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21話 さきに


「すいません…。ありがとうございます。」

「い〜よ〜…ワインはあげないけど〜……」

「…そのワインは俺のテントから盗んだ物じゃないのか?」

「このパンはとても硬いのでよく噛みましょう!リオネルさん、セドリックさん!!」

「ここに水があるのは助かるな。これ飲めるんだよな…?」

「分かりません…。ですが私達2人の飲み水が無い現状、飲んでみるしかないですね。」


 しばらく経った頃、ボルクが目覚めそれに続くかのように続々と起き出した。セラ以外。

 再度傷の手当を行った後、飯となったが2人の荷物は無く、俺達の持っていた最後の食糧を分け食べた。

 今は部屋の隅に湧いていた水を一口含み、経過を見ていた。


「貴重な食糧を本当にありがとうございました。」

「…感謝する。」

「死なれたら寝覚めが悪いだけだ。気にするな。」

「2つ余っても困るだけだしね〜…。」

「みんなで同じ物食べる!いいですね!!」


「ははっ、本当に…いえ、先の事を考えましょうか。」

「戻るんじゃないの〜?」

「寝る前にお伝えした通り、ここまで悪化した現状ではこの割れた魔石だけでは足りない可能性が高いです。」

「父上も兄上も私の事を邪魔だと…。」

「なら、もっとすごい魔石を狙うんだな?」

「もっと強いんですか!?燃えてきました!!!」

「いえ、この階層には手垢の付いていない宝箱があるハズです。それを狙います。」

「そうですか…。」

「貴重な魔剣や歴史的価値のある物を探し、戦闘は極力回避します。」

「まぁ今の状態じゃまともに戦うのも厳しいか。」

 

「セド、それで本当に許して貰えるのか?」

「リオネル様、元より許してもらう為に進むのではありません。軍より一目置かれる程の功績を挙げ、躊躇する間を作り、その間に金を用意し見逃して貰う為です。」

「本当に貴族ではなくなると…?」

 

「結局お貴族様は自分で立つことすら怖い腰抜けなんだな。」

「…なんと言った、カラム。貴様もう一度気絶させてやろうか?」

「2人とも止めなよ〜。ワイン倒したらまとめて吹き飛ばすよ?」

「…食糧のない今、時間はあまりありません。進みますが良いですね?」

「行きましょう!」

「私もいいよ〜!」

「チッ…進むのは賛成だ。」

「貴様、後で絶対に…。」


 水を飲んでも影響は出なかったので、全員で皮袋とセラのワイン瓶に水を汲み入れ部屋を出た。


――――――――――――――


 3階層では豪華な墓地といった様相だったが、この階層は陰鬱さが減り、立派な石造りの廊下、つまり城のような雰囲気だ。

 窓も大きく…。

 

「…なんで地下なのに窓があるんだ?」

「外は真っ暗で何も見えないね〜?」

「石を投げてみましたが、窓枠から奥へ行くと全く見えません!!」

「おい!手を入れたら手が見えなくなるぞ!」

「何を騒いでる…って何をリオネル様まで一緒になってやってるんですか!!」

「え、いや、つい……。」

「皆あなたの為に……」

「ふふん。」

「カラムさん、何私の後ろで勝ち誇ってるんですか?こっちに来なさい!」


「ふぁぁ…ねぇ、長くなるなら部屋に戻って寝て来ていい〜?」

「あ、セラさん、なら背負いますよ!!」

 

――――――――――――――


 しっかりセドリックに怒られた俺達は、今度は静かに進む。

 曲がり角も無い、一直線に近い構造だ。

 途中あった小部屋に何度か入ったがあるのは蓋の開いた空の宝箱だけだった。


「おかしい…最近別の部隊があのボスを攻略したなんて聞いていない。もしやすれ違った…?」

「宝箱も復活するんじゃなかったか?」

「えぇ…そうなんです。しかし直近であれば空のままの場合も確認されています。」

「という事は軍に認められる功績にすらならないのでは無いか…ハハッそうか……。」

「いえ、まだ決まった訳では…。」

「魔物も全然居ませんよ!!」

「それもおかしいですね…。何が起きているのか見当もつきません。」

「とりあえず進むしか無いんじゃない〜?」


 こうして全ての小部屋を調べ進んだが、あるのは開いた宝箱と発動したばかりのような罠の数々のみだった。

 そして、最奥と思われる見上げるほど大きく、豪華な閉じた扉の前にたどり着いた。


「まさか…我々の直前に進んでいる部隊でも居るのでしょうか…。」

「それならラッキーだね〜食糧貰えそう!!」

「とにかくこの扉が開かないと入れないんだろ?なら休もうぜ。」

「戦いが俺を待っています!!うぉぉぉぉ!!!」

「成果の一部でも分けて貰えないだろうか…。」

「どこの部隊が居るのか…。我々に友好的な者でも居れば良いのですがね…。」


 セドリックのその発言と同時に音を立てながらゆっくりと扉が開く。

 俺達は立ち上がり、警戒する姿勢を取る。

 そこに居たのは……。


「皆様方は…それはアイゼルン軍の制服でしたね。ここまで来られていたとは重畳。それで、このダンジョンの攻略に来られたのですか?」


 やけに尊大な態度を取るハゲだった。


お読み頂き誠にありがとうございます。

明日は19:20頃に更新します。

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