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終焉の楽園  作者: mimana
過去 (past)
4/4

婚約者 Ⅱ

「おぉ!リリス様!ご機嫌麗しゅう。」

「ご機嫌麗しゅう。メフィスト卿。」

あれから、すぐに部屋に使いの者が現れ、私たちをウィリウム様の部屋へ

向かうように言った。

部屋に入ると、メフィスト卿の他にもウィリウム様や家庭教師や騎士たちが居た。

何故か彼らを見たのは、ずいぶん久しぶりに思えてしまう。

けれど、彼らは、神子様とずっと一緒に居ると侍女たちが

噂していたのを思い出し、すぐに納得してしまった。

「これで、全員か。」

私が部屋に入り、扉を閉めるとウィリウム様が口を開いて、

傍に居た神子様の肩を抱き、

不敵な笑みを浮かべて言い放った。

「マリアを俺の婚約者にする。」

「ウィリウム様、いきなりすぎませんか?」

「クリッドの言う通りです。マリアは、まだ、あなたのモノになっていません。」

クリッド様とリドム様がウィリウム様と話してる間も私は、神子様から

視線外さなかった。違う外せなかった。

圧倒的に感じる存在感。神様は、なんて残酷なんだろう。

まさに彼女は、神聖な存在といってよかった。

輝く金の髪に綺麗な琥珀の瞳、きっとこの世界に一つしかないだろう奇跡の塊

私なんかが敵うはずのない相手。

「えぇと、リリス様?ですよね?」

「はい。お久しぶりです、世界の救世主マリア様。

 私は、リリス・フィン・マテリアルと申します。」

「?初めましてじゃないの?」

「・・・以前、お会いしたことがあります。

 ただ、私は、執務があったのですぐに退席しましたが。」

「そうなんだぁ。えぇと、私、これから、

 リリス様と同じウィリウム様の婚約者でお妃様候補なんです!」

神子様の言葉に、浮かべている笑顔が消えそうになった。

ウィリウム様は、神子様の言葉に不敵に笑い、家庭教師の二人を見た。

「じゃあ、俺とユーノは、マリアの専属騎士になる!!」

「そうだね。マリアは、大切な人だから、僕たちが守るよ。」

「マリアに男が付くのは、気に要らないが、マリアを守る為だ。

 リリス・フィン・マテリアル、お前は、今後自由に出歩いても良い。

 ただし、護衛は少なくしろ。マリアに付ける。」

「・・・・・・・・・はい」

一つ一つ消えていく、無くなっていく。

私がこの場所に居るために必要なものが・・・

「あと、侍女だな・・・

 ミーア・セレスタン、今日からマリアに就け。」

「お断りします」

「え・・・ミーアさん?」

ウィリウム様の命令をミーアは、力強く返答した。

断られると思っていなかったのか、神子様は、驚いてミーアを見ていた。

「私の主は、マテリアル家のみです。

 それ以外に使える気持ちなど、まったく持ち合わせえていません。

 どうしてもというなら、当主様、奥方様にマテリアル家全員に、

 ご一報くださいませ。」

ミーアは、神子様に一目も触れず、ウィリウム様を睨んでいた。

「すでに神子様には、50人以上の侍女が就いています。

 これ以上は、不要といってもいいでしょう・・・御用が終わりなら、

 お暇させていただいてもよろしいでしょうか?リリス様は、多忙ですので、

 勤めがございます。」

それだけ言うとミーアは、一礼して部屋を出ていった。

居づらくなった雰囲気に、一礼して部屋から抜け出した。

部屋に戻るとミーアは、既に部屋でお茶の用意をしていた。

「おかりなさいませ。リリス様。」

「ただいま、ミーア。」

いつもと変わらないミーアの様子に安心して、お茶の用意の出来ている

机の前に座り、一口飲んでミーアを見た。

「ありがとう。ミーア・・・

 やっぱり、こういう時は、ミーアのお茶が一番ね。」

「・・・リリス様」

「・・・大丈夫よ。ミーア・・・」

ミーアの言いたいことがわかり笑みを浮かべる。

「心配してくれてありがとう。でも、これは、私の只の我儘なの。」

きっと、明日からこの部屋に来る侍女は、ミーアだけになると確信していた。

明日には、他の侍女は、神子様に就くことになる・・・

この国は、本当に神子様が居ることで・・・

本当の意味で豊かになるのか、何処かでとんでもない間違いを犯しているような、

そんな不安を感じる中、ウィリウム様と神子様の婚約は、

発表され、国を挙げて祝福された。


何処かで何かが軋む音がした。

今思えば、これが、始まりだったのかも知れない。

この国の・・・そして私の運命の始まり。

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