竹と若草
夏真っ盛りのある日。学園の中にある全星寮。今や言わずと知れた場所である。所属する全員が二つ名をもち、代表者は七星第五輝若草大樹。文句なしの実力者である。その若草大樹はいま上半身は裸、左手には大きな紙、下は水着(黒のブーメラン)といった女性ファンが見れば卒倒しそうな格好をしていた。見た目以上に筋肉質な体、甘い顔、柔らかい物腰、そして強さ、勿論女生徒からモテないわけはない。しかしその強さ故に一定以上踏み込んでくる者はいなかった。
「…ここに…こう…いけるか?。」
その若草は思案顔をしていた。左手に持つかみを広げ地面に広げる。そこには細かく線が引かれ数値などが書き込まれていた。
「…多分いけるね。3人が帰ってこないうちにやってしまうか。」
そう言い寮の敷地の端に隠すように置かれている物の所へ行く。
「ふふふ、つい笑みがこぼれるね。彼らが驚く顔を想像してしまうと。」
隠してあった物…竹を手に取り若草が言う。
「さてと…彼らが帰ってくるまで…3時間くらいか。早くやろう。」
竹を担ぎ上げそう言うのだった。
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「だから!あそこではあれで良かったんだって!。」
「何言ってやがる。その後のことを考えてないだろ。隙がデカすぎんだよ。」
「そうですね。…でも攻めなければ勝ち筋を見つけにくいですよね。」
全星寮の外から話し合う声が聞こえてくる。重達1年生が校内の闘技場から帰ってきたのであった。
「ふん、まぁいい。次までには剣達がビックリするようなことをしてやるからね。」
「ほざいてろ。」
「楽しみにしてま…え⁉︎これは一体?…」
話の途中1番に寮への扉を開けた澪。中を見た途端言葉をなくしてしまう。
「ん?どうしたの澪ちゃん?。」
「なんだ?何があった?。」
当然その反応に疑問を抱く2人。もしや良からぬことがあったのではと構えをとる。しかし2人の眼前に広がっていたのは想像を超えるものだった。
「おかえり、早く着替えておいで。今日は…」
「流しそうめんだ。」
邸内には竹で出来たコースが張り巡らされておりその上を水が流れる音が聞こえる。
「い、いつの間に…」
驚きのあまり言葉が続かない3人。
「ふふふ、計画自体は前々から立ててあったんだ。そして今日は雲ひとつない。夜空を見ながらの流しそうめんは
素晴らしいと思わないかい?。」
得意げに語る若草。夏も終わりに近づき思い出として企画していたのだ。
「それにしても、あんたこれは…長すぎるだろ!。普通こういうのって直線に流れてくるだけだろ!。」
竹のコースを指差しながら剣が言う。いくつもの竹を組み合わされたそれはうねりうねって庭中に広がっていた。
「だって僕は…若草大樹だからね。手を抜くわけにはいかない。」
「「「……?」」」
3人とも訳がわからないと言ったような顔をする。それも当然である。なにせなんの理由にもなっていないのだから。
「ほらほら、早く着替えておいで。濡れてもいい服にするんだよ。」
そう言う若草は既に、と言うより元々水着であった。慣れてしまったのか澪からそこに関しては反応はない。
こうして始まった流しそうめん。あまりのコースの長さに途中で麺が伸びるといった事件があったものの概ね成功を収めた。因みに後片付けに次の1日を要することになる。




