


 俺たちは笑い合いながら落とし穴の縁を歩き、元の道へと戻り左の道を進む。


7話は22:20に更新します。

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