三元錬金術師
【ナイトヘイヴン——三層】
一人の男が、ナイトヘイヴン最も暗い日々の中を歩き、三層の崖の隅に建つ館へと向かっていた。黒い岩肌の道に霧がまとわりつく。空気は、銅と濡れた石の匂いがした。
彼は扉を二度叩いた。
扉が軋みながら開いた。そこに立っていたのは、疫病医の仮面をつけた女だった——長い嘴、磨き上げられた黒——だが、その下の衣装は、メイド服に近いものだった。フードから、大きな耳が二つ突き出て、ぴくぴくと動いている。ふさふさとした太い尻尾が、背後で丸まっていた。その独特な出で立ちにもかかわらず、男が恥ずかしさを覚えた理由は、ただ一つだった。
(なぜ、俺はこんな所に来てしまったんだ)男は思った。
「疫病医傭兵団へようこそ」デルタ2が言った。「ご依頼、あるいは何かご用件がございましたら、どうぞ中へ」
少女は礼儀正しかった。男は中へ足を踏み入れた。デルタ2は彼をソファへと案内した——古い革製で、縫い目がひび割れている。彼は腰を下ろした。
デルタが、瞬時に姿を現し、彼の向かいのソファに座った。同じ仮面、同じ暗色のローブ、袖はまくり上げられている。染みのついた手袋。デルタは、挨拶をしなかった。
「その眼鏡は外していいぞ、ルドルフ」デルタが言った。「お前には似合っていない」
ルドルフは眼鏡を外した。白髪を後ろに撫でつけている。整えられた口髭。褐色の瞳は鋭く、しかし疲れていた。年輪が顔に刻まれてはいたが、それが彼を損ねてはいなかった。
彼は、一瞬黙り込んだ。
「なるほど」と彼は言った。「変装は失敗だったようだな」
「変装のつもりだったならな。まあ、老いには勝てなくなってきたか。何の用だ?」
「ああ——その前に。その手を、俺の頭に向けるのはやめてもらえないか?」
デルタの手袋をした手は、膝の上に置かれていた。
「お前の勘の鋭さは、まだ衰えていないようだな、爺さん」デルタが言った。「デルタ4、銃を下ろせ。こいつは問題ない」
天井から、カチリという音が響いた。梁の上から、ルドルフの真上に一挺のライフルを構えた人影が姿を現し、一瞬——見えるだけでなく、感じられるほどの間——そこに留まると、再び影の中へと消えていった。
ルドルフは息を吐いた。彼は一枚の紙を机の上に滑らせた。
デルタはそれを手に取り、読んだ。
「ふむ。アルカード王子が我々に来訪を望んでいる、か。理由は書かれていないが。お前は理由を知っているんだろうな」
「お前もすでに知っているだろう、アルカード・ナイトヘイヴン公爵を。デルハイムの第三王子。北方地域の統治者だ」
「ああ。一年前、我々を雇い、デュラベルという組織から人質を救出させた男だ」
「それに、俺の記憶違いでなければ、お前は彼に娘がいることも知っているはずだ。レイア・ナイトヘイヴン王女」
「ああ。レイア・ナイトヘイヴン王女。アルカードの長女。母はいない。現在、病床にある」
「はっ、なんだ、すでに何もかも知っているじゃないか」
彼は身を乗り出した。
「どうか、我らが王女を治していただきたい。彼女は、いかなる強力な魔法をもってしても治せぬ病に冒されております。もはや、我々に打つ手はございません。アルカード様は、以前あなた方がなさったことをご覧になっております——人質を救っただけでなく、人々を治した。正体不明の病を患う人々を。ですから——」
「断る」
「……?」
ルドルフは困惑した。承諾されると確信していたのだ。今、彼は途方に暮れていた。
「待て——何だと? 本気で言っているのか? 俺をここへ寄越したのが誰か、わかっているのか?」
「誰がお前をここへ寄越したかなど、我々が気にする必要があるか?」
デルタは公爵との間に取り決めを交わしていた——この館、様々な特権、干渉されないこと。ナイトヘイヴン公爵から富を受け取ることは、一切なかった。
「我々には我々の取り決めがある。それについては心配しなくていい。だが、お前は忘れているようだな——お前がここに来た目的は、病を治すことではないはずだ」
「……ですが——」
デルタが遮った。
彼は、一枚のカードを机の上に滑らせた。クリーム色の紙に、黒いインク。そこにはこう記されていた。**【三元錬金術師】**
「いいか、我々のやり方は二つある。傭兵と、錬金術師だ」
彼は指を一本立てた。
「傭兵は依頼を受ける——戦闘、救出、護衛。こちらは、金と依頼主に対して応える側だ」
もう一本、指を立てた。
「錬金術師は委託を受ける——合成、研究、医療。こちらは、また別の規則に従う側だ」
彼は手を下ろした。
「治療を求めるなら、それは委託だ。条件がある。手順がある。それは、恩情でしてやるようなものではない」
ルドルフは、そのカードを見つめた。それから、仮面を見つめた。
「……なるほど」
彼はゆっくりと立ち上がった。膝が痛んだ——ナイトヘイヴンの冷気は、何年も前から彼の骨の芯まで染み込んでいた。
「では、出直そう。正式な委託状を持って。アルカード・ナイトヘイヴン公爵の名の下に」
「そうしろ」
ルドルフはローブをきつく引き寄せた。彼はもう一度、デルタを見た。
「奇妙な集団だな。深淵の際に暮らし、仮面をつけて」一拍の間。「一体、ここで何をしている?」
「……仕事だ」
ルドルフは、その言葉を額面通りに受け取った——答えではなく。閉ざされる扉だと。
彼は一度頷き、扉の方へと向き直った。デルタ2が廊下に姿を現した。
彼女は、一言も発さず、彼を扉まで送った。
ルドルフは外へ出た。冷気が彼を打った——湿り気を帯び、重く、ローブの下へと這い込んでくる。彼はフードを引き上げた。
「道中、お気をつけて」
彼は振り返らなかった。五歩も歩かぬうちに、霧が彼の姿を呑み込んだ。
デルタ2は、彼の姿が見えなくなるまで道を見つめていた——それから、さらにしばらく見つめ続けた。霧は嘘をつくものだと、聞こえないものを信じてはならないのだと、彼女はすでに学んでいたからだ。
彼女は扉を閉めた。
閂の音が、カチリと鳴った。
その音は、一度だけ廊下に響き、やがて消えていった。
デルタはソファに座ったまま、動かなかった。暖炉の火は弱まっていた。カードは、ルドルフが置いていったまま机の上にあった。廊下の奥へと遠ざかっていく足音——館の奥のどこかで、扉が開き、そして閉じた。
それから——何もなかった。
声もない。グラスの音もない。梁の軋みもない。
ただ、暖炉の火と、静寂だけがあった。
デルタは、そのカードを見つめていた。(三元錬金術師)——自ら選んだ名だった。かつての自分と、なった自分と、これからなる自分との、境界線だった。
「……もうすぐだ、バルドリック王」
灯りが消えた。闇が、すべてを呑み込んでいった。




