王女レイア
【四層——最上層にして、この地域で最も冷え込 場所】ここには、王の邸宅が建っている。数多のものを収めた、巨大な館だ。この地域の統治者、アルカード・ナイトヘイヴンは、冷酷な男だと言われている。ヴァンパイアの中のヴァンパイア、と。
アルカードは大きな窓辺に立ち、両手を後ろで固く組んでいた。長身、筋肉質、端整な顔立ち——白髪、鋭い赤の瞳、そして王族然とした軍服のコート。外では、雨がガラスを打っていた。
「入る時くらい、ノックをするものだぞ」
彼の背後に、一人の男がいた。振り返ろうとすらしなかった——誰であるかは、すでにわかっていたからだ。
「そこは俺の問題じゃないから聞き逃したな」デルタが言った。「さっさと本題に入ろう。お前の娘について、もっと情報が要る」
アルカードは振り返り、椅子の方へと歩み寄って腰を下ろした。
「わしに何が話せるというのだ? 執事長のルドルフが、わしの知っていることはすでに全て伝えたはずだ。娘があの状態にある理由も、わしにはわからん」
デルタは答えなかった。扉を開けた。
「病人のところへ案内しろ」
アルカードは立ち上がった。二人は王女の部屋へと向かった。
「んん。王女、私だ。中に入ってもよいか?」その声色は変わらなかった——相変わらず低く、真剣で——だが、その態度は変わっていた。柔らかく。慎重に。
沈黙。
「いや」
一拍の間。
「それと……次からはノックをして」
再び、沈黙。
「お前にもノックの問題があるようだな」デルタが言った。
アルカードは姿勢を正した。
「お前も同意しているようだな——お前にも、ノックの問題があると」
「一理あるな。それより、お前の娘は不快がっているのか? 待つのは構わないが」
アルカードは扉に向き直った。
「王女、大事な話がある」
「何について?」
「お前の病についてだ」
「……嫌」
アルカードは、取り繕うのをやめてため息をついた。
「わしにこうさせるとはな。お前のためを思ってのことだ」彼の声が硬くなった。「レイア・ナイトヘイヴン王女、命じる。扉を開けよ」
長い沈黙。
「……はい、お父様」
「ふむ」デルタが言った。
アルカードは再びため息をついた。
扉が軋みながら開いた。デルタは素早く中へ入り、背を屈めて小さな王女を覗き込んだ。
愛らしい少女だった。月光のように流れる白い髪。アメジスト色の瞳。可愛らしく柔らかな顔立ち。
レイアは、びくりと怯えた。死を思わせる疫病医の衣装をまとった、背の高い筋肉質な男——それに、あの仮面。
「ふむ。小さいのが怯えているな。なるほど」
「誰だって怯えるだろう」アルカードが言った。「怖がらせるな」
デルタは一歩下がり、手を差し出した。虚空から、一つの人影が現れた——大きな耳と、細く長い尻尾を持つ、小柄な少女。デルタ4だった。
「ちょっと、何すんのよ」
「診てやれ」デルタが言った。
アルカードは驚いた。レイアも驚いた——だが、どこか面白がっているようでもあった。
デルタ4はレイアの方へゆっくりと歩み寄り、膝をついて、彼女の頬を両手で包み込んだ。
「わあ、可愛い! こんなに可愛い子がいるなんて知らなかった!」
「あの、ほっぺ、むぎゅーってしないでくだしゃい」レイアが言った。言葉が、頬を潰されて少し崩れていた。
デルタ4はくすくす笑った。「よーし、王女様。二つだけ、お願い聞いてくれる? 言われたこと全部やって、いい子にしてたら、何かあげるからね」
「……?」
「いい?」
デルタ4は姿勢を正し、虚空から救急箱を取り出した。
「よし。目を閉じて。腕をまっすぐ伸ばして。それから、楽しいこと、気が紛れることを考えてて」
「何をするの?」
「私も気になるところだ」アルカードが言った。
「見ればわかる」デルタが言った。「治療されたいのか、されたくないのか、どっちだ? やるぞ。さっさとな」
「わかった」
レイアは、デルタ4に言われた通りにした。デルタ4は救急箱から針を取り出した。
「待て」アルカードが言った。「それは、まさか——」
「しーっ。デルタ4の邪魔をするな。王女様を死ぬほど怖がらせたくはないだろう?」
「……そうだな」




