雨の日、ケイデン・クロスは壊れた
【雨が降ったあの日、ケイデン・クロスは永遠に壊れた】
年:2024年4月2日 場所:日本/病院
雨が降る中、名医として知られるケイデン・クロスは病院の廊下を歩いていた。
一人の老婆がケイデンのそばに立ち、懇願し始めた。
「お願いします、ケイデン先生。息子を助けてください。あの子しかいないんです」
ケイデンは何も言わず、ただ見つめた。
彼は一歩下がり、近くにいた看護師を呼んだ。
「看護師、彼女は誰だ?」
「え? あ、その……先月、車に轢かれた男の子のお母様です。今は生命維持装置につながれていて」
「ああ、思い出した。それで、なぜここに?」
「私は貧しくて、生活すらままなりません」と老婆は言った。「息子の入院費が払えず、手術もしてもらえないんです。どうかお願いします。何でもしますから」
「聞け、婆さん」ケイデンは言った。「あんたが俺にできることは、家に帰って神様にでも祈ることだけだ。なぜ俺があんたの息子を気にかけなきゃならない? 俺には総理大臣クラスの患者がいるんだぞ。なぜあんたの息子なんかに時間を無駄にする? どうせ何の価値もない」
ケイデンは警備員を呼び、老婆は外へと連れ出された。
「なぜ……なぜ、なぜ私たちばかり……」老婆は泣き叫んだ。「呪ってやる、ケイデン・クロス。お前は雷に打たれるだろう。神がお前を裁く。神が裁くのだ」
老婆が連れ出される間、ケイデンは帰り支度をし、車へと向かいながら傘を開いた。
「はっ、雷に打たれる? 神とやらが存在すればの話だがな」彼はつぶやいた。「まったく、最近の人間は妄想が過ぎる」
神は聞いていた。
ケイデンが車に乗り込んだ瞬間、一筋の雷が彼を打ち、その存在を跡形もなく消し去った。反応する暇すらなかった。
彼が覚えているのは暗闇——誰もが死ぬときに感じる、あの空虚な感覚だった。ケイデン・クロスはその日、死んだ。だが——
これは何だ、この暗闇は。寒い。
何も感じられない。
彼は生きていた。あの世へは渡らなかった。その暗闇の中、ケイデンは声を聞いた——人間の声を。ようやく目を開けることができた。
「……は?」
ケイデンは床に横たわっていた。傍らには十代の若者たちが数人。その向かいには玉座に座る男、隣に立つ女性、騎士姿の者たち、そして美しい王女がいた。
世界がまぶしすぎた。
ケイデンの目は徐々に慣れていく。家ほどの大きさのステンドグラスから金色の光が降り注いでいた。大理石の床。あらゆる柱に掲げられた旗——見覚えのない紋章。
玉座の間。
彼はまだ膝をついたまま、冷たい石の床に手のひらを押し当て、息を乱していた。
周囲では、他の六人の十代の若者たちが身じろぎし、呻き、泣き出す者もいれば、自分の手をまるで他人のもののように見つめる者もいた。
広間の奥、玉座から一人の男が立ち上がった。
肩幅の広い、年を重ねた男。灰色の髪の上には重々しい王冠が乗っている。傍らには薄青の衣をまとった女性が座り、静かに、泰然と、召喚された者たちの輪を——天候でも眺めるかのように、避けられぬもの、動じることのないものとして見つめていた。
「起きよ、アストラヴェルの勇者たちよ。汝らは今、偉大なる王バルドリック・ヴィスカルの御前にある」進行役の男が告げた。その声は労せずして響き渡り、まるで谷を満たす雷鳴のように広間を満たした。
「汝らは、人類最大の危機において、我らの世界へと召喚された。魔物の大群が国境に迫っている。我らの騎士たちは幾百と倒れていく。ゆえに、古の儀式が執り行われ——神々が応えられたのだ」
ざわめき。動揺。ケイデンの後ろでは、一人の少女が静かに泣いていた。
ケイデンは何も言わなかった。
ただ見ていた。
王。その傍らで表情を読ませぬ王妃。壁際に並ぶ騎士たち、柄に手をかけ、日常の一部であるかのように無表情な顔——彼らはこれを何度も経験しているのだ。玉座の下には聖職者たちが集まり、囁き合いながら、召喚された者たち一人一人を目録のように値踏みしていた。
そして、玉座の傍らに立つ少女。若く、銀の髪飾りを頭に戴き、目には暗い布を巻いている。
彼女は誰も見ていなかった。
それなのに、なぜかケイデンは、見られているような気がした。
気をつけなければ。
なぜそう思ったのか、彼にもわからなかった。ただ、その言葉が浮かび上がった。それだけだった。
「一人ずつ前へ」バルドリック王が言った。「名を名乗れ。この王国が己の救世主を知れるように」
若者たちは互いに顔を見合わせた。一人が先に胸を張り、まるでこの舞台に生まれついたかのような笑みを浮かべた。
「レン・カズヒラです」と彼は言った。「どうやら、俺が剣を振り回す役目みたいですね?」
騎士たちの何人かが笑った。王は満足げに頷いた。
続いて、目を輝かせた少女が両手を握りしめながら前へと進み出た。
「スズ・アマノです! えっと——これ、本物ですか? すごい、本物すぎる。ドラゴンっているんですか? 教えてください、ドラゴンいるって言ってください」
「……いずれわかろう、子よ」
鋭く、計算高い目つきの少年が、呼ばれるのも待たず、腕を組んだまま前に出た。
「ハル・タチバナ」
それだけだった。彼は玉座を、騎士たちを、出口を観察していた——まるで、誰もまだ始めてすらいない計画の、三手先まで読んでいるかのように。
小柄な少女が集団の端で躊躇い、自分の体を抱きしめるようにしていた。
「み、ミオ・アマノ……私……家に帰りたいです」声は今にも崩れそうだった。
誰も答えなかった。その後に続いた沈黙は、それ自体が一種の残酷さだった。
そして、すでに顎を上げながら前に出て——
「カイト・ワカヒサ。皆さん、ついてこれるように頑張ってくださいね」
軽い口調で言った。だが、軽くは響かなかった。
最後に、鋭い目つきと、それ以上に鋭い姿勢の少女が前に出た。腕を組み、周囲の大理石と黄金には少しも心動かされていない様子だった。
「エレナ・ヴォス。儀式は省略しましょう。私たちは正確には、何のために使われるんですか?」
王妃の目がわずかに彼女の方へ動いた——彼女が見せた、初めての本物の反応だった。
一瞬の沈黙。
六つの名が名乗られた。六つの未来が、壁際に並ぶ男たちによって、すでに値踏みされ始めていた。
ケイデンは動いていなかった。
「……そして、お前」
広間中の視線が、一斉にケイデンへと向いた。
ケイデンの喉は渇いていた。魔物も、戦争も、この世界のあらゆる方向から迫りくる未知のものも、彼は恐れていなかった。
彼が恐れていたのは、これだった。まだ口を開いてもいないうちに、値踏みされ、足りないと判断されることだった。
「……ケイデンです。ケイデン・クロス」
自分が望んだよりも小さな声が出た。
王は彼を、少し長すぎるほど見つめた。不親切ではない——それよりも悪い。値踏みするような目だった。
「七人目か?」
「かまわん」王は、まるでちょっとした食い違いであるかのように言った。まるで、すでに処理済みの誤差ででもあるかのように。
玉座の後ろから、ローブをまとった聖職者が進み出た。手には、幾世紀もの時を経てなめらかになった石の板。六人の若者たちには読めない、古代の文字が刻まれていた。
ケイデンには、その文字が読めた。
趣味で考古学を学んだことがあった——刻まれた内容が、なんとなくわかった。彼の目が彫られた記号の上を滑るように動くと、頭の奥で何かがざわめいた。
聖職者は玉座の前に石板を置いた。
「さて」バルドリック王が言った。「神々が我らに何をお授けくださったか、見せてもらおうか」
文字が、光り始めた。




