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20話 ともに


失態を取り戻すため本日2回目の投稿です。


「やったか!?」

「いや、まだです!!」


 眩んでいた目が治り、鎧の姿が見える。

 胴は引き裂け、盾を持っていた左手は丸ごと無くなっていたが、剣をこちらへと向け進んで来ていた。


「え〜…成功したのに〜……」

「あれは一体何が起きたんですか…?」

「それどころじゃねぇ!どうやって倒すんだ!!」

「見ろ、中身は空だぞ。」

「ムキムキじゃなかったんですね…。」


 鎧は痛みは感じていないようだが、損傷が大きく動きが先程よりぎこちない。


「なぁ、あれって鎧だけで動いてるんだよな?」

「その様…ですね。そんなこと過去の記録にはなかったのでスケルトンでも入っていると予想してましたが。」

「つまり、鎧で出来たゴーレム?」

「あれはリビングアーマーと呼ばれ…いえ確かに違いは材だけで同じ物……?」

「なら倒し方を俺達は知ってる。賭けようぜ。勝てたらボーナス弾んでくれ。」

「1番いい石臼を下さい!」

「……私はいいお酒で〜…」


 俺は懐からコインを取り出し、親指に乗せ上に弾く。

 コインが地面に落ち、甲高い音を立てると同時に鎧へとボルクと2人で駆け出す。

 鎧は先に近付いてきた俺に反応し、剣を振り上げ下ろす。


「さっきよりだいぶ遅せぇぞ。それでも避けるので精一杯だけど!!」

「カラムさん!俺が守ります!!だから!」


 俺へと襲いかかる横薙ぎをボルクが大盾で受け止め、その隙に後ろへと回り、魔石を探す。

 どこかにあるハズだが、見当たらない。

 盾を無くした鎧はボルクへと剣を振い続け、反撃の隙を作れない。


「クソ!表面にはねぇぞ!!どこだ!」

「当たり前だろう?弱点をさらけ出すマヌケが何処にいるんだ。」


 突然、鎧が体勢を崩し隙が生まれる。

 体勢を立て直すまでの少しの間、幾度か鎧に攻撃を加えたもののどこも手応えはなかった。

 距離を取り、辺りを見回すとリオネルがボルクの傍に立っており、鎧の膝に焼けた跡があった。


「リオネル!?てめぇはセドリックの手当でもしてやがれ!」

「助けてくれぐらい素直に言えんのか。これだからバカと話すのは嫌なんだ。」

「あ?誰が頼んだ?もう1発殴んぞ!」

「やってみろ。今度こそそのふざけた頭蹴り割ってやる。」


 リオネルを睨み付けると、向こうも睨み返してくる。

 鎧は変わらずボルクを狙い、剣を振るうが全て大盾に阻まれ通っていない。

 

「2人とも今はそんな場合じゃありません!!まだ攻撃が入っていない場所を狙って下さい!」

 

「セドリック!そんな事言われても覚えてねぇよ!!」

「俺は覚えている!首、胴、手脚は攻撃が入っている。残っているのは頭だ!」

「おい、リオネル!まだ…」


 俺が言い終わらない間にリオネルが鎧へと肉薄し、見事な突きで燃える剣を頭に突き刺した。

 ビクリと鎧が震えたかと思えば動きを止めた。


「ふふふ、やはり頭であった!賭けは倒した者の勝ちでいいんだよな?バカ班…」

「リオネル様!!」


 リオネルが勝ち誇った顔をこちらに向けた時、鎧が不意に動き剣を振り上げた。


「いや、これで俺の勝ちだぜ?リオネル。」

「なっ…!?」


 俺は後ろから深々と鎧のケツに剣を突き立てていた。

 鎧は振り上げた姿勢のまま剣を落とし、バラバラと崩れ消えていった。


――――――――――――

 

「いや〜疲れたねぇ〜……。」

「もう二度としたくねぇな。」

「ギリギリでしたね!次は余裕で勝ちます!!」


 床に倒れるように寝転がり、天井を見ながら話す。

 セラは蒼白な顔、ボルクは傷だらけ、セドリックに至っては深手を負った。

 しかし、手に持った魔石の大きさにニヤケてしまう。

 

「あなた方はこんな時でも元気ですね…私も嬉しいのですが今後を思うと……」

「目的は達成しただろ!」

「あれは状況が今よりもマシな時の話ですよ。それにその魔石も…割れているじゃないですか。」

「あ、やっぱダメ?合わせたら拳位あるけど。」

「少なくとも難癖を付けられるのは間違いありません。」


 青黒い魔石を上に掲げ、透かしてみる。

 あのダンジョンの奥にあった物よりも小振りだが、より黒くほとんど透けていない。


「こんなに綺麗なのになぁ。高く売れそうだ。」

「綺麗?貴様らそんな目線でしかこれを見れんのか?」

「あ?綺麗なものに綺麗だって言ったらおかしいのかよ?」

「これこそが我が国で最も価値のある産出物、さらにはエネルギーの塊だぞ。さらにこのサイズ、どれだけ名誉な事か。」


 同じように寝転びながら割れた石の片割れを掲げながら、リオネルが噛み付いてくる。


「その富を独占しているのはどこのどいつだ。てめぇら貴族だろ。さぞいい思いして来たんだろ?」

「カラムさん、どうかお手柔らかに。聞いていたかと思いますがこの方は庶子。しかも家督争いを懸念した長兄らにより、長らく屋敷に軟禁されておりました。」

 

「…それでもその日食う飯に困ることや、全てを失うことは無かっただろ。なぁリオネル?」

「私は……俺は…。」


「あ〜そういえば、あのちょび髭のオジサン入ってくるんじゃない?」

「…その可能性はありますね。ひとまず奥へと移動しましょうか。扉が開いてもどちらか分からなければ、ボスを警戒し入らないでしょう。」


 俺は魔石をカバンに詰め込み、先程弾いたコインを拾いに行く。

 見つけたコインはやはり表を示していた。


――――――――――――――


「ひとまずここでいいでしょう。」


 階段を降り、少し進んだ所に小部屋があった。

 隅には水が湧いており、休憩をとるにはうってつけの場所だ。

 ボルクが担いでいたセドリックを下ろし、壁にもたれさせ座らせる。


「ありがとうございます。さて、ここからは地図も情報もありません。進むか戻るか…どうしますか?」

 

「進みたいです!!まだまだ戦えます!」

「戦いは可能な限り避けます。どんな敵かも分かりませんし。」

 

「私もまだお酒見つけてないし〜」

「今飲んでるじゃないですか。…しまった。我々の荷物はファーロンが……。」


「俺はどっちでもいい。セラとボルクが行くなら俺も行くだけだ。」

「カラムさん…。ありがとうございます。」


「さて、リオネル様どうしますか?」

「俺には後がない。戻った所で殺されるだけだ。」

「進んで成果を出す…という事ですね。分かりました。」


「皆さんの気持ちは分かりました。とにかく今我々のすべきことは1つです。休みましょう。」

「セド!?」


 そのまま倒れるようにセドリックは眠った。

 続くようにセラ、ボルクと眠り、そしてリオネルも。


明日は18:40に更新します。

…間違えないよう確認をしっかりします。

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