File 007 生き残った1人
このV字陣形の効果は絶大で、いつの間にか残るはルーシーとレオンの2人だけになっていた。
「後はスタート地点の方に戻ってみるか。ルーシーとレオンか?女と新人じゃないか。お前達負けてられんな」
ヴィンスは、静かながらも鬼達にプレッシャーを与えた。
ーーその頃スタート地点では。
「限られた範囲じゃ、もう逃げ場ないよなー。鬼も増えてるだろうし、もう限界かな」
隠れ切る作戦に、ルーシーは限界を感じていた。
その時……。
「おい」
!!!!
背後から唐突に声を掛けられて、咄嗟に振り返ると上着を着た新人のレオンだった。
「びっくりさせんなよ!レオンもまだ捕まってないんだね」
「あぁ1度捕まりそうになったが、振りほどいて逃げた。凄いな。あの人は。観察眼もフィジカルもバケモンだな」
生まれて初めて出会った、勝てる気がしない男への称賛をもらした。
「あぁ、ヴィンス?アイツはケタ外れだよ。昔から喧嘩売ってるけど、手応えあったことないよ」
この時レオンの頭の中では、上官に喧嘩を売る生意気な女くらいの印象で聞いていた。
「いたぞーーー!!!2人まとめている!!」
しまった……
スタート地点にいる為、後ろには逃げられない。
そして正面からは大勢の鬼、絶体絶命のピンチだ。
「ぐっ、ルーシーだったな!アンタは真横に逃げろ!!俺は突っ込んでやる」
え?
ルーシーは、一瞬躊躇したが、それしかないと察して大回りに走り出した。
「わかった!!」
「うおぉぉぉーーー!!」
20名以上の特殊部隊目掛けて猛然と突っ込むレオン。
ストリートでは、この手のピンチを何度も突破してきた経験があるのだ。
それを最後部から、見守るヴィンス。
「なんだ、アイツ面白いヤツだな。どうするつもりだ??」
先頭の隊員とレオンが、正面から衝突。
バーーーン!!
ゴロゴロゴロゴロ……
正面の隊員(絶対に先輩だ)をレオンが吹き飛ばした。
それでも、レオンの勢いは止まらない。
「うおぉぉぉーーー!!」
後続の隊員、1人、2人、3人とかわしながら突き進む。
ガシッ
遂に捕まるレオン。
「うおぉぉぉらぁーー!!」
瞬時に振りほどく。
「止めろ!!止めるんだ!!」
ドゴォ!!
次の隊員が、レオンの腹目掛けてタックルで突っ込んだ。
「ぐっ」
自らの走っている勢いもある為カウンターになって凄まじい衝撃が突き刺さった。
それでもレオンは、それを受け止めて立ち止まった。
そのまま、隊員を持ち上げて投げ飛ばそうとした時……
ドゴォ!
ドゴォーン
ズサーーー…
1人の隊員を抱えたまま、2人の隊員に突っ込まれて遂にレオンは、その場に転倒した。
「離せーー!!!」
暴れ馬の様に抵抗するレオン。
ガシッ「1 2 3 4」
ドゴォ!!
押さえ込んでいる隊員の背中を殴るレオン。
「ぐっ…いてーなこの5 6 7 8 9 10」
レオン確保。
29人目の鬼にレオンは、なってしまった。
「くそぉ…やっぱり、あんたら只者じゃないです」
レオンは、ヤケクソでもなんでもなく本気で突破するつもりで、この人数に突っ込んで行ったのだ。
「何を言ってやがる。お前は大した奴だぞ。あのまま突破するかも知れんと思って見てたよ」
ヴィンスが、近寄って来て、レオンの度胸とフィジカルを称えた。
そして…。
「よーし!鬼ごっこは、これで終了だ。勝者はルーシー!誰かルーシーを呼んでこい。 上着を着て行けよ」




