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冒険はバカから始まった  作者: さかなのおにく
1章 チュートリアル
4/29

3話 噂を聞こう!

※0話~3話までまとめて投稿しています。


「毎朝毎朝あんなに怒らなくたっていいのにな!!」

「ほんとそれ!小隊長ももっと酔えばいいのに!」

「今日なんてちょっと遅れただけなんですけどね!」

「ボルクは背中に村長背負って来たからだろ!!」


 俺たちは軍支給の装備を身に付け、村を囲んでいる壁の外を歩いていた。

 いつもの哨戒・駆除任務だな。

 村の周りを見て回って、ゴブリンを狩る。

 それだけの単調でつまらない仕事だ。


「いい加減諦めたらいいのにな。」

「ほんとにね〜!他の隊なら何も言われないよね〜たぶん。」

「でも、良い人ですよ!!」

 

「細かすぎなんだよなぁ。だから胃薬あんなに飲む羽目になるんだろ。って仕事だ、ゴブリンが3匹来たぞ。1匹ずつでいいか?」

「いいよ〜!」

「大丈夫です!」


 俺は他の2人が手近なゴブリンに向かっていくのを見ながら、残ったゴブリンに歩いて寄っていく。


「面倒だが給料のためにやるしかねぇな…。ほらかかってこい!」

「ゲギャッ!!」


 ゴブリンは剣を振り上げながらこちらへ走ってくる。

 ドタドタと走って近くまで来たと思えば、勢いそのままに剣を振り下ろしてくる。

 

 俺は軽く右に体を流し、ゴブリンの剣を避ける。

 ゴブリンは空振りし、俺の後ろに生えていた木に剣をのめり込ませてしまい、必死に剣を引っ張っている。

 隙だらけ、というより隙しかない。

 俺は雑に剣を振り、慌てていたゴブリンを殺す。


「いっちょ上がりっと。相変わらず悲しくなるほど弱いな…。他の2人はっと…?」


 倒したゴブリンが死んでるか確かめつつ、2人の方を見る。

 まず視界に入ったセラは、炭の山を杖で突いて何かを探っていた。


「あ〜……ちょっと出力強かったかなぁ…これは魔石も燃えちゃったかな〜…。」


 溜息をつきつつ、次に何やら叫び声が聞こえる方向を見ると、ボルクがゴブリンに抱きついていた。


「村長に習った新技です!!<オロセエ>!うぉおぉぉぉ!!!」


 そして、何かが折れた様な音が辺りに響いた。

 

 うん、いつも通りだな。

 俺は自分で倒したゴブリンから指先大の黒い魔石を取り出し、バッグに入れる。


―――――――――

 


 日が傾き、任務終了を告げる鐘の音が聞こえた俺たちは村に入る門の前に集まっていた。

 ここで手に入れた魔石を全て提出し、仕事は終わりとなる。


「とっとと金貰って遊びに行きてぇ」

「魔石を出した班しか給料出ないのほんとケチだよねぇ〜」

「前に空でバッグを渡したら給料なしだったしな…」

「最低10個は必要なんて厳しいですよね!!」

 

 喋りながら列が進むのを待つ。

 周りの班は同じように喋ってる所もあれば、殴り合いや1人だけしかいない班もある。

 

 

「次の班、早く来い!」

「やっと俺たちの番だ!行くぞ!!」


 俺達は検査官の前まで行き、俺の背負っていたバッグを渡す。


「おい、他の2人のカバンは?」

「入ってません!」

「私も〜!」

 

「あーそういえばお前らは大体いつもカラムのカバンに纏めてるんだったな。」

「他は違うのか?」

「バラバラか、纏めてるのは1人だけで来る場合が多いな。大抵他の班員は死んでるしな。」


「わざわざ分けるのも面倒だしな。」

「分ける?普通は自分のカバンに入れるだろ。……32、33?ゴブリンばっかだがやけに多いな。張り切ってるじゃねぇか。」

「いや、なんかやたら多かったんだよ…。あっ!それはもう大変で大変で!」

「そうなんですよ〜!だから給料上げて!ボーナス!」

「燃えてなければ倍はありました!」

 

「はは、そりゃ災難だったな。でも知ってんだろ?ゴブリンの魔石なんか金になんねぇよ。だからボーナスはない。」

「「「ケチ!!」」」

「第7班、33個っと。ほれ、終わりだ。はよ飯食ってこい。」


 俺たちは追い払われるようにその場を後にし、そのまま軍の食堂へと向かう。

 今日もいつもと同じクズ野菜の浮かんだ塩味のスープにパンだけだ。

 当たりの日はこのスープに干し肉が浮かんでいる。


「今日もついてねぇなぁ。」

「出るだけありがたいじゃん〜。お酒もあるともっといいんだけどね〜。」

「ここのパンは好きですよ!」

「俺はパンより肉が食いてぇよ…。」

 

 落ち込みながらスープを飲んでいると、とある話題がやけに大きくそしてハッキリと聞こえた。


「…おい見たか!軍が特別な成果を挙げた兵に昇進を確約するって!!」

「あの貼紙な!俺も見たぜ!」

「本当かな?というか特別な成果ってなんだ?」

「これは噂なんだが、違う村で偶然デケェ魔石を持ち帰ったやつがいたらしい。」

「それどうしたんだ?売ったのか?」

「いや、聞いた所によると真面目な奴だったみたいで軍に納めたらしい。」

「マジでか?売った方が絶対儲かるだろそれ!!なるほどな、味を占めた軍が2人目を目指してるってことか。」

「ハハハ!つまり軍に貢献しろってだけか!!」


 俺はゆっくりと口に入っていた物を飲み込み、セラとボルクの顔を見た。

 2人も同じように俺を見ていた。



4話は19:20に更新します。

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