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納期遅れで死んだ俺、異世界では魔力の詰まりが見えるらしい 〜最弱Eランクだけど、術式を読み替えて世界の流れを変えていく〜  作者: 好山 雪
第1章 月影の森で目覚める

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俺の名前で出された緊急指示

第31話 俺の名前で出された緊急指示


冒険者組合の記録を守った直後。


ベルシア商会のすべての荷馬車が、灯り小路へ向かったことが判明しました。


命令を出した者として使われた名前は、シュウ・サエキ。


魔石。


薬。


食料。


生活に必要な物を一度に届ければ、人々は喜ぶように見えます。


しかし、狭い灯り小路には荷物を受け入れる場所も、配る人手もありません。


必要量も、品質も、届ける順番も確認されていない。


善意に見える大量供給は、一歩間違えれば混乱と事故を生みます。


自分の名で動き始めた偽の蒼い流れを止めるため、シュウたちは灯り小路へ急ぎます。


第31話 俺の名前で出された緊急指示


 灯り小路へ向かう道は、すでに荷馬車で埋まり始めていた。


 一台。


 二台。


 三台。


 ベルシア商会の紋章をつけた馬車が、北区から南へ続く大通りを列になって進んでいる。


 荷台には木箱が山のように積まれていた。


 魔石。


 薬。


 保存食。


 毛布。


 治療器具。


 必要な物ばかりだった。


 だからこそ、止めるのが難しい。


「前の荷馬車! 止まってください!」


 カレン・ベルシアが声を上げた。


 先頭の御者が振り返る。


 カレンの姿を確認したはずなのに、馬車は止まらない。


「申し訳ありません、カレン様!」


 御者は前を向いたまま叫んだ。


「緊急時は、目的地へ到着するまで停止するなとの指示です!」


「誰からです!」


「輸送主任のオルド様です!」


「その指示は無効です! 止まりなさい!」


「ですが、シュウ・サエキ様の緊急命令だと!」


 胸の奥が冷たくなった。


 俺の名前が、大通りへ響く。


 後ろの荷馬車からも、御者たちがこちらを見た。


 偽物ではない。


 ベルシア商会で何年も働いてきた人たちだ。


 彼らは仕事をしている。


 正式な上司から指示を受け、急いで荷物を届けようとしている。


 善意もある。


 灯り小路で物が不足していることも知っているのだろう。


 だから、自分たちが間違ったことをしているとは思っていない。


「無理やり止める?」


 セリア・グランツが、馬を寄せながら聞いた。


「荷馬車を壊したら、中の薬や魔石まで駄目になります」


「馬だけ止めるなら?」


「後ろが詰まる」


 道はすでに細くなっている。


 先頭だけを止めれば、後続車両が追いつく。


 急停止した荷馬車へ、後ろの馬車がぶつかるかもしれない。


 荷台の高い位置に積まれた木箱も危ない。


「まず、列を分けます」


 俺は周囲を見る。


 大通りの右には、南市場へ続く広い道。


 左には、旧穀物倉庫へ向かう脇道。


「ジノ!」


「いる!」


 ジノ・バレットが、後ろの馬車の間から顔を出した。


「三台目まで灯り小路へ進ませる! 四台目から南市場へ誘導して!」


「全部止めなくていいのか?」


「一度に止める方が危ない!」


「分かった!」


 ジノは馬を下り、人の流れを縫うように走った。


「四台目! 右へ曲がれ!」


「誰だ、お前!」


「組合の誘導担当! 前が詰まってる! 南市場へ回れ!」


「そんな指示は聞いていない!」


「聞くまで待ったら、後ろからぶつかるぞ!」


 御者が後方を見る。


 次の馬車はすぐ近くまで来ている。


「くそっ!」


 手綱を引き、右へ曲がる。


 一台が向きを変えると、後続も動きやすくなる。


 ジノは両腕を振り、次々に車両を南市場へ流した。


「五台目も右! 六台目は左の倉庫前!」


「どうして俺が従わなきゃならない!」


「従わなくてもいいけど、ぶつけた箱の弁償は自分でしろよ!」


「右だ! 右へ行くぞ!」


 判断が速い。


 逃げ道だけではない。


 今は荷馬車の逃がし道を作っている。


「ガッシュ!」


 俺が呼ぶと、ガッシュはすでに動いていた。


「聞こえてる!」


 脇道の入口には、商人の小さな荷車が止まっている。


 車輪が側溝へ落ち、道を半分塞いでいた。


「何でこんな時に!」


 ガッシュが荷車の横へ回る。


 腕に魔力を集めかけ、息を吐く。


 足。


 腰。


 肩。


 腕。


 以前よりも滑らかに力が流れる。


「持ち上げるぞ!」


「一人で?」


 荷車の持ち主が目を丸くする。


「車輪を回せ! 俺が持つ!」


 ガッシュが荷台を少しだけ浮かせる。


 力任せに放り投げない。


 車輪が側溝の縁へ届く高さだけ。


「今だ!」


 持ち主が車輪を押す。


 ごとりと音がして、荷車が道へ戻った。


 脇道が開く。


「通れるぞ!」


 ガッシュが叫ぶ。


 ベルシア商会の荷馬車が、次々に旧穀物倉庫へ向きを変えた。


 カレンは各御者へ行き先を指示している。


「生活用魔石は南市場へ! 薬と治療器具は旧穀物倉庫! 保存食はその場で待機してください!」


「カレン様、オルド様の指示は?」


「私が責任を持ちます!」


 大通りへ響くほど、強い声だった。


「損害も、遅れも、すべてベルシア商会が負います! ですから、今は私の指示に従ってください!」


 御者たちの表情が変わる。


 責任を取る。


 それを明言したことで、彼らはようやく手綱を動かした。


 現場は、指示が変わること自体を恐れているのではない。


 後から、なぜ勝手に変えたと言われることを恐れている。


 誰が責任を持つのか。


 それが分からなければ、最初の指示に従うしかない。


(前の世界でも、同じだったな)


 予定を変更する。


 便を止める。


 生産順を変える。


 必要だと分かっていても、後から責められる可能性があれば、誰も触りたがらない。


 そんな時に必要なのは、気合いや正論ではない。


 変更を決める人間と、その結果を引き受ける人間だ。


「シュウ!」


 セリアの声で、意識が戻る。


「先頭の三台が灯り小路へ入る!」


「追いましょう!」


     ◇


 灯り小路の入口には、すでに大勢の人が集まっていた。


「ベルシア商会の無料配給だって!」


「シュウさんが届けてくれたらしいぞ!」


「薬があるって!」


「魔石も配るって聞いた!」


 誰かが噂を流している。


 無料配給。


 すべての物資を、今夜中に配る。


 シュウ・サエキの緊急指示。


 そんな話が、俺たちより先に届いていた。


「俺、無料なんて言ってない」


 思わずつぶやく。


「今は言った言わないより、人を下がらせる方が先」


 セリアの言う通りだった。


 狭い通りへ、住民が集まりすぎている。


 荷馬車が進めば、人と壁の間に挟まれる。


 御者も止まりたいはずだ。


 だが人に囲まれ、馬が興奮している。


「道を空けてください!」


 俺は声を張った。


「一度、荷物を確認します!」


 前方の男が叫ぶ。


「でも、シュウさんの指示なんだろ!」


「俺がシュウ・サエキです!」


 周囲が静まった。


 全員の視線が集まる。


 こういう時、大勢に見られるのは苦手だ。


 胃の辺りが重くなる。


 それでも、逃げるわけにはいかなかった。


「今、届いている物資は、俺が出した指示ではありません!」


 ざわめきが広がる。


「偽物ってことか?」


「じゃあ荷物はもらえないのか?」


「薬が必要なんだ!」


「また北区へ戻すつもりか!」


 不安と怒りが、一斉に声になる。


 物が来た。


 もらえると思った。


 そこへ、間違いでしたと言われる。


 怒るのは当然だ。


「荷物を全部戻すつもりはありません!」


 俺は叫んだ。


「でも、中身と必要な数を確認せずに配ることはできません!」


「確認している間に、病人が悪くなったらどうする!」


 住民の一人が言った。


 痛い言葉だった。


 確認。


 記録。


 品質検査。


 時間がかかる。


 その間も、困っている人は待っている。


 ヴァルドが、こちらの弱点として狙っている場所だ。


「緊急分は先に確認します!」


 ノア・ルミナスが人の間から前へ出た。


 いつもより大きな声だった。


「今日中に必要な薬と治療用魔石は、私と灯り小路の治癒師で確認します!」


「本当に今日中か?」


「はい!」


 ノアは一度、息を吸う。


「すべてを配るとは約束できません。でも、急ぐ必要がある方から確認します!」


 できないことを約束しない。


 それでも、やることをはっきり言う。


 住民の声が、少しだけ弱まった。


 リリア・フォルンも、記録板を持って前へ出る。


「現在の物資は、正式な搬入記録を通っていません」


「また記録かよ!」


 誰かが不満を口にする。


「はい。記録です」


 リリアは動じなかった。


「誰が何を持ち込み、誰へ何を渡したのか。それを残さなければ、後から代金を請求されても証明できません」


 住民たちが互いの顔を見る。


 無料だと言われて受け取ったあと、高額な請求をされる。


 黒環会が以前使った方法だ。


「無料という記録はありますか?」


 リリアが御者へ聞く。


 御者は首を横に振った。


「配給先一覧だけです。価格の記載はありません」


「つまり、無料とはどこにも書かれていません」


 ざわめきの質が変わった。


 欲しいという声だけではなく、不安が混ざる。


「だから、一度確認させてください」


 リリアは住民へ頭を下げた。


「受け取ったことで、皆様が後から縛られないように」


 言葉が、少しずつ届いていく。


「道を空けよう」


 年配の女性が言った。


 以前、補助環の被害に遭った住民だった。


「安い灯りだって言われて、前も同じ目に遭った。今度は中身を見てもらった方がいい」


「でも、薬は急いでくれ」


「それは治癒師が見るって言ってるだろ」


 一人。


 また一人。


 住民が通りの端へ移動する。


 荷馬車の周囲に、細い道が生まれた。


「進んでください!」


 セリアが御者へ合図する。


「速くしすぎないで! 人がいます!」


 先頭の馬車が、ゆっくり動き出した。


     ◇


 荷物の一時保管場所には、灯り小路の共同集会所が使われることになった。


 ミラ・フォルネは、到着した木箱を一つずつ調べている。


「治療用魔石、六個。生活用魔石、十四個。薬箱が四つ」


 カレンがベルシア商会の在庫表と照合する。


「出庫記録と数が合いません」


「何が違うんですか?」


「治療用魔石は、商会の記録では五個です」


「一個多い?」


「ええ」


 普通なら、不足よりはよいと思うかもしれない。


 だが、記録にない一個が混ざっている。


 ミラの手が止まった。


「箱を開けないで」


 周囲の空気が変わる。


「どれ?」


「一番奥。青い帯がついてる箱」


 ほかの箱と見た目はほとんど同じ。


 ベルシア商会の印もある。


 封印紐も正規品に見える。


 カレンが紐へ顔を近づけた。


「芯が違います」


「偽物?」


「外側は正規品です。でも、青い芯が入っていない」


 リリアが搬入表を確認する。


「その箱は、どの荷馬車に積まれていましたか」


 先頭の御者が答える。


「出発時にはなかったと思います」


「途中で追加された?」


「北区を出る前、輸送主任のオルド様が最後に一箱積みました」


「オルド本人が?」


「はい」


 カレンの表情が硬くなる。


「何と言っていましたか」


「シュウ様が最優先で届けるよう指示した治療用魔石だと」


 また、俺の名前。


 ミラが箱の周囲へ測定具を当てる。


「入口は封印紐」


 変換部。


 出口。


 順番に確認する。


 測定具が、低い音を鳴らした。


「治療用魔石じゃない」


「中身は?」


「複数の魔石をつなぐ中継器」


 ミラは箱から少し離れた。


「これを開けた場所にある魔石へ、同じ命令を送る」


「同じ命令?」


「出力を一気に上げる命令」


 集会所の中には、いくつもの生活用魔石が運び込まれている。


 灯り。


 暖房。


 治療器具。


 すべてが同時に最大出力になれば。


「火事になる」


 セリアが剣の柄へ手を置いた。


「火事だけじゃない」


 ミラが低く答える。


「治療用の器具に入れば、使っている人へ魔力が逆流する」


 無料配給に集まった住民。


 その目の前で魔石が暴走する。


 そうなれば、蒼い流れが危険な物資を大量に運び込んだことになる。


「開けなければ大丈夫ですか?」


 俺が聞く。


「このままなら、まだ」


「まだ?」


「時限術式がある」


 箱の留め具が、かすかに黒く光った。


 誰も触っていない。


 それでも、内部で起動が始まっている。


「あとどれくらい?」


「分からない」


「止められますか?」


「中継器の入口を切れば。でも、封印紐を外した瞬間に起動する仕組みかもしれない」


 シュウの胸に、違和感が走る。


 箱の外。


 封印紐。


 荷台。


 集会所に置かれた魔石。


 どこかへ流れが伸びようとしている。


「見る?」


 セリアが俺の横へ来た。


「箱と周りの魔石の間だけ」


「短く」


「はい」


 ノアもこちらを見る。


「頭痛は?」


「ありません」


「目の痛みは?」


「少しだけ」


「少しあるんですね」


「でも、対象を絞ります」


 ノアは迷った。


 その間にも、留め具の黒い光が少しずつ強くなる。


「一度だけです」


 ノアが言った。


「異常が出たら、すぐに止めます」


「分かりました」


 ミラも箱から視線を外さずに言う。


「中は見なくていい。箱から外へ出る線だけ」


 俺は息を細く吐いた。


 視界の焦点を、箱より少し向こうへずらす。


(流れを見ろ)


 景色の色が薄くなる。


 箱の中から、何本もの灰黒色の線が伸びていた。


 集会所の魔石。


 通りの街灯。


 荷馬車の荷台。


 すでに周囲の魔石へ、薄く接続を始めている。


 だが入口は封印紐ではなかった。


 箱の底。


 荷馬車の床板へ接していた場所。


 そこに、小さな術式片が貼りついている。


 箱を降ろす時、術式片だけが荷台へ残った。


 そこから、別の荷馬車へも線が伸びている。


「箱だけじゃない!」


 俺は叫んだ。


「先頭の荷馬車の床! 術式片が残ってる!」


 視界を戻す。


 目の奥に痛みが走る。


 セリアが肩を支えた。


「終わり。もう見ない」


「はい」


「ガッシュ!」


 俺が呼ぶ。


「先頭の荷馬車を、ほかの車両から離して!」


「分かった!」


 ガッシュが外へ走る。


「ジノ! 荷馬車の周囲から人を離して!」


「任せろ!」


 二人の声が遠ざかる。


 ミラは箱の底へ薄い板を差し込んだ。


「底の術式と、箱の中継器を同時に切る」


「一人でできますか?」


 ノアが聞く。


「手が二本しかない」


「私が押さえます」


「治療師でしょ」


「手は二本あります」


 ミラが一瞬だけノアを見る。


「ずれたら起動する」


「どこを押さえるか教えてください」


 ノアの手は少し震えていた。


 それでも逃げない。


「左の板。私が三つ数えたら、手前へ引いて」


「はい」


 セリアは二人の前に立つ。


 何かが飛び出した時に備え、剣の腹を箱へ向けている。


 俺は後ろへ下がった。


 今、俺にできるのは見ることではない。


 全体を確認する。


 集会所の出口。


 住民との距離。


 外の荷馬車。


 カレンとリリアが証拠を確保できる位置。


「一」


 ミラが言う。


 黒い光が強くなる。


「二」


 箱の中で、何かが回る音。


「三!」


 ノアが板を引く。


 ミラが工具を差し込む。


 金属音。


 箱が大きく震えた。


「セリア!」


「守り払い!」


 セリアの剣が、箱の蓋を横から押さえる。


 蓋が持ち上がろうとする力を、住民のいない壁側へ流す。


 青白い光が、隙間から噴き出した。


「まだ!」


 ミラが工具を深く押し込む。


 ノアは板を離さない。


 黒い線が、二人の手元へ近づく。


「ノア、手を!」


「離したら起動します!」


 ノアは歯を食いしばった。


「怖いです。でも、今離す方がもっと怖いです!」


 ミラが別の工具を引いた。


 小さな青い石が、箱の底から転がり出る。


 直後。


 黒い光が消えた。


 集会所の街灯が、一度だけ明滅する。


 それ以上の異常は起きなかった。


「止まった……」


 ノアが力を抜く。


 ミラは測定具を当て、何度も確認した。


「止まった」


 セリアが剣を下ろす。


 俺も、ようやく息を吐いた。


     ◇


 外へ出ると、先頭の荷馬車は通りから離れた空き地へ移されていた。


 ジノが住民を遠ざけ、ガッシュが馬車を押している。


「術式片、あったぞ!」


 ガッシュが荷台の床を指した。


 薄い黒い板が、木目へ埋め込まれている。


 ミラが箱から外した中継石を布に包み、荷台へ近づく。


「同じ術式」


 カレンも偽の封印紐と荷馬車の記録を確認した。


「この車両は、ベルシア商会を出た時点では三番車でした」


「先頭じゃなかった?」


 セリアが聞く。


「はい。ですが、途中で順番が変えられています」


「誰が?」


「オルドです」


 御者が答えた。


「出発直前に、急ぐ荷があるから先頭へ出ろと言われました」


 大量の荷馬車。


 偽の緊急指示。


 無料配給の噂。


 そして先頭車両へ積まれた中継器。


 すべてが最初から組まれている。


「オルドが黒環会へ協力している」


 ガッシュが低く言う。


 カレンはすぐには答えなかった。


「まだ断定はできません」


 リリアが言う。


「でも、本人へ確認する必要があります」


 カレンは北区の方角を見る。


「商会へ戻りましょう」


「灯り小路は?」


 俺が聞くと、カレンは周囲の物資を見る。


 ここに置いていけば、また混乱する。


 すべて戻せば、住民の不満が増える。


「緊急分だけ、正式に配ります」


 カレンは言った。


「残りは、旧穀物倉庫と南市場で再確認します」


「無料ですか?」


 住民の一人が聞いた。


 カレンは、ごまかさず答える。


「いいえ。無料と決まった物資ではありません」


 落胆の声が上がる。


「ですが、治療に必要な物は、これまでの蒼い流れと同じ条件で配ります。価格、返却条件、保証者を説明します」


「無料じゃないのかよ」


「最初に言った人が嘘をついていたのです」


 カレンは頭を下げた。


「ベルシア商会の輸送責任者が関与しています。商会の責任として、今日の確認費用と輸送費は請求しません」


 物資そのものまで無料にはしない。


 だが、自分たちの管理不足で生じた費用は商会が負う。


 カレンらしい線の引き方だった。


「シュウさんは、どうする?」


 エッダが人混みの中から聞いた。


 治療用魔石を使った高齢の女性だ。


「あなたの名前で運ばれてきたんだろう?」


「俺が出した指示ではありません」


「知ってるよ」


 エッダはゆっくり笑った。


「でも、名前を使われたなら、何も言わずには帰れないだろう?」


 胸に刺さる。


 俺は住民の前へ進んだ。


「今回の指示は偽物です」


 もう一度、はっきり言う。


「でも、俺の名前が使われたことで、皆さんを集め、危険な荷物をここへ運び込んだ。それを防げませんでした」


「シュウのせいじゃない」


 セリアが小さく言う。


 俺はうなずく。


「俺が指示したわけではありません。でも、今後、同じことができないようにする責任はあります」


 住民たちを見る。


「これからは、俺一人の名前だけで荷物を動かさないようにします」


「本人なのに?」


 誰かが聞く。


「本人でもです」


 ざわめきが起こる。


「緊急時は急ぐ必要があります。でも、一人の名前だけで全部を動かせば、その名前を盗まれた時に止められない」


 リリアが続けた。


「今後、蒼い流れの緊急指示には、三つの確認を必要とします」


 記録担当。


 物資担当。


 現地担当。


「三名のうち二名以上が確認し、指示番号をつけます」


「面倒じゃないか?」


「少し面倒です」


 俺は答えた。


「でも、偽物かどうかを現場の人が確認できます」


 前の世界で、よくあった。


 上から言われた。


 客先が急げと言っている。


 社長案件だ。


 その言葉だけで、優先順位が全部変わる。


 本当に本人が言ったのか。


 数字は正しいのか。


 誰も確認できないまま、現場だけが走る。


 それを、こちらの世界で繰り返したくない。


「指示を疑えってことか?」


 御者の一人が尋ねた。


「疑っていい仕組みにします」


「上司の命令でも?」


「確認したことで責められないようにする」


 カレンが強い声で言った。


「ベルシア商会では、緊急指示の確認を理由に、従業員を処罰しないと定めます」


 御者たちの表情が、少し変わった。


 命令に逆らえと言われても、現場は動けない。


 逆らった結果、自分だけが責められるからだ。


 確認してよい。


 止まってよい。


 その時の責任は上が持つ。


 そこまで決めて、初めて現場は指示を確かめられる。


「分かった」


 先頭の御者が言った。


「次からは、指示番号を確認する」


 別の御者もうなずく。


「シュウ様の名前だけなら、止まって組合に聞く」


「お願いします」


 自分の名前だけでは、荷物は動かない。


 少し寂しいような気もする。


 でも、たぶんそれでいい。


 人の信用だけに頼る仕組みは、その人が倒れた時にも止まる。


 誰か一人が常に正しい前提で作ってはいけない。


     ◇


 灯り小路の混乱が落ち着いた頃には、夜が深くなっていた。


 ノアと現地の治癒師が、緊急分の薬を確認している。


 ミラはすべての魔石を検査。


 リリアは配分記録と、偽指示による出庫記録を分けて残していた。


 ジノとガッシュは、旧穀物倉庫へ移す荷馬車に付き添う。


 セリアと俺は、カレンと一緒にベルシア商会へ向かった。


「カレンさん」


 馬車の中で声をかける。


「はい」


「大丈夫ですか」


「大丈夫ではありません」


 静かな返事だった。


 いつもの笑みもない。


「オルドは、父がまだ商会を仕切っていた頃から働いています」


「信頼していた?」


「ええ」


「自分を責めてますか」


 カレンは窓の外を見る。


「責任は感じています」


「信じたことが間違いだったとは限りません」


「ですが、確認を任せきっていたのは事実です」


 それは、今日のモルガンと同じだった。


 長く働いている。


 詳しい。


 間違いが少ない。


 だから、その人へ権限と情報が集まる。


 いつの間にか、その人しか分からない仕事になる。


 そして、その人が変わった時。


 誰も止められない。


「オルドが自分から協力したとは、まだ決まっていません」


 俺は言った。


「脅されているかもしれない」


「そうですね」


「利用されているかもしれない」


「はい」


「でも、本人が決めた可能性もある」


「……はい」


 カレンは目を閉じた。


「どの答えでも、つらいですね」


 セリアが向かいの席から言う。


「だから、三人で行くんだよ」


 カレンが目を開ける。


「三人?」


「一人で聞いたら、昔のこととか恩とか考えて、言いたいことを飲み込むかもしれないでしょ」


「私を信用していないのですか?」


「信用してる。でも、信用してるから一人にしない」


 セリアは当然のように言った。


 カレンの表情が、少しだけ緩んだ。


「その考え方、悪くありませんね」


「シュウの見張りで慣れてるから」


「そこで俺を出しますか」


「成功例だから」


 成功例なのだろうか。


 少なくとも、一人で抱え込む回数は減っている。


 馬車がベルシア商会へ近づく。


 北区の夜は静かだった。


 だが、商会の前には従業員が集まっていた。


 倉庫の扉は開いたまま。


 中の棚は、ほとんど空になっている。


「カレン様!」


 若い使用人が駆け寄った。


「オルドは?」


「輸送指示を出したあと、執務室へ入りました」


「まだ中に?」


「はい。ですが、扉が開きません」


 セリアが剣へ手を置く。


「中から鍵を?」


「それだけではありません」


 使用人は青ざめた顔で続けた。


「扉に黒い輪が浮かんでいます」


     ◇


 オルド・ベルナーの執務室は、倉庫の二階にあった。


 扉の中央に、黒い輪が浮かんでいる。


 ゆっくりと回転し、近づく者の魔力を押し返していた。


 ミラは灯り小路に残っている。


 技術的な解析役がいない。


「白環を呼びますか」


 カレンが聞く。


 セリアは輪を見た。


「待ってる間に、中で何か起きるかもしれない」


 俺は扉の前へ立つ。


 魔流視を使えば、入口は見えるかもしれない。


 だが、すでに一度使っている。


 目の奥には、まだ鈍い痛みがあった。


「見ないで」


 セリアが言った。


「まだ何も言ってません」


「顔が言ってる」


「またですか」


「別の方法を探そう」


 扉。


 黒い輪。


 執務室の壁。


 窓。


 俺たちは廊下側から入ろうとしている。


 だが、部屋の外壁には窓がある。


「外から入れませんか」


 俺が言うと、カレンが首を横に振った。


「二階です」


「ジノなら行けそうですけど、今はいない」


「私が行く」


 セリアが言った。


「壁を登るんですか?」


「隣の倉庫の屋根から飛べる」


「危なくない?」


「扉の黒い輪に触るよりはまし」


 カレンが窓までの距離を確認する。


「かなり離れています」


「風切りなら届く」


「中にオルドさんがいるかもしれません」


「だから窓を割らない。窓枠へ着地する」


 簡単に言う。


 でも、セリアなら本当にやりそうだ。


「俺も下へ行きます」


「シュウはここ」


「何かあった時、声が届かない」


「じゃあカレンさんと階段の下。真下には立たないで」


 指示される側になっていた。


 俺とカレンが外へ回る。


 セリアは隣の倉庫の屋根へ上った。


 夜風の中。


 濃い青の服が揺れる。


「行くよ!」


 声が聞こえた。


 足元へ青い魔力が集まる。


 足。


 腰。


 肩。


 身体全体が一つの流れになる。


「風切り!」


 セリアが屋根を蹴った。


 空中を滑るように、執務室の窓へ向かう。


 窓枠へ手をかけ、身体をひねる。


 しかし、その瞬間。


 窓の内側から黒い線が走った。


「セリア!」


 彼女は片手で窓枠を掴んだまま、剣を抜く。


「守り払い!」


 黒い線を横へ逸らす。


 だが足場がない。


 身体が壁から離れかける。


 胸が止まりそうになった。


 セリアは窓枠へ剣を引っかけ、もう片方の手で身体を引き上げた。


「大丈夫!」


 下を見ずに叫ぶ。


「今のを大丈夫って言うんですか!」


「落ちてないから!」


 判断基準がおかしい。


 それでも、セリアは窓を開け、室内へ入った。


 しばらく音がない。


「セリア!」


「いる!」


 返事が届く。


「オルドさんもいる! 倒れてる!」


 黒い輪が揺れた。


 扉の内側から、鍵が外れる音。


 セリアが扉を開ける。


 床には、一人の男が倒れていた。


 五十代半ば。


 銀色の混じった髪。


 ベルシア商会の制服。


 オルド・ベルナー。


 右手には、輸送指示書が握られている。


 その手首から、黒い線が机へ伸びていた。


「触らないでください」


 俺はオルドの呼吸を確認する。


 浅い。


 だが、生きている。


 机の上には、小さな黒い記録石。


 その横に、銀色の板。


 俺の名前が刻まれている。


 ――シュウ・サエキ。


「これで指示を作った?」


 セリアが聞く。


 カレンが銀板を確認する。


「ベルシア商会の音声記録具です。商談や注文内容を残すためのもの」


「俺の声が入ってるんですか?」


「月鐘会館での発言が記録されていた可能性があります」


 俺の声。


 俺の名前。


 商会の正式な記録具。


 それらを組み合わせ、緊急指示を作った。


 オルドがうめき声を上げる。


「カレン……様……」


「オルド」


 カレンが膝をつく。


「聞こえますか」


「荷は……届きましたか」


「届きました」


 カレンの声が少しだけ揺れる。


「ですが、危険な術式が混ざっていました」


 オルドの目が見開かれる。


「そんな……私は……確認を……」


「誰から指示を受けました」


「シュウ様の声で……」


 オルドは俺を見る。


 混乱と恐怖が混ざった顔。


「申し訳……ございません」


「俺が出した指示じゃありません」


「ですが、記録具には……本人の魔力印も……」


 俺には魔力印を登録した記憶がない。


「誰が登録したんですか」


「ハインという……組合の運び手が……緊急時の照合役として……」


 ハイン。


 また、あの男。


「疑わなかったんですか」


 カレンが聞く。


 オルドは目を閉じる。


「疑いました」


 部屋が静かになる。


「では、なぜ動かしたのですか」


「遅れれば……灯り小路で死人が出ると」


「確認する時間はありました」


「確認して……間に合わなかった時……」


 オルドの声がかすれる。


「私は以前、確認を優先して、薬を遅らせたことがあります」


 カレンの表情が変わる。


「いつですか」


「七年前です」


 オルドは苦しそうに息を吐く。


「北街道が雪で止まった時。正式な迂回許可を待った。許可が出た時には、治療院の薬が切れていた」


「誰か亡くなったのですか」


「三人」


 オルドの目から、涙が一筋流れた。


「それから私は、緊急時は止まらないと決めた。確認を待って、また誰かが死ぬくらいなら……私が責任を取ればいいと」


 まただった。


 ローディス。


 モルガン。


 オルド。


 皆、最初から人を苦しめたかったわけではない。


 過去に止められなかったものがある。


 届かなかった荷。


 採用されなかった提案。


 待っている間に失われた命。


 だから今度は、止まらないことを選んだ。


 しかし、その覚悟を黒環会に利用された。


「一人で責任を取るつもりだったんですね」


 俺が聞くと、オルドは小さくうなずいた。


「私が命じたことにすれば、御者たちは責められない」


「でも、もし事故が起きていたら?」


「私が……」


「オルドさん一人が辞めれば、終わりですか」


 声が少し強くなる。


「傷ついた人は戻らない。商会の信用も、灯り小路の人たちの不安も残る」


「では、どうすればよかった!」


 オルドが突然叫んだ。


 黒い線が、手首で脈打つ。


「確認している間に死んだ三人を、私は忘れられない!」


 その叫びは、俺にも分かる気がした。


 もっと早く動いていれば。


 別の判断をしていれば。


 間に合っていたかもしれない。


 そんな後悔は、人を極端な答えへ向かわせる。


「忘れなくていいと思います」


 俺は答えた。


「でも、一人で埋め合わせようとしないでください」


「……」


「一人の判断だけで早く動くんじゃなくて、複数人で早く確認できる仕組みに変える」


「そんな都合のいい仕組みが……」


「今から作ります」


 言い切った。


 できるかどうかは分からない。


 それでも、作るしかない。


「確認したら遅い、確認しなければ危険。その二つしかないなら、確認のやり方を変える」


 リリア。


 カレン。


 ミラ。


 ノア。


 現地の担当者。


 一人ずつ許可を取るのでは遅い。


 同時に確認できる形。


 必要な情報だけを先に共有する。


 緊急度に応じて、後から補完する記録も決める。


「現場の人が止まって確認しても、責められないようにする」


 御者の顔を思い出す。


「でも、確認のために何時間も待たせない」


 オルドは俺を見ていた。


「できると?」


「一人では無理です」


「なら――」


「だから皆でやります」


 セリアが小さく笑った。


「シュウ、最近それ言えるようになったね」


「教育の成果です」


「誰の?」


「皆さんの」


 カレンはオルドの手首へ伸びる黒い線を見た。


「話の続きは、治療後です」


「カレン様……」


「あなたには、説明していただくことがたくさんあります」


 厳しい声だった。


 だが、見捨てる声ではない。


「罰がないとは言いません」


 カレンは続けた。


「しかし、すべてをあなた一人の責任にして終わらせるつもりもありません」


 オルドの目が揺れる。


 その時。


 机の上の黒い記録石が、かすかに光った。


 セリアが剣を構える。


「まだ動いてる!」


 銀板に刻まれた俺の名前が、黒く染まる。


 記録石から、男の声が流れた。


 ハインではない。


 ヴァルドでもない。


 聞いたことのない、年老いた男の声だった。


「緊急時に確認を求める者は、必ず遅れる」


「責任を分ける者は、誰も責任を取らない」


「シュウ・サエキ。あなたの仕組みが、どれほど遅く、弱いものか」


 黒い光が部屋の壁へ広がる。


 そこに、アルメリアの地図が浮かび上がった。


 灯り小路。


 南市。


 北区。


 東門。


 組合。


 ベルシア商会。


 これまで黒環会が入り込んだ場所が、黒い線でつながっている。


 その中心。


 街の地下。


 今まで地図になかった場所に、大きな黒い輪が描かれていた。


「これは……」


 カレンが息をのむ。


 オルドが、かすれた声で言った。


「旧王都地下水路」


「そんな場所があるんですか」


「街が今の大きさになる前、物資を運んでいた地下道です。何十年も前に封鎖されたはずですが……」


 地図の黒い輪から、細い線が街全体へ伸びる。


 街道。


 水路。


 倉庫。


 組合。


 商会。


 魔力脈。


 黒環会は、一つずつ流れへ入り込んでいたのではない。


 街の地下にある古い流通路から、すべてをつなごうとしている。


 記録石から、最後の言葉が流れた。


「個別の詰まりを直して満足する時は終わりです」


「黒環大循環は、すでにアルメリアの下で動いている」


 黒い地図が消える。


 記録石は音を立てて割れた。


 部屋へ静けさが戻る。


 俺は、何もなくなった机を見る。


 ヴァルドの共同管理。


 ローディスの街道。


 モルガンの記録。


 オルドの輸送。


 すべてが別の事件だと思っていた。


 だが、地下でつながっている。


「今まで追っていたのは、枝だった」


 俺はつぶやいた。


 セリアが剣を下ろさずに聞く。


「地下にあるのが、幹?」


「たぶん」


 街全体の物。


 魔力。


 情報。


 人。


 すべてを一つの輪へ集める仕組み。


 黒環大循環。


 それが完成すれば、誰も黒環会を通さずに物を動かせなくなる。


 流れを止める必要さえない。


 流れる道そのものが、黒環会の物になる。


「すぐ組合へ戻りましょう」


 カレンが立ち上がる。


「旧地下水路の記録を探します」


「セルヴィスにも知らせる?」


 セリアが聞く。


「知らせます」


 俺は答えた。


 白環が地下道を丸ごと切ろうとする可能性はある。


 それでも、情報を隠して一人で動けば、モルガンやオルドと同じになる。


「ただし、切る前に中を確認する」


「うん」


「誰が使っているか。何が流れているか。どこへつながっているか」


「魔流視を使いすぎない」


「それも確認項目に入りますか」


「最重要」


 セリアはようやく剣を収めた。


 窓の外では、灯り小路へ向かった荷馬車が一台ずつ北区へ戻り始めている。


 暴走は防いだ。


 俺の名前を使った偽指示も止めた。


 けれど、奪われた信用がすぐに戻るわけではない。


 そして、街の地下では黒い流れが動き続けている。


 自分の名前だけで物を動かすことは、もうできない。


 それでいい。


 誰か一人の言葉で、すべてが動く仕組みを壊すために戦っているのだから。


 俺は割れた記録石の破片を拾った。


 破片の中には、黒い輪がまだ小さく脈打っていた。


 流れをほどくために、人を詰まらせるな。


 その言葉を、今度は街全体へ通用する仕組みにしなければならない。


 次の詰まりは、アルメリアの地下にある。


第31話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、シュウの名前を使った偽の緊急指示によって、ベルシア商会の荷馬車が灯り小路へ殺到しました。


荷物は薬や魔石など、実際に必要とされている物です。


そのため、ただ止めればよいわけではなく、事故を防ぎながら荷馬車を分散させ、緊急性の高い物資だけを正式な手続きで配る必要がありました。


御者たちは命令を疑わなかったのではなく、指示を変更した結果、自分たちだけが責められることを恐れていました。


そこでカレンは、輸送の遅れや損害について自分が責任を負うと明言し、初めて現場が進路を変えられる状態を作ります。


また、シュウ一人の名前だけでは緊急指示を出せないよう、今後は記録担当、物資担当、現地担当のうち二名以上の確認と、指示番号を必要とする仕組みを導入しました。


現場の人が指示を確認しても処罰されないことも、ベルシア商会の規則として定められる予定です。


灯り小路へ運ばれた箱には、周囲の魔石を一斉に暴走させる中継器が隠されていましたが、シュウ、ミラ、ノア、セリアたちの連携によって起動前に停止できました。


輸送主任オルド・ベルナーは、七年前に確認を待ったことで薬の到着が遅れ、三人を救えなかった過去を持っていました。


その後悔から「緊急時には止まらない」と決め、偽の指示に疑いを持ちながらも荷馬車を動かしてしまいます。


そして黒い記録石から、アルメリアの地下に旧王都の物資輸送路が残っていることが明らかになりました。


これまでの街道、倉庫、組合、商会、魔力脈への工作は、その地下道を中心とした「黒環大循環」へつながっています。


次回は、シュウたちが旧王都地下水路の記録を調べ、街全体の流れを支配しようとする黒環会の中枢へ近づきます。


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