モブ
「おいおい…このオークどこから盗んできやがった?お前みたいなヒョロいやつにこんな大物倒せねぇだろ?」
「そうだぜ。兄貴みたいにつよいやつじゃねぇと。」
「そうだそうだ!」
アニメによく出てくるモブキャラ。滅茶苦茶ウザいけど、必要不可欠なこういう存在。もちろん無視。
俺はしっかり無視を決め込むとオークを引きずってギルドに向かった。
後ろで何かと叫んでいるようだが、人間に虫の言葉が聞こえないように、アホな奴の言葉は聞こえない。
だが、奴が剣を手にした音は聞こえた。
俺は立ち止まると奴に聞こえるように言った。
「剣を抜いたなら命懸けろよ?」
「あ!?何言ってんだ。」
「そいつは脅しの道具じゃねえって言ったんだ。それを持って近づいたら殺されても文句言えねぇからな?」
「やれるもんならやってみな!オリャァ!!」
大剣を振り上げてこちらに向かってきたので、俺は最小限度の動きで奴の両手を切り落とした。そして、自分に返り血が来たら嫌なので、蹴り飛ばして仰向けに倒した。
「ぎぃぃやぁぁぁ!!痛ぇぇぇ!!」
「あ…兄貴!!」
「テメェ!なんてことを」
「言ったろ?それは脅しの道具じゃねぇって。忠告無視して斬りかかって来たんだ。自業自得だろ?」
俺は能無し二人とまもなく死ぬモブを置いてギルドへと向かった。
「それで?なんであんなことをした!」
今俺は、冒険者ギルドではなく、村にある衛兵待機所にて尋問を受けている。結局、あの大剣の男はポーションで一命を取り留めたものの、両手は無くしたままになった。それで、衛兵に俺を犯罪者呼ばわりして突きだしたわけだ。
「俺は忠告しましたよ。その忠告無視して斬りかかってきたんですから、斬りられて当然でしょ?」
「反省していないな?お前は村のなかで傷害事件を起こしたんだぞ!?」
「ならその場で斬られろって言ってるんですか?」
「なに?」
「だってそうでしょ?衛兵さんのいうように傷害事件起こしてなかったら、俺は奴に斬られてた。そうなったら、俺が同じ目に遭ってたかも知れないんですよ。」
「何言ってんだおまえは。あいつらを一方的に傷つけたんだろうが。」
「は?あいつが大剣をもって斬りかかってきたんだよ。」
「いや、彼奴等は武器なんて持ってなかった。」
なんだこいつ。持ってたから、正当防衛したんじゃねぇか。アホかこいつ。まさか…あぁ。そういうこと?
「金ですか?賄賂でも渡せってことですか?」
「なんだと?」
「村の外から来たから金を寄越せって言ってんの?彼奴等が武器持ってたことも知ってるくせに強請るためにそう言ってんすか?」
「貴様…正直に言わんとどうなるかわかってんのか?」
「あんたこそ、調子に乗ってると痛い目に遭うぞ?こちとらオーク討伐してきてんだ。あんたなんか、軽く殺せるんだぞ。」
「そうかそうか。なら、それを見せてみろよ。」
「見せてどうすんだよ。ギルドに持ってくためのものなのに。」
「俺が届けといてやるよ。」
「そう言って、持ってくってことか?」
「…」
「だんまりかよ。それと後ろのあんた。さっきから殺気がダダ漏れだよ。左の人は右手にナイフ持ってるのバレてるから。こんな状態で尋問なんて嘘だろ?脅して金を強請るか、殺して身包み剥ぐかどっちかだろ?」
「…」
俺を尋問してた奴が後ろを向いた。かすかに金属が擦れる音がした。これは鋭利なものを取り出した音。
俺は奴が振り向いた瞬間、座っていた椅子で奴の手首を叩いた。カランっと何かが落ちた。予想通りナイフだった。
「やっぱりな。これは正当防衛だ。死んでも知らねぇからな。」
俺は落ちナイフを拾い上げた。そこに左の男がナイフを振り下ろしてきた。俺はギリギリで避けると奴の首に三度ナイフを刺した。そいつは吐血して倒れた。一人目。
「お…お前殺しやがったな。」
「言ったろ?正当防衛だ。殺そうとしたこいつが悪い。衛兵は犯罪者を取り締まるための存在だろ?そいつが人殺そうとしたら終わりだろ?」
「黙れ!」
ナイフを持っていなかった右の男が殴りかかってきた。ガントレットをつけ入るようだった。確かにあれで殴られたら気絶するだろうな。まぁ…当たればだけど。
奴が右腕を振り被ったときに右脇、右胸、頸動脈を斬りつけ、蹴り倒した。二人目。
「貴様…二人も殺しやがったな。」
「正当防衛だって言ってんだろが。そもそも、あんたらが悪いんだろうが。」
「貴様は斬首刑にしてやる。」
「だから、衛兵にその決定権はねぇだろ。アホかお前。」
「死ねぇぇ!!」
この阿呆は近くに置いてあった斧を振り上げた。そう…振り上げたんだ。だから…俺は奴の喉を一突きした。
斧を落とした奴は喉を押さえて倒れ込んだ。能無しばっかじゃん。
モブ3人組に阿呆な衛兵。
でも、殺人は犯罪だからなぁ…。逃げるか!
俺は奴らが俺から没収した刀及び荷物一式を回収した後、待機所にあった金品を迷惑料として徴収した。
ほかの村人たちが集まってくる前に俺はそそくさと村を出た。待機所にテント道具一式あったから…まぁなんとかなるだろ。




