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放たれた強者

「さて…それでは詳しく話を聞かせていただけますか?。」

 学園の学園長室。その部屋の主人である学園長。その対面に座る1人の男。その背後には1人の女も控えている。


「あぁ、そうだな、今回の親善会俺が警備につくことになった。理由は前に言っただろ?。」

 如月花月。国家魔導師就任に関する規定第二項の唯一の適用者であり圧倒的な実力を誇る男である。


「はぁ、…信じたくはないものですね。まさか同盟国にそんな疑いがあるとは…」

 学園長が声を落とし呟く。魔法が発見されてからしばらくは多くの国が殺気立ち小競り合いが勃発した。みな新しい力に酔っていたのだ。そんな争いは血を流しながらも解決に向かい現在に至る。


「まぁ、そんな同盟などなんの意味もないことはわかりきっていた。人間は欲を捨てれないもんだ。それは今も昔も変わらんということだな。カッカッカ…だからこそ魔導師は存在するわけだが。」

 如月がソファの背に全身を預けながら言う。


「そんでこれが許可証だ。俺の100%での戦闘を許可する物だ。」

 如月が後ろにいる木暮に向かって腕を伸ばす。木暮はそこに1枚の紙を置いた。如月がそれを学園長に渡す。


「…確かに。内容は確認しました。貴方に親善会中の学園への出入りを許可します。また、何か有事の際には自己判断での戦闘を許可します。」

 如月から渡された書面を確認した学園長が如月に許可を与える。


「んじゃ、やることやったし帰るわ。あ、そうそうこれも渡しとかないとな。」

 そう言い服のポケットから1枚の紙を学園長に差し出す。


「これは?」


「見たらわかる。雅行くぞ。」

 木暮を引き連れ如月が学園長室を後にする。


「………‼︎。そんな…この学園に⁉︎。」

 書面をみた学園長は1人驚きを隠せないでいた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「1163番出ろ!。」

 薄暗い空間。日の刺さない建物の中。その建物の檻の中に座る男に外から声がかけられる。坊主頭に落ち着いた顔付き、しかし体ははち切れんばかりに鍛えられていた。


「ん?俺か?。確か今日は運動日ではなかったはずだが…」


「…テメェは今日で釈放だ。ささっとでてってくれ。」

 どこか怯えながら看守が檻のドアを開ける。そして男の手にかかっていた手錠を解く。この手錠はかつて如月が学園内でつけられていたもので魔力を大幅にカットするものである。


「俺を釈放するだと⁉︎。…勝手なもんだな。捕まえておいてなんの更生もしてない俺を放り出すとは。…暴れてやろうか?。」

 看守の言葉に反応した男が睨みを効かせながら魔力を放つ。放たれた魔力によって建物の壁に亀裂が走り砂埃が舞う。


「な⁉︎、お、おい!1163番やめろ!。」


「俺は1163番なんかじゃねぇ‼︎。…ぶっ壊してやるよ。」

 男の手に魔力が集中する。ただの魔力。その力の奔流。


「な、な………」

 言葉を失う看守。蛇に睨まれた蛙の如く後はその手が振り下ろされるのも待つのみだった。しかし、


「…ちっ、やめだ。折角外に出れるのにこんな奴を壊して台無しにすることはねぇ。」


「………ふぅ。…助かっ…」


「だが…」


『パチン!。』

 吹き飛ぶ看守。その顔は血だらけになっていた。


「駄賃代わりだ。そんじゃ俺は行くぜ。」

 男は檻から外に出る。建物の中は静まりかえっていた。


「…俺を出した奴ら、俺をどうするつもりか。…楽しみだ。」

 こうして1人の強者が世に放たれた。


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