25話 そとに
「やばいやばい!」
「だんだん暗くなってきてるね~?」
「え?ダンジョンが崩れるのか?!」
「怪我をされているセドリックさんは背負って走りますね!」
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
ボルクがリオネルを背負ったのを確認した俺は部屋から出て、走って戻る。
4階層を走り抜け、甲冑を倒した部屋まで戻ってきた。
そのまま部屋を走り抜けようとした時セドリックが声をかけてくる。
「カラムさん!止まってください。」
「どうした?」
「扉の外にもしかしたらファーロン卿が…」
「でももう開いてるぞ、扉。」
「あ、本当ですね。」
「あのハゲたおじさんが開けたんじゃない~?」
開け放たれた扉の向こうは光る石によって弱く照らされ見えていたが、誰もいなかった。
「じゃ急ぐか!」
「ええ。止めてしまってすいません。」
「うぉぉぉぉ!!走りますよ!」
「もう疲れたよ〜休もうよ〜…。」
「…今は走るしかないか………。」
そのまま扉の枠を潜り、しばらく走り続け2階層まで到達した。
3階層は敵も罠も無いただの迷路と化していた。
――――――――――――――
疲労も限界に近かった俺たちは、ひとまず2階層で見つけた広い部屋でひとまず休憩と仮眠を交代で取った。
前のダンジョンのように一瞬で潰れることは無いようだが、徐々に明かりが消えてきており所々壁にも亀裂が入っていた。
全員仮眠を取り、そろそろ再び走り出そうと装備を整えつつ、気になったことをセドリックに聞いてみた。
「これ後どれぐらいで崩れるんだ?」
「取った記録自体ほぼありませんし、取ったら崩れるから取るなとしか残されていません。」
「つまり全然分かんないって事だね〜!」
「前回取った時はそのまま崩れましたね!!」
「下手をすると今この場で急に崩れることもありえるのか…。」
リオネルの発言に全員で揃って天井を見る。
大きな揺れが起き、パラパラと降ってきた細かな破片が顔にかかった。
「なぁ、これってもしや…」
「えぇ恐らくは…」
「俺のせい、か!?」
「行きますよー!セドリックさん!!」
「もっと休みたかったな〜…というかお酒無くなっちゃった……。」
下へと続いている通路側から大きな物が崩れるような音と振動が伝わってくる。
「やべぇ、走れ走れ!!」
「なぁ、俺の発言のせいか!?」
「リオネル様、違いま…あ、そこ右です!!」
「ねぇ、誰かお酒持ってない?ホントにお願いだから…」
「すいません!もうカバンに入っていません!!」
「って、ゾンビが何体か居るぞ!!」
「おい、カラム。俺とお前で切り開くぞ!」
「なんで…ってセラまでボルクに乗ったのかよ!?寝てるし!」
「良い重さです!!頑張ります!」
「…あぁもうしゃあねぇ!食らえおらぁ!!」
走りながら剣を抜き、首を狙って剣を振るう。
首が落ちてもしばらくは動くが、追いかけては来れないだろう。
動きが遅く当てやすいが、倒してはいないので少しでも止まると囲まれそうだ。
「止まらず走り抜けるぞ!!」
「はい!!」
「魔法剣を使う時間さえあれば余裕で倒せるというのに……!」
「次、左に曲がってその先の十字路は直進です!」
「おい、なんかその十字路の先に地面ないんだけど!?」
「ホントですね!!不思議ですね!」
「ゾンビが落とし穴に落ちたんじゃないのか!?」
「えーそれならジャンプして下さい!意地でも!」
「無茶苦茶だな!?」
セドリックの案内に従って、倒しながら走り続け、時々飛び跳ね1階層へと辿り着いた。
――――――――――――――
「少し、崩壊の音が遠くなりましたね。」
「あぁ、再び大きく聞こえてくるまでは歩きでもいいだろう。」
「…はぁ、良かったぜ。何とかなったな。」
「まだまだ走れますよ!!カラムさんも乗りますか!?」
「乗れるスペースがねぇよ!!」
息を整えながらも歩き、出口を目指す。
たまにデッドローチが出てくるが、行きで見た様な大群ではなく数匹が現れる程度だった。
「セド、この後俺はどうしたらいい?」
「端的に申し上げて状況は最悪です。まともな成果もなく、ダンジョンを崩壊させてしまいました。」
「くっ…はぁ、もう諦めるしかないか。」
「…リオネル、お前死ぬ気か?」
「仕方ないだろう!!成果を得る予定が丸潰れだ!」
「なら、いっそこのまま全員で逃げね?」
「カラムさん、ご冗談で場を紛らわせていただいてるこはありがたいのですが…。」
「逃げようにも他国の位置は極秘事項。つまり、この国から出てもどこにも行けないんだぞ……。」
「いやいや、戻るよりは森の方が生き残れる確率高いだろ。賭けようぜ?」
「いいですね!楽しそうです!!たしかサバイバルってヤツですね!」
「あなた方は…ほんとに……。」
「戻れば確実な死、戻らなければ極わずかでも生き残れる……か…。」
「まぁ、とりあえずコインに聞いてみるかな。」
俺は迷う2人の顔と、笑顔の1人、顔は見えないが弱々しく親指だけが立った手を見回し、懐から取り出したコインを弾いた。
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