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24話 もとに


「ははは……そんな…嘘……バカな……。」

「オエッ…ゲホッ、ゴホッ」

「大丈夫ですか、カラムさん……。」


 ツルツルになったハゲは俺から手を離し、しきりに頭を撫でていた。


「ボルク、よく突っ込めたな。」

「…カラムさんのコインが俺の頭に当たって目の前に落ち、表だったのが見えたので。」

「…そうか。やっぱついてるな、俺達。」


「一体何がついているのか…。毛ですか?毛ですよね。毛の自慢をするなぁぁぁぁ!!」

「壊れた?」

「あれは…ホントにヤバいです。今でも震えが止まりません。」

「俺は全く分からんが…強さは実感した。逃げるか。」

「逃がしませんよ、フヒヒ。貴様らの毛を1本ずつ抜いて抜いて抜いて……ヅラにしてやる。」


「あー毛だけで済むなら好きなだけ持って行っていいぞ?」

「そんな余裕でいられるのも今のうちだ。貴様らにも今に分かる。」

 

「そんなに辛いものなんですか?」

「最初から無ければ悩むことは無かった。しかし減っていくというのはどうしても不安に…。」

「何だか分かる気がします。どんな物でも減っていくのは不安で仕方ないです。しかもそれが戻らない物だと余計に。」

「フサフサの貴様に分かるわけがないだろう!!」

「髪のことは正直分かりません。ですが貴方が今辛い事は分かります。なにか手伝えることはありませんか?」

「貴様…いや、名を教えてくれ。」

「ボルクです。」

「ボルクか、覚えたぞ。…良ければまた話を聞いて貰えないか?」

「良いですよ!いつでも何時間でも!!」

「…ありがとう。私は帰らせて貰うが……最奥の核にはまだ手を出していない。成果は十分得られるだろう。」


 ハゲは肩を落としつつもどこか軽やかな足取りで帰っていく。


「いや、なんだこれ……。」

「私の毛を剃り落とした貴様の事も生涯忘れんからな!!末代まで毟ってやる!」

「またいつかお会いしましょう!!」

「えぇ……?」


 こうしてハゲは去った。


――――――――――――――


 セラ、セドリック、そしてリオネルを運び、部屋の中央に寝かせる。

 新たな怪我も大きなものは無く、打ち身程度だった。


「このまま起きるのを待つのも暇だな。先に核?とやらを取りに行くか。」

「そうですね!!楽しみです!」


 俺とボルクは部屋の奥にあった一際豪華な扉を押し開ける。

 中には滑らかな白い石で出来た、見上げるほど大きな天使の彫刻があり、その天使が両手を胸の前に突き出し、まるで掲げるかのように人の頭ほどある大きさの黒い魔石を持っていた。


「…周りは豪華だけど、あの魔石は前のあれとあんまり変わんねぇな?」

「そうですね!!とても大きいです!」

「とりあえず外れるかやってみるか。」


 二人で彫刻を登っていく。

 滑りやすそうに見えたが、思ったよりも登りやすい。

 あっという間に魔石の元へと着いた。


「近くで見ても同じぐらいだな?このカバンにちょうどいい大きさだ。」

「でもなんだか色が濃いですね!」

「そうだったか?まぁとりあえず引っ張ってみるか。」

「分かりました!!…ッ!?あれ?全然ユルユルです!」

「おぉ、ほんとだ。さすがにこの像を砕くと怒られそうだったしよかったな!」

「あれ?取ったところになにか模様が光って…?まあ魔石取ったからですかね!!」


 俺のカバンに魔石を詰め、3人の元へと戻る。

 どことなく入ってきた時よりも部屋が薄暗く感じる。

 しばらく待っているとセラが動き出した。

 

「んんぅ……あれぇ?ママ?」

「誰がママだ。起きろセラ。」

「カラムさんがママは嫌ですね!」

「どういう意味だ!?」

「あ〜カラムとボルクだ〜…。あれ?何してたっけ……?」

「ハゲに襲われた。」

「っ!!あのハゲは〜?!」

「あーそのよく分からんが、帰った。」

「ふ〜ん?……私のワインは?」

「ずっと握ってたぞ、今も。」

「ほんとだ〜!!あった〜!」


 その騒ぎ声が聞こえたのか、セドリックとリオネルも動き始める。


「…良かった、無事だったか。」

「…皆さんが無事という事は、生き残ったんですね。」

「あのハゲは最初から殺す気はなかったみたいだぜ。」

「要らぬ虎の尾を踏んだ…そういう事ですね。本当に申し…」

「いや、それも違う。どっちにしろこうなってただろうな。」

「…それはどういう?」

「どうしようもなかったってことだ。あ、ボルクがまた会う約束をしてたぜ。あと俺の末代にも会いたがってたな。」

「……あの後一体何をしでかしたんですか。」

「まぁ後で話す。まずはこれを見てくれ。」


 俺はカバンの口を広げ、2人に魔石を見せる。


「お〜あの魔石そっくりだね〜?」

「凄いだろ?あのハゲが譲ってくれたんだ。」

「いいハゲだったんだね〜!」

「な…なんて……」

「どうだセドリック?これなら成果とやらになるんじゃないか?」

「なんて事をしてくれたんですかー!!」

「え?」

「これは核、ダンジョンの心臓で取ってしまうとそのダンジョンは崩れて二度と魔石が取れなくなるんですよ!!」

「そういえば前のも崩れたね〜…。もしかして…。」


 部屋の明かりがだいぶ暗くなっていた。


お読み頂きありがとうございます。

明日は18:10に投稿します。

(ストックがそろそろ近づいてきました…。頑張ります。)

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