表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冒険はバカから始まった  作者: さかなのおにく
1章 チュートリアル
6/29

5話 調べてみよう!


 訓練が終わり、哨戒任務が始まった俺たちは真面目に任務をこなしながら森の中へと進んだ。

 少し村から離れた辺りで、いい感じの茂みがあったので、その陰にしゃがみ、顔を突き合わせながら小さな声で相談していた。


「なぁ、昨日聞いた噂のことは覚えてるか?」

「覚えてるよ〜だから朝起きたんだし〜」

「強い魔物と戦いたいです!」

「そうだ、だが全く詳しいことが分からん。デカイ魔石を探せばいいんだよな?」

「そう言ってたね〜」

 

「オーガの魔石を軍に納めたとあります!」

「オーガ?なんだそれ?」

「たしかでかいゴブリン見たいなやつでめちゃくちゃ強いやつ…じゃ無かったかな〜?」

「じゃそいつを見つけて魔石取ればいいんだな!」

「そうです!持ち帰った兵は昇進と一時金貰えたようですよ!!」

「一時金!?それは…うへへ。」

「高級酒場が待ってるよ〜ふへへ〜!」

「オーガ楽しみですね!」

 

「ってかやけにボルク詳しいな?メモでも取ってきたのか?」

「いえ、ここに書いてますよ!!」

「ってお前張り紙取ってきたのかよ!?ダメだろ!」

「え?そうなんですか!?」

「まぁこれで俺達以外が狙う事も少なくなるしいいか!」

「バレないし別にいいでしょ〜!」


 俺達は立ち上がり、森の奥昨日ゴブリンが多かった地点まで進む。

 昨日と変わらずゴブリンが多く、昨日よりも増えているような感じがした。


――――――――――――


 ゴブリンを倒しながら進み、ついに昨日の地点まで来た。

 しかし、昨日と変わらず大きな異変はない。


「ここからどうやって探せばいいんだ?」

「臭いとか〜?」

「足跡ですかね?」

「無理だろ。オーガなんて知らないし。」

「だよね〜…」

「ならコッチ行ってみませんか!?」

「どうした?」

「昨日も今日も変な感じがするんです!」

「変な感じ?」

「ピリピリします!」


 俺たちはボルクの感覚を頼りに森の奥へと進んでいく。


「なぁ、なんかゴブリン増えてないか!?」

「増えてるね〜!多すぎ〜!!」

「うぉぉぉぉぉ!!かかってこい!!」

「ボルク、戻ってこい。ゴブリンで盛り上がりすぎだ!」


 しばらく進み太陽が沈みかけた頃、開けた場所に出た。

 森が切れ、小さな崖が見える広場で見通しが良く見張りをするにもちょうどいい。

 今から戻るのも厳しそうだし、もうここで野営をするかと2人に声をかけようとした時、ボルクが止まった。


「ここが1番ピリピリです!!」

「あ、ほんとだ〜ちょっとだけ魔力を感じるね〜」

「え、俺何も感じないんだけど?」

「カラムさんは鈍感ですからね!」

「お前そんな風に思ってたの!?」


 俺たちは周囲に気をつけながら進む。

 しかし特に魔物が出ることも無く、崖に辿り着いた。


「おい、ほんとにここか?何も居ないぞ?」

「この崖…魔力を帯びてるね〜。」

「え、つまり……」


「オラオラオラオラァ!!」

「!?」


 突然、ボルクが崖を殴り始めた。

 表面が割れ、細かな破片が飛び散る。

 しかし、表面より奥は砕けていないようだ。


「はぁはぁ…俺の拳で砕けないなんて…」

「少し砕けてるだけでも訳が分からんぞ。」

「よ〜しそれならちょっと本気で行くよ〜!!」

「待て待て、セラ!!」


 止めたが全く聞く耳を持たず、ワインを煽ったセラの詠唱が始まる。

 仕方ないので俺とボルクはセラの横に立ち、様子を見守る。


 空気が一瞬で変わる。

 温度も湿度も、感覚ごとねじれるような圧。

 杖先に淡い光が集まり、そこから細い線が伸びる。

 その線が空中に模様を描き始め、幾何学的な円がいくつも重なっていく。

 光の輪が空間を刻むたびに、耳の奥がジリジリと鳴る。

 

 他人の魔法を見たこともあるが、俺はこいつの魔法発動の瞬間が好きだ。

 細い光の線が様々な模様を描いていくが、他の魔法使いではここまで緻密に描かれない。


 セラが低く、しかし周囲に響く声で呟く。

 呟く声に合わせ新たな模様が描かれ足されていく。

 

「……魔の力よ巡り、環を結べ。火の理を借り――」


 ピタリとセラの詠唱が止まり、魔法陣が淡い青から赤へと変化した瞬間、セラの目が泳いだ。

 

「……あ、やばいかも。」


 その瞬間空中に描かれていた模様が急激に歪んでいく。

 円がねじれ、線が爆ぜ、光が破裂するように弾けた。

 俺は叫ぶ。


 「やっぱりこうなるのか!伏せろぉ!!!」


 ――耳が破れるかと思うほどの爆音。閃光。爆風。

 俺たちは同時に吹き飛ばされ、地面を転がり、木にぶつかって止まる。


「げほっ…ぺっ……ちっ、砂入った。セラ、今回はまたド派手…」


 砂埃と閃光の残滓で白く霞んでいた視界が戻ってくる。

 そして、見えた光景に言いかけた文句が止まる。

 立ち上がると、そこには――崖にぽっかりと開いた大穴があった。

 奥から冷たい風が吹き出している。

 風は重く、金属の匂いを含んでいた。


 セラが煤まみれで笑う。

 

「……ねぇ、これ、当たりなんじゃない?」

 

 ボルクが拳を上に突き出す。


「これは絶対、当たりですよ!!!」

「声がでけぇ! ……でもこれは当たりだろうな!」

 

 ボロボロな俺たちは互いの顔を見ながら、ただただしばらくの間笑い続けた。


6話は21:20に更新します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ