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13話 こすれ


 探索の当日、俺達は東門に来ていた。

 とても大きく立派で門兵も常駐している。

 ここを通るのは入った時から2回目だ。

 

「ボルク〜これちょっと持ってくれない〜?重くて〜…」

「任せて下さい!……っこれは!?いい重さですね!!」

「あ、ズルいぞセラ!流石に自分のは自分で持てよ。」

「あんなの持ってたらまともに動けないよ〜」

「ボルクからも言ってやれ!ってあれ?」


 ボルクが隣にいない。

 どこに行ったのかと探すと別の班の所に居た。

 何をしてるか気になったので近づく。


「……ちょっとだけでもいいんです!」

「無理ですって!なんですかこの人!?怖いんですけど!」

「おーい、どうした?」

「あ、カラムさん!」

「貴方が班長ですか!?早く連れてって下さい!!」

「いいけどよ、何したんだボルク?」

「この人の荷物も持たせて貰おうかなと思いまして!」

「…こいつ剣と鎧しか持ってないように見えんだけど?」

「そうですね!!」

「だから無理だって言ってるんですよ!なのにこの人が寄越せと…」

「ボルク、さすがに許してやれよ。それまで預かったらただの村人になるぞコイツ。」

「仕方ないですね!」

「あ、ありがとう…!」


 ボルクを連れてセラの所まで戻ると、セドリックが居た。


「あ〜戻って来たよ〜!」

「ん?何か用か?」

「いえ、しっかり集合してるか確認に来ただけですよ。」

「ダンジョンに行けるのに遅れませんよ!」

「楽しみにしてる人なんて初めて見ましたよ。」

「俺とセラは無理やり連れてこられたけどな。」

「みんなで行きましょう!前も楽しかったじゃないですか!!」

「キツさもあったけどまぁね〜!」

「まぁそうかもな。」

 

「…あなた方がダンジョンを攻略したって本当なんですか?」

「たぶんだけどな。小隊長にはダンジョンかどうか分からんって言われたしな。」

「入ったなら分かりやすいハズですが…。」

「でかい魔石や罠はあったけどな。ほとんど洞窟だった。」

「それだけだと確かに分かりませんね。ボスは居ました?」

「ボス?あーゴーレムがそうかもな。というかそれしかいなかったし。」

「ゴーレムのみ?ますます変ですね…。」


 遠くの方でセドリックを呼ぶ声が上がる。


「あ、もう行きますが絶対に問題を起こさないで下さいね。くれぐれも、頼みますよ。」

「へいへい大人しく後ろ着いて行くよ。」


 俺はヒラヒラと手を振り答える。

 それを見たセドリックは軽く微笑み走って声の方へ小走りで駆けて行った。


――――――――――――


「リオネル様、申し訳ありません。遅くなりました。」 

「おや、これはこれはセドリック殿。このような時にリオネル殿から離れられておられるとは…相も変わらずお忙しそうですな。」


 急ぎ足でリオネル様の元へと戻ると、公爵家より派遣された者達のまとめ役と見慣れない髭を生やした男が居た。


「……あぁ、戻ったか。こちらはファーロン卿だ。学術都市カディミアより来られた高名な魔法使いだ。他にも数名手を貸してくださるそうだ。」

「リオネル殿にご説明いただいた通りじゃ。騎士どの今回の探索ではよろしく頼むぞ。」

「ファーロン卿、これは挨拶が遅れました。こちらこそどうかお力添えをお願い致します。」


 こちらを見下すような態度を隠そうともしないとは…。

 衝撃に身を固めていると、もう1人のまとめ役がリオネル様へ半歩近づいた。 

 

「かの部屋は量など意に介さぬ、実力を試される部屋だと聞きましたぞ。我々としてもいたずらに公爵家の兵が減るのは看過しがたく、勝手かとは思いましたがご助力をお願い致しました。」

「お心遣い感謝致します。しかしながらこちらとしても精鋭を揃えておりますので、お暇していただく事になるかと。」

「それならそれで結構な事でしょう。期待しておりますよ。それでは。」


 下品で醜悪な笑みを浮かべながら、魔法使い達を引き連れ戻る後ろ姿を見送る。


――――――――――――


 列の最後尾で地面に座りながらセラ、ボルクと話しているとしばらくして何やら前の方の空気が変わった。

 立ち上がり必死に聞こうとするもほとんど聞こえない。


「……だ!…………は……戻……。」

「なんだ?リオネルが喋ってる?全然聞こえねぇな。ってやめろボルク!俺の荷物を取ろうとするな!!」

「カラムさんの荷物重そうですし手伝いますよ!任せて下さい!!」

「やめろ!俺ごと担ぐな!!」


 担がれ周囲よりも視界が高くなったことで馬に乗ったリオネルが見える。

 リオネルの驚愕している間抜け面も、眉間に厳しいシワを刻んだセドリックが全速力でこちらに来ているのも。

 

「何やってるんですか!!出発前からなぜ騒ぎを起こしてるんですか!」

「仕方ないだろ。後ろまで聞こえねーし。」

「リオネルさんが喋ってるなんて分からなかったよ〜?」

「俺は見えてました!」

「ならやめろよ!恥ずかしかったぞ!!」

 

「静かにして下さい。流石にこの状況でふざけたあなた方を罰なしとはいきません。…先頭として進軍することを命じます。」

「ん?それが罰?」

「ね〜むしろ後ろなのが不思議だったよね〜」

「露払いってやつですね!燃えてきました!!」

「はぁ…無理して後方へ回した私が馬鹿だったようですね。とにかく今回の失態は働きで返して下さい。」

「「「はーい」」」


 セドリックが胃のあたりを擦りながらリオネルの元へと戻っていく。

 今度いい胃薬を紹介してやろう。

毎日18:20頃に更新しています。

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