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銀河やきにくの夜

細野晴臣のテーマ音楽から始めていただけるとありがたいです。


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2175055/blogkey/3659623/

しいな ここみ様 『焼肉短編料理企画』参加作品

「ジョバンニ、もう焼けているよ」


カンパネルラが、箸の先で小さな肉をつまみあげた。肉は網の上で、まるで赤い星のかけらみたいに、じゅうじゅうと音を立てていた。


「うん。でも、もう少しだけ待つんだ」


ジョバンニは煙の向こうを見ていた。煙は天井へ昇って、それからどこまでも遠い夜の方へ流れていくようだった。


「焦げてしまうよ」


「焦げたっていいんだ。ぼくは、よく焼けたほうが好きなんだ」


カンパネルラは少し笑った。


「ジョバンニは、いつもそうだね」


「そうかな」


「うん。なんでも、少し待ちすぎる」


網の上で脂が落ちた。ぱっと青い火が立って、二人の顔を一瞬だけ明るくした。


「カンパネルラ」


「なに」


「ぼくら、どこまで行くんだろう」


カンパネルラは答えなかった。ただ、肉を一枚、ジョバンニの皿に置いた。


「まず食べなよ。冷めるから」


ジョバンニはその肉を見た。たれが皿の上に丸く広がって、小さな銀河のように光っていた。


「カンパネルラも食べなよ」


「うん」


けれど、カンパネルラは箸を持ったまま、網の向こうの暗い窓を見ていた。


「ジョバンニ」


「なに」


「ほんとうのやきにくって、なんだと思う」


ジョバンニは困って、肉を口に入れた。熱くて、少し甘くて、少し苦かった。


「みんなで食べることかな」


「みんなって、誰」


「父さんとか、母さんとか、ザネリとか、きみとか」


カンパネルラは、また少し笑った。


「じゃあ、ひとりで食べるやきにくは、ほんとうじゃないの」


ジョバンニは黙った。網の上には、もう一枚だけ肉が残っていた。それはなかなか焼けず、赤いまま、夜の底に沈んでいるようだった。


「わからないよ」


「ぼくも、わからない」


カンパネルラはそう言って、その最後の肉を裏返した。


そのとき、煙がふいに濃くなった。店の灯りも、七輪の火も、遠くの星のようににじんだ。


「でもね、ジョバンニ」


「うん」


「だれかのために、いちばんいいところで肉を返してあげることは、たぶん、ほんとうに近いと思う」


ジョバンニは顔を上げた。


「じゃあ、ぼく、きみのぶんを焼くよ」


「ありがとう」


「ずっと焼くよ。どこまでも」


カンパネルラは、今度は笑わなかった。ただ静かに、ジョバンニの皿へ、焼けた肉をのせた。


「ジョバンニ、それはもう、焼けているんだよ」


窓の外では、銀河がしずかに流れていた。


https://suno.com/s/uOdaG6bR2XAnsuda


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― 新着の感想 ―
こっ、これは……。 男二人でしんみりと焼肉。ある意味シュールな光景。 場所は列車内? どんなプロンプトを入れたらこんな料理が出てくるんだろう。 そして、この料理は何処に行くのだろう。 続きを楽しみにし…
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