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処分という名の戦場

ケイデンは、自分の中で何かがおかしいと感じていた。そして、それは瞬く間に悪い方向へと転がっていくことになる。


「正直に申し上げますと、力を持たない勇者様は初めてでございます」聖職者が言った。「良いお答えができず、申し訳ございません」


「……?」


「それはどういう意味だ?」


この時点で、部屋はあるべき静けさよりもさらに静かになっていた。最初に口を開いたのはエレナだった。


「あの……それで、これからどうなるんですか?」


王が我に返った。


「ああ、そうだな」バルドリック王が言った。「これは検討する必要がある——後々問題になるやもしれん。とにかく、客人たちを正式に歓迎するため、宴を開こう」


バルドリック王は立ち上がり、全員に広間へ向かうよう命じた。


彼はまた、騎士たちに命じ、後でケイデンを自分の執務室へ呼ぶよう指示した——個人的に話をしたいとのことだった。


「はい、陛下」一人の騎士が答えた。


王は騎士の一人に歩み寄り、何かを耳打ちした。


「はい。仰せのままに」


騎士たちがケイデンに近づいてきた。


「勇者ケイデン様、こちらへどうぞ」


「はい」


彼らは、ケイデンを王の執務室へは連れて行かなかった。


脇の廊下を抜け、階段を下り、目を合わせようとしない衛兵たちの前を通り過ぎた。ケイデンは何も言わず、ただついていった。石壁が徐々に古びていき、松明の数も減っていくのを見つめながら。


騎士は重厚な樫の扉の前で立ち止まり、二度ノックすると、返事を待たずに中へ入った。


中には、地図と半分空になったインク壺が散らばる机の向こうに、一人の男が座っていた。がっしりとした体格で、片頬に傷跡があり、何度も邪魔をされ続けた者特有の、疲れた忍耐強さでこちらを見上げた。


「ブラーカ・オベイン司令官」騎士が頭を下げて言った。「はっ」


そして、ケイデンの方を向いた。


「陛下は執務でお忙しい。お前は訓練場へ護送される」


ケイデンは口を開いた。


閉じた。


「……訓練場?」


「そうだ、勇者よ」


その「勇者」という言葉は、もはや称号のようには響かなかった。ただの形式——リストから消される何かのように聞こえた。


ケイデンは反論しなかった。それくらいのことは、すでに学んでいた。


彼らは再びケイデンを移動させた——司令官の執務室を出て、裏門を抜け、窓に鉄格子がつき、座席にクッションもない馬車の中へと。


中には、他に九人が座っていた。見た目からして兵士たちだった。武装し、無言で、誰もケイデンを見ようとしなかった。


馬車が動き出した。


ケイデンは鉄格子越しに、城が小さくなっていくのを見つめていた。


どこへ向かっているのか、彼にはわからなかった。王があの騎士に何を耳打ちしたのかも、わからなかった。


だが、宴などというものが自分を待っていないことだけは——それだけは、すでに悟っていた。


馬車はガタガタと音を立てながら進み続けた。


沈黙と振動の中で、ケイデンが口を開いた。


「待ってくれ、俺たちはどこへ向かっているんだ?」


一人の男が姿勢を正し、ケイデンと目を合わせた。


「はじめまして。俺はヴァスコ、司令騎士だ。最近その地位に昇進したばかりでね。それで、質問に答えるが——俺たちは戦場へ向かっている。いや、正確には——【処分】と呼んだ方が近いな」


その言葉を聞いた瞬間、一人がすすり泣き始めた。今にも大声で泣き出しそうなほど、涙が流れていた。


「え?」


「よくわからないんだが」ケイデンは言った。「宴か何かに行くと言われたんだが?」


ヴァスコは、ケイデンが誰なのか気づいた。


「ああ、そうか。お前が例の、力を持たない新しい勇者か。さっき、友人のヘリオから聞いたよ」


「なあ、説明しても無駄だぜ」ヘリオが割り込んだ。「俺の友人は司令官様ではあるが、それでも所詮は平民だ。それに、俺の隣を見てみろ——ルリだ、弓の達人だぞ——彼女ですらこの運命からは逃れられない。もう俺たちは終わりだ。くそったれな王国と、くそったれな王め」


「ヘリオ、しっ。誰かに聞かれるぞ」


「でも、彼の言う通りよ」ルリが言った。「私たちなんて、あの人たちにとっては使い捨て——価値がないから、そう扱われてるだけ」


「待ってくれ、何だって?」


ケイデンは腰を下ろし、額に手を当てた。


「一度に処理しきれる情報量じゃない。俺は戦争なんてできない。医者なんだ。どこへ向かっているのかすら、わからないのに」


「待って——医者?」ネルが尋ねた。


「ああ。そういうあんたは?」


「私はネル。治癒師よ。それにしても、医者がまだ存在してるなんて驚きだわ」


「……?」


「すまない、混乱してるんだが」ケイデンは言った。「『医者が存在しない』とは、どういうことだ?」


「医者はもう時代遅れなのよ」ルリが言った。「何年も前、異世界からやってきた勇者たちが、治癒の概念そのものを一変させたの。今じゃ、医者をやってる人間なんて誰もいない。存在するのは錬金術師だけ——それすら希少だけどね」


「んん。とにかく、ケイデン殿、よろしければ——何か質問はあるか?」ヴァスコが尋ねた。「遠慮なく聞いてくれ。俺にできることなら、いつでも力になる」


「ああ、そうだな。俺たちはどこへ向かっているんだ?」


「【毒の沼地】——あらゆる毒性のものに満ちた地域だ」ルリが言った。「私たちはそこへ捨てられる。魔物に殺されなければ、その土地そのものに殺される。無事に生きて戻れるよう、神に祈るばかりよ」


ヴァスコは何も言わなかった。


再び、全員が黙り込んだ。


「いや、そんな……」ケイデンは言った。「これを断る方法は、本当にないのか?」


「今さらそんなことをしても意味がない」ヘリオが言った。「お前、どこへ行くつもりだ? お前はもう追放者だ。俺たちと同じようにな」


ケイデンには、言葉がなかった。この世界がどんなものなのか、どれほど危険なのか、彼にはわからなかった。その瞬間、彼にできることはただ一つ——いつものように、頭を低くしていることだけだった。


――くそ。くそ、くそ。なんで俺がこんな目に。スラム街からあの地位まで這い上がるために、俺は全てを注ぎ込んだんだ。それが全部、無駄になった。今じゃ、逃げることすらできない。また死ななきゃならないのか? 全部、あの婆のせいだ。俺がこんな目に遭ってるのは。神様、頼む、助けてくれ。もう二度と傲慢になんかならない。もう十分学んだ。助けが要るんだ――


「……?」


その瞬間、ケイデンは何かに気づいた。額に当てていた手を下ろし、体の力を抜いた。


「そうか……助け。俺にも、助けが要るのか?」


「ん? 何か言った?」ネルが尋ねた。


「え? ああ、いや。すまない。独り言だ」


再び沈黙が満ちる中、馬車は勇者たちの宴の会場へと向かって進んでいった。

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